『キョーコは魔法使いだったんだね。』
にこにこと一人うんうんと納得する、ジョッシュさんに固まった私たち。立ち直ったのは、監督さんが一番最初だった。
『・・・お前。とうとう最後の頭のねじまで抜けちまったのか・・・』
『違いますよ!なんつーこと真顔で言ってんすか!』
溜息をつきながらポンッと、ジョッシュさんの肩を叩いた監督さんに眉を吊り上げた。
『いったいどういう事なのかしら?分かるように説明してくれるのよね?』
『勿論っす!ええとですね。俺、考えてたんですけど。どうして、化粧してないだけで誰も気づかないんだろうって。しっかり見ても、厚化粧してるわけでもなさそうだし。キョーコの容姿に誰も気付かないなんて不思議じゃないっすか?』
『だからそれは魔法が『それだよ!キョーコは、自分の魅力を魔法で隠してるんだ!』ええ!?』
クイーンローザ様もコスメマジックも効いてないからだと、続けようとした私を遮るように勢いよく言われた。
『・・・ようするにどういうことだ?』
『キョーコは自分自身に魔法をかけているんっすよ。演じていると言ってもいいのかも。それも、無意識のうちに。』
パパとママ、それに監督さんが驚きに目を見開いた。
『あの!・・・私、プライベートでまで演技なんてしていないです・・・。』
演じていると言われても、困ってしまう。だって私は、普通にしてるつもりだもの。
『だから、無意識なんだよ。キョーコは、自分に魅力がないと思い込んでしまってるだろう?深層心理は表情に現れるからね。感情が顔に出るのと一緒だよ。怒ったときは怒った顔。悲しいときは悲しい顔になるだろう?意識してないから、隠そうとも思わない。』
『そんなこと・・・・』
『そんな事あるんだよ。だってキョーコはこんなにも綺麗で可愛くて魅力的なんだからね?』
ぱちんとウィンクされて、断言されても。
『私、可愛くなんてないのに・・・』
『『『『・・・・・はあ。』』』』
がっくりと肩を落としたパパたち。本当の事なのに。
『キョーコの瞳は大きくてぱっちりとして魅力的だわ。あなたはどう思う?』
突然ママが私の顔を覗き込んでにっこりとパパに尋ねた。
『・・・ん?そうだな。それに、ふっくらした唇は桜の花びらみたいに可愛らしい。ポールもそう思うだろう?』
パパは肯定して、監督さんに同意を求めた。
『確かに。それと、全体的にバランスが整ってる。こういうのを、黄金比立っていうんだろう?ジュリと同じだな。ジョッシュは全部がいいんだよな?』
にやにやしながら、監督さんは、ジョッシュさんに聞いた。
『勿論っすよ!それに、俺はきっとキョーコが笑ったらライバルが倍増するとみてますね。きっと、すごく可愛い。出来れば、その可愛い笑顔を俺に見せてくれると嬉しいなあ。』
『どうする、キョーコ?』
期待するように、優しく穏やかな瞳でみんなに促されて、ものすごく恥ずかしい。私があまりにも否定するからこんなことを言ってくれるのは分かっているのだけれど、嬉しいと思う私もいて。
『・・・・ありがとうございます。』
赤くなった頬を押さえながら、小さく微笑んだ。