それは韓流時代劇を見ているときでした。
朝鮮三国時代、王朝時代、様々な時代の中で必ず王、世子(王子)、大臣、両班(貴族)、兵士、刺客、商人、庶民、奴婢とあらゆる身分の人物が出てきます。
そこで不思議なことに気づいたんですね。
男破必ずなにか頭に被っているということです。
身分職業に合ったそれぞれの帽子、帽子がなければハチマキのようなものをおでこに付けています。
そういえばカウボーイも英国紳士も帽子を被っていましたし、中世の貴族はカツラを被ってました。
カウボーイのツバの広い帽子は何ヶ月も牛を移動させる最中に雨に降られた時の装備でもあります。
なぜ欧米諸国の男は帽子、またはカツラを被っていてのでしょうか。
西部劇の映画などでガンマンが女性に帽子を脱ぐ仕草をして挨拶します。
英国紳士もですね。
これがポイントなんです。
相手が女性だと紳士の嗜みとして帽子を脱ぐ習慣。
日本では侍が月代といって前頭部を剃る頭をしてました。
鎧を被るためと言われてますが町人も髪の形が違えど前頭部を剃って月代にしていました。
清王朝時代の男も弁髪と言って前頭部を剃って後ろ髪をひとつに編んでました。ジェット・リーが演じたウォン・フェイフォンが有名ですね。
なぜ前頭部なのか?
なぜ朝鮮時代の男は帽子、ハチマキをしてまで前頭部を隠したのか?
なぜ欧米紳士は女性の前で帽子を脱ぐのか?
ひとつの答えが出ました。
喧嘩やいざこざが起きたとき相手に前髪を掴まれないためです。
喧嘩で最も手っ取り早く相手の動きを封じる方法です。
男の急所を攻撃するより簡単です。
下半身への攻撃はテーブルに着いてるときは役に立ちません。
テーブルで下の様子が遮られているからです。
しかし喧嘩が一番起こりやすいのは酒の席などです。
テーブルで酒を飲んでるときに口論が始まり喧嘩に発展する。
下半身を攻撃するより目の前の相手の前髪を掴んだ方が早いんですね。
古今東西世界万国共通で前髪を注意していたくらいだからよほど多かったことでしょう。
しかし前髪の掴み合いなど急所を蹴られるくらい男にとって見苦しく嫌な攻撃です。
記録にも残したくないわけです。
「最後ジュリアス・シーザーは前髪を掴まれ引きずり回されたのちブルータスに…」というような記録が残っていたらかっこ悪くてしかたありません。
仲間に刺されて最後ブルータスに裏切られて「ブルータスおまえもか!」というシーンだからこそ記憶に残る歴史になるわけです。
余談ですがジュリアス・シーザーはハゲていたので前髪を掴まれる心配はなかったと思われます。
だからこそ欧米紳士は女性の前では帽子を脱いだわけです。
女性が男性の前髪を掴むことは通常ではありえないしその動作がレディファーストの習慣になっていったと想像できます。
前髪を掴む習慣が現代社会では激減していますが、それは間違いなく映画の影響です。
古くはジョン・ウェインが酒場の喧嘩で必ず拳を振り回してたからです。
若きジョン・ウェインは大柄でレスラーのような胸の厚さがありました。
ジョン・ウェインは男の喧嘩の仕方を世界中の男に見せつけたのです。
前髪を掴むなどみっともないというプライドが芽生えたんですね。
アメリカでは男は拳で喧嘩するイメージが心底定着しています。
逆に目潰しの二本指など笑われるんですね。
急所を狙うのは弱者のすることで男ではないという美学です。
コメディで中年のおじさん達がスローモーションでけんかして1人が必死の形相で目潰しをしようとすると大爆笑です。
話を戻します。
護身術としては前髪は掴まれないようにしたいものです。
それには襟を掴まれないことが条件です。
護身術ですから襟を掴まれたらこうするという技はありますが、実際相手が柔道経験者かもしてないし襟を掴まれるということは前髪を掴まれてるかもしれません。
相手の手の動きには常に注意する習慣をつけておきましょう。