お兄ちゃんと私 【 honeymoon編 】
「・・・あんた、いい加減家に帰りなさいよ。」
モー子さんに呆れたように、ため息をつかれて私は泣きついた。
「そんな事言わないで、ここに置いてよ。モーー子さーーーーーん!」
「ああっ!もう、鬱陶しいわね。誰も、置いてあげないなんて言ってないでしょ!着替えもないんだから、一回家に帰りなさいって言ってるの!」
私は、昨日披露宴が終わってから、着の身着のままでモー子さんの家に逃げ込んでいた。だって、あんなことがあった後で、これから2週間も蓮と過ごすなんてとんでもないわ!
「それに、どうせあんた会長に連絡してないんでしょ?今頃探してるわよ。うちにも連絡来たけど、知らないって言っちゃったし。」
「だって、連れ戻されちゃったらどうするのよー!2週間も二人きりなのよ!?そんな事になったら、私一体どうしたらいいのー!?」
えぐえぐと泣きつく私に、モー子さんは盛大なため息をついた。
「そうよ、2週間よ。連休中はいいけど、あんた学校が始まったらどうするの。制服もないし、教科書もない。それをどうにかしても、学校に行けば会長はいるわよ。あんた、おじ様達が帰ってくるまで学校行かないいつもり?」
「ううっ・・・・そうだったぁ!」
そんなことまで全然頭が回らなかった。どうしたらいいのよぉ!?
「だから!とりあえず、こっそりでも何でもいいから、身の回りの物かき集めて、置手紙でもしてきなさい!で、その後にこれからの対策を考えればいいでしょ!?」
「・・・・・・はい。」
私は渋々モー子さんの言葉に従って、一度帰ることにした。
自宅のある最寄り駅で電車を降りて、とぼとぼと歩いた。足取りが重くなってしまうのは仕方がない。はあっと、重いため息をついて自宅のある方向に顔を向けた。
「げっ!?」
蓮が、なんで歩いてるのよぉ!?私の進行方向から、こちらへと向かってくる。慌てて、柱の陰に隠れて、こっそりと覗いた。・・・あっ、でも今なら家には誰もいないって事よね。とりあえず、通り過ぎるのを待ってダッシュで帰る事にしよう。
「それにしても、どこにいても目立つわよね。どれだけ離れてても、すぐにわかるわ。」
蓮が、動くと周りにいる女性たちの視線も一緒になって動いた。・・・やっぱり、そんな蓮があんな事言うなんてありえないわよね。いつもの、たちの悪い冗談だったのかしら?
「あっ!チャレンジャーだわ。」
そんな事を考えながら、じっと見ていたら、綺麗系のお姉さんに声をかけられていた。何か話してるみたい。知り合いだったのかしら?
「・・・・・あっ!」
ほっぺにチューした。何よ!私の事愛してるなんて言っておいて!彼女いるんじゃない!やっぱり男なんて最低よ!私は、むかむかしながら、もうこれ以上その場にいたくなくて駆け出した。
・・・・あんな奴、大っ嫌い!!