最強の魔法 6
「結局、お前とジュリはキョーコとどこで知り合ったたんだ?」
キョーコが戻ってくるのを手持無沙汰に待っていると、監督に尋ねられた。他のみんなも興味津々で聞き耳を立てているのがわかった。まあ、いろいろ騒がせてしまったし俺も気になることがあったので素直に答えた。
「母は、モデルの仕事の時にキョーコと一緒に撮影したのがきっかけで仲良くなったみたいです。俺も、今日の雑誌の撮影でキョーコと久しぶりに再会して一緒に仕事して、その流れで一緒に来たんです。」
「再会?キョーコはモデルなのか?その関係で知り合ったのか?」
立て続けに質問されて、苦笑してしましながらも一つ一つ順番にこたえる。
「いえ、キョーコは一般人ですよ。今日もその前もたまたまスタジオにいたので代理で頼まれただけみたいです。俺は、日本に父に連れられて行った時にキョーコと知り合って、今日偶然再会できたんです。それで、ミス.ジェリーが気を使ってくれて一緒にここに。」
「へえ。すごい偶然だな。そういや英語の勉強がどうとか言ってたな。日本人なのか?それにジェリーの名前がよく出るよな。ジェリーってあれだろ?ヘアメイクアップアーティストの。ジェリーの関係者なのか?」
「キョーコは純粋な日本人ですよ。彼女はミス.ジェリーの姪なんです。それより、さっきから思ってたんですけど、監督、ミス.ジェリーからキョーコのことなんて聞いてたんですか?」
そう、それが俺の聞き」たかったことだ。一体なんて説明してキョーコの見学の許可を取り付けたのだろうと思っていたのだ。まるで、テンさんとのことを何も知らないみたいだ。でも、テンさんは確かにどこかに電話してキョーコの見学の許可を求めてた筈だ。
「ああ?ジェリーからなんて何も聞いてねえぞ?面識もねえし。最近、名前が売れてるきてるから聞いたことがある程度だぞ?」
「えっ?でも今日の見学の事でミスジェリーから電話か何かあったんじゃないんですか?」
「ジュリからならあったけど、ジェリーからはねえぞ?」
「母からですか?」
「おお。娘を社会見学させたいからよろしく頼むって。それもあったから、妹だと思い込んでたな。」
思いもかけない人物の名前が出て驚いた。テンさんが連絡したのは母さんだったのか。それにしても、母さん、もう少し説明のしようはなかったんだろうか。俺がいたたまれないだろ?
「それは、すみません。」
「いや、いいさ。それにしても、東洋系寄りの顔立ちだとは思ったけど、あれで混じりっ気無しの日本人か。こりゃ、・・・・期待できるな。」
「ええ、最初は同一人物だと思えませんでした。・・・俺も、今日初めて会った時にはあの姿だったので、素のキョーコに会うのは久しぶりなので楽しみです。」
ああ、本当に楽しみだ。夏のあの日に分かれて以来見ていない。成長したキョーコの今の姿を早く見たくて、うずうずした。
その時、タイミングを見計らったように声がかかった。
「お待たせしました!」
一斉に声のするほうに視線を向けたが、肝心のキョーコの姿が見えない。
「おいおい、主役はどうした?」
監督の言葉にスタッフは困ったように笑った。
「お姫様は恥ずかしがり屋なんです。素が見たいってことだったんでほとんど触ってないんですけど、いじりがいのある子ですね。あっ、来ましたよ!」
恥ずかしそうにうつむいて、他のスタッフに押されるようにしてこちらに歩いてきた。黒い艶のあるセミロングの髪が真っ直ぐにおろされて、小花柄のワンピースにボレロを合わせた格好で、両手を前で組んでいる姿は、まるで清楚なお嬢様のようだった。