家に帰る電車の中
降りる駅のアナウンスが聞こえ
ふと顔を上げると
ひとりの女性がいた
容姿20前後のその人は
片手でiPhoneを操作している
電車の中では
よくある光景だけど
ふと目に留まるのはなぜだろう
その時
女性のもう片方の手が…
正確には小指が…
鼻に…
さ
ささっ
ささった。
ささったという表現を使うのは
その動作があまりにも
なめらかだったから
行為自体は
「鼻をほじる」
というお下劣極まりない
幼稚で滑稽なもの
クラスの女子がこそこそ
ほじくっているのを男子が
目撃したら
その次の休み時間には
その話題が出るぐらいだ
それどころか
何ヶ月経っても
1分持たない小ネタとして
語り継がれるかもしれない
それなのな
この電車の中で
隠しも恥じらいもなく
ほじほじしている。
まさか。ありえない。
(ガリレオ風)
でもこれは事実だ。
突然の異業に
笑いがこみ上げるが
その感情は
次の瞬間
別のものへと変わる
鼻をひとしきりほじったその人は
その指を…
その汚らしい指を…っ!
そのダーティーフィンガーを!!
くちにっ!!!!
運んでっ!!!
ペロッ
じゃなくて!!!!
ぬりぬりした。
その唇に
左右に動かしぬーりぬり
ファッ!?
な、なんだ
何が起こったんだ?
落ち着け考えろ
おかしい
ありえない
なんなんだ!!!??
必死で今の状況を整理し
理解しようとする中
その女性は
再び
ほじった
ほじった
なんなんだ!!!??
なせだ!!?
ここは電車の中だぞ!!??
ああ!またほじった!!
なんで!
そんなに指入れてああ!!
さすがにやりすぎだって!!
ま、またっ!
家でもそんな深くしないでしょ!?
おい…
嘘だろ…
その女性、
入れた指を
ツイストしやがった
体操的に言うと
「ひねり」を加えてきたのだ
まさかそんなほじり方で
加点を狙ってくるなんて。
むしろ減点だわ!!!!
ああ!
ほじりからのツイスト!!
ツイストからのぬりぬり!!
なんなんだこの人!!??
左右の鼻の穴を
いじめ抜いている
まさに
ゲスの極み!!
はやく…
はやく駅に着いてくれ…
もう身が持たない…
疲弊しきった身体精神とは
裏腹に僕の目は観察を止めない
好奇心が人を殺すとはこのことだ
あ!
まさか…
やめっやめろーーー!!!
ズブっ
ホジホジ
あああああ!!!
やっちまった…
今まで使っていた小指ではない
人差し指で鼻の穴に
ホールインワン
そんなことしたら
もし両手使いのiPhoneユーザーなら
最悪操作できないなるというのに!
ちくしょう
完敗だ
敗北感に押しつぶされそうな僕を
救ってくれたのは
待ちわびた
電車の駅への到着
息苦しささえ覚えながらも
電車から降りることができた。
なんだったのだ今のは
一つのショーでも見てた気分だ
今のはエンターテイメントで
彼女はエンターテイナー
それか道化師とでも
いったところか
化かされた僕は
所詮は観衆の一人
自分がちっぽけな存在ということを
痛感した
皆さんも
電車でおもむろ鼻をほじる人には
お気をつけ下さい
以上
※ノンフィクションですが
リアクションは誇張表現であり
文の構成も変な感じになってます
すいません(笑)