カホルのブログ -6ページ目

カホルのブログ

ス/キ/ッ/プ/ビ/ー/トを愛するカホルが思いつきで進めるブログです。
二/次/小/説を始めました。知らない、苦手という方は閲覧をお控えください。
ブログ更新終了します。アメンバー申請は受け付けておりません





半パラレルになります。

それではどうぞいってらっしゃいませ。





──────────────────────────────────




相変わらず敦賀さんとはすごい遭遇率だ。助けてあげられなくてごめん、と謝ってくれたが、あの狸社長に勝てるとは、最初から思っていなかったので恐縮してしまった。一線引いた先

輩後輩関係を継続してもらえればそれでいい。
彼は順調に父親の後を追えているようだ。彼の演技を間近に見る機会のあった私は、うっかりと彼の演技に引き込まれてしまった。自分も、彼以上の演技をしてみたいと思ってしまうほ

どに。自分から何かをやりたいと思った事がなかった私が、初めて感じた感情。…私は、ここから逃げ出せなくなってしまった。それが社長さんの狙いだったんだろうか。


「この業界に入ったくせに俺に黙ってるとはいい度胸だな、キョーコ?」

「芸能人になりました。」

「おせえよ!」

「お久しぶりですね、潮さん。」


潮さんの鋭い突っ込みにくすりと笑った。
チャンスは待っているだけでは訪れないと思って受けたCMオーディションで、思いがけず再会を果たした男性。私の目の前で仁王立ちする黒崎潮さん、都さんの弟さんだ。私のお兄さ

んのような人。
実は、私は彼の手で既に芸能界デビューを果たしていた。地元にいたころ、京都に撮影に来ていた潮さんと、偶然、都さんのバーで出会った。その時潮さんは、採用した女優さんのこと

で管を巻いていた。着物を着なせる女優として採用した筈が詐称だったらしい。うっかり着物に馴染んでいる事がばれてしまった私が、あれよあれよという間に何故か代役に決定してし

まったのだった。私は化粧すると誰にも気づかれないので、この事は都さんと潮さんと私の三人しか知らない。それ以来、芸能界に入れと鬱陶しかったので徹底的に避けていたのだ。
社長さんにばれてしまってから、都さんと連絡を取ることを避けていたので、芸能界に入った事を潮さんが知るはずもない。


「まったく、連絡くらいしろよ。」


呆れたように、ぐしゃぐしゃと私の髪を掻き混ぜた。


「しかし…会いたくない男がいたんだろう。それはもういいのか?」

「それは一応解決したので大丈夫です。」


自分から会いに行ってしまったので自業自得だ。乾いた笑いで返した。


「そうかそうか。お前はこの世界がよく似合う。けど、今回の事は別だ。身内贔屓はしないからな?」


満足気に笑った潮さんに当然ですと頷いた。


「今日はこの後予定はあるのか?飯でも食いにくか?」

「無理です!今日はお友達と一緒に帰るんですー!」

「ああ…お揃いのツナギの…ぶっ。それマジですげーな!」


げらげらと腹を抱えて笑う潮さんにぷうっと頬を膨らませた。


「悪い悪い…でも友達ができたのか。よかったな。」


潮さんは、私に友達が一人もいなかったのを知っている。本当にうれしそうに言ってくれたので思わずふにゃりと微笑んだ。それを、潮さんは目を細めて見つめてきた。


「まあ、これからいくらでも機会はあるか。姉貴にもたまには連絡しろよ?寂しがってたぞ。」

「…はあい。」


こうして、私と潮さんの短い邂逅は終わった。私は今日は都さんに電話してみようかなあと呑気に思っていた。私は潮さんが敦賀さんに接触を図ろうと思っていたなんて気付きもしなか

った。