ファッキンコロナ
1田畑(昼)
大勢の村人達が畑を耕している。
村長(70代男性)が唐突に喋り出す。
村長「今日、これから、神様がおいでになる」
ざわつく村人達、「ずいぶん急だな」などの声が上が
る。
と、山と山の間から全裸の巨人が現れる。
村人達の間から、「神様だ」「神様ー」との声が上
がる。
神様「うむ。皆、仕事の調子はどうじゃ?」
村長「はい。皆、毎日、真面目に精を出しております
」
神様「それは善きことじゃ、やはり人間は真面目に働いてこそじゃ」
村長「ありがとうございます。神様、それで今日はどういったご用件で?」
神様「うむ、今日はおりいって、村長に話があってな」
村長「いかような?」
神様「それなんじゃが、村長、今日の夕刻にわしの元へ来れるか?」
村長「大丈夫でございます」
神様「大事な話があってな。よろしゅう頼む」
そう言うと彼方に消えて行く神様。
「何の話だろ?」とざわつく村人達。
村長「・・・」
2山道(夕方)
山を上へ上へと登って行く村長と二人のお付き
(30代、男性)。
直に開けた大地に出る一行。
大地には神様が鎮座している。
村長「しばし、遅くなってしまい申し訳ありませぬ」
神様「苦しゅうない。苦しゅうない」
村長「それで神様、話というのは?」
神様「お主達は町の方で疫病が流行っているのを知っ ておるか?」
顔を見合わせる三人。どうやら誰も知らない様
子。
神様「その疫病は致死率が高く、亡くなる人間が続出しておる。今だこれといった治療法もない」
村長「・・・」
神様「そこで、私を含めた全ての神様を集め、話し合った」
村長「・・・」
神様「それで、出た結論というのが本当に言いづらいんじゃが、誰か一人の人間を生贄として捧げることとなったのじゃ」
一様に驚く村長を含めた人間達。
神様「まこと心苦しいんじゃが、村長にはこの話を村人に話し、生贄となる人間を探して欲しい」
村長はずっと神妙な表情でいる。
3村長の家・二階大広間(夜)
だだっ広い部屋。
全ての村人が一同に介している。
中には女、子供もいる。
村長「というわけじゃ・・・」
ざわめく村人達。
村人 A「他の町や村には志願者はいなかったのですか?」
村長「残念ながら、この村以外に志願者はいないそうだ」
村人B「この村だって、そんなの志願する人がいるわけない。大体、生贄を捧げれば疫病が収まる確信はあるのですか?」
村長「分からぬ。ただし、神様からのお達しじゃ、確度は高いとおもう」
村人 A「そんなの無理だよ・・・」
と、突然、アラン(39歳男性)が立ち上がる。
アラン「僕が生贄になりますよ」
アランの一言にどよめく村人達。
アラン「僕はまだ39歳ですが、今日まで生きてきていろんな良いことがありました。この世に未練はないです」
村長「しかし、お主は若過ぎる。他に志願者はおらぬか?」
沈黙の村人達。
村長「分かった。とりあえず二人で話し合おう。明日の午後、ここに来てもらえるかな?アランよ」
アラン「分かりました」
アランの神妙な横顔。
4アランの家(夜)
すごく狭い部屋。
一人で孤独に食事を取っているアラン。
無表情なアラン。
5村長の家・二階大広間(朝)
村長とアランが対面して、向かい合い、座して
いる。
村長「本当によいのかアラン?」
アラン「はい」
村長「順番的にはワシが志願するべきだと思うのじゃが・・・」
アラン「私には家族もおりませんし、この村で生まれ育ち、とても幸福です。思い残すことはありません」
村長「・・・」
アラン「それで私はいつ死ねばよいのでしょう?」
村長「神様は早ければ早い方が良いとおっしゃっている・・・」
アラン「それならば明日、神様の元へ向かいます」
村長「ワシも付き添おうか?」
アラン「いえ、一人で大丈夫です」
村長「・・・」
アラン「この世界を救ってきます」
村長「・・・」
6山道(朝)
曲がりくねった道を上に登って行くアラン。
神様の住む場所へ辿り着くが、神様は不在
である。
辺りをキョロキョロと見渡すアラン。
背後から神様が現れる。
神様「よく来た。勇気ある者よ」
アラン「・・・」
✖︎ ✖︎ ✖︎
神様「本当に良いのじゃな?」
アラン「はい」
神様「では、私の掌に乗りなされ」
右腕をアランの元へ差し出す神様。
とぼとぼと神様の掌に登るアラン。
神様「それではゆくぞ」
アラン「・・・」
渾身の力をこめてアランを握り潰す神様。
拳からどっとアランの血液が溢れ出す。
終
7エンドロール
8黒バックに白い字で
こうして世界は救われました。めでたし。めでたし。
9同
じゃ、ねえぞ。ふざけんな。