「イギリス人は歩きながら考える。フランス人は考えた後で走り出す。スペイン人は走ってしまった後で考える。」国際連盟の事務局長を務めたこともある、著名なスペイン人外交官の言葉だそうだが、若いころ、この言葉を初めて聞いた時のことを思い出す。

  私は学生の頃、ほんの一時期だったが、本の虫になってしまったような時期があった。頭の中だけの世界で生きているような感じになって、実践が全く伴わず、一種の本の虫「バカ」のような状態だった。

  今どきそんな若者がいるのか、といぶかる向きもいるかもしれないが、逆に言えば、社会に出てからでは決して出来なかったであろう、私の学生時代の「貴重な!」経験なのである。

  私はその貴重な経験から、知と実践がバランス良くミックスされた生き方をしなければならないのだ、と心底悟ったのだった。

 知力、徳力、体力の三位一体の生き方や、教育が必要だと思ったのものこの体験からであっただろうし、知行合一の教えを説た王陽明の陽明学の思想に共鳴したのも、こういう経験を経てのことだった。

 普通のおしゃべり、ダベリは別としても、会議での発言や、公式な場での挨拶さなどは、前もって心の中にある話す内容を良く考え、吟味してから話すべきで、まあ、上記でいえば、考えてから走る(発言する)ということなのであろう。

まあ、だいたいの場合は、何か考えが浮かんだ後に、それに沿った行動をするのが普通だろう。

 ただ、本を選ぶ時などは、ほしい本が決まってから本屋に行くこともあるが、何も考えずに本屋に入って、書棚を見ているうちに、興味がわく本に出合って、購入し読んでみたら、生涯の座右の書になってしまった、なんていうこともあるから、走ってしまった後に考える、という場合も、全く意味がないことではないだろう。街を目的なくぶらぶら散策していて、良いお店や美味しいお店に出合うこともある。

 通常は「イギリス人」タイプかもしれないが、公式の場での発言や行動は、フランス人のように熟慮した後に発言、行動した方が良さそうだ。

 しかし、何の目的もなくぶらぶら散策も悪くはないし、自分の行動パターンにはない、思わぬ発見に出くわすかもしれない。

 TPOに応じて、「イギリス人」「フランス人」スペイン人」をうまくミックスさせて生きていくのが面白いし人生の妙味であろうと思う。