[アランBD創作] To cherish the small happiness | てんじゅのひとりごと

てんじゅのひとりごと

主にイケメン王宮の呟き、自身の創作のブログになります。私自身、妄想好きなので創作は暴走するかもしれませんが、そのあたりは温かい目で見て頂けると光栄です。最近はイケミュをきっかけにRush×300の結城伽寿也君にもハマっていますwww

本日は最愛の人っ♡アランの誕生日っ!!

アランおめでとうっ(≧▽≦)♡

あっ、あと

レオおめでとうっ!!

危うく浮かれ過ぎてお兄ちゃん忘れるところだった←おいっw!!

叫び方に差があるのは・・・気のせい。って事にして下さいwww

もうアランには言いたい事がたっくさんありますが、もう胸がいっぱいで言葉が出てこなくて。語ると尽きないので割愛しますが。
アランと出会えた事で、ブログやTwitterでたくさんの方々と繋がる事が出来た事、仲良くして頂ける事を姫様方に感謝しています。そしてもちろんアランにもねっ♡

さてさて創作ですが。タイトルの意味大丈夫かなσ(^_^;) 英語が苦手な私は意味を調べて出たままのものを使ったんですけどね。
内容はちょっと暗いです。甘い部分もあるのですが、ちょっとシリアスチックになっています。
全てお話は捏造ですのでご了承下さい。
アランとプリちゃんのお話です。レオは・・・少しだけw

本当にごめんねレオ・・・m(_ _ )m

では無駄に長いですがどうぞ~(*^▽^*)


To cherish the small happiness


馬術のレッスンを終え、アリサは厩舎でアランと一緒に馬のブラッシングをしていた。

「今日もありがとう」

そう言いながらアリサが馬の顔を撫でるとそれに応えるかのように馬は鼻をアリサに擦り付けてくる。それをくすぐったそうに受け止めるアリサの姿にアランは優しい眼差しを送る。

「もう手慣れたもんだな」
「そうかな?これもアランのおかげだよ」
「まあな。指導者が優秀だからな」
「それ、自分で言う?」

道具を片付けながらアランとする他愛のない会話のやり取り。そして今だけの二人の時間。恋人である前にプリンセスと騎士の関係である二人には、こんな時間や些細なやり取りが大切で愛しく感じる。普通の恋人同士なら当たり前の事でも二人にとっては決して当たり前ではない。恋人でいられる二人だけの時間は限られ、騎士団長であるアランは常に危険と隣り合わせ。アリサの護衛は勿論、国内外で度々起こる争いにも赴かなくてはいけない立場にある為、いつ自分がどうなるのか分からないという中に身を置いている。そんなアランにアリサも正直な事を言えば毎日気が気ではないのだか、アリサは出来るだけ笑顔で務めるように過ごしている。

「ねえ、アラン。そろそろ誕生日だね」

道具を元あった場所に戻しているアランの後ろ姿にアリサは声をかける。

「ああ・・・」
「ねえ、アラン・・・」

アランの名前を口にしたままアリサは言葉を飲み込んでしまい物置き場は静まり返る。アリサの声を背にして聞いていたアランは急に口を噤んでしまったアリサを気にして振り返ると、アリサは目を伏せて何か言いにくそうな表情を浮かべていた。

「どうした?」
「うん・・・。こんな事お願いするのはちょっと違うと思うんだけど・・・」
「何だよ。言ってみろよ」

口元を綻ばせて優しくアランが笑う。

「アランと一緒にケーキ作りたいな・・・って」
「なら作るか?一緒に・・・」
「本当っ??ありがとう、嬉しいな」

即答のアランに先程までの表情が嘘のようにアリサの顔がぱっと明るくなる。

「理由がどうあれ、お前と一緒にいる時間が欲しいから・・・」
「アラン・・・」

自分と同じ気持ちをアランも持ってくれている事が嬉しくて思わず涙ぐみながらアランににっこりとアリサは微笑む。

「泣く事じゃないだろ?」

アランはアリサに歩み寄り、柔らかい眼差しで見下ろしながらポンポンと優しく頭を撫でた。

「前日、城下まで買い出しに行くか」
「うんっ」

アリサは満面の笑みを浮かべて頷いた。


―誕生日前日―

アランはアリサを迎えに行く途中ジルに呼び止められた。

「アラン殿、何処へ行かれるのですか?」
「ああ・・・。ちょっと城下に行く用事がある」
「少しお時間を頂いて良いですか?」

アランはジルと共に廊下を引き返してジルの部屋へと向かった。


(アランまだかな・・・。忘れてるって事はないよね)

アリサは支度を済ませ部屋でアランが来るのを待っていた。いつもなら時間前に来るはずのアランが約束の時間を過ぎても来ない事に少しの不安が募る。

(また急に公務とか入ったのかな・・・)

そう思いアランの部屋に行こうとドアを開けようとすると、ドアの向こうからノックの音がして勢い良く開けると呆気に取られたアランが立っていた。

「お前、やけに反応早いな・・・」
「あっ・・・うん。ちょうどアランの部屋に行こうと思ってたの。時間過ぎても来ないから何かあったのかなって思って」
「遅れて悪い。ちょっとジルに捉まってた」
「ジルに?」
「そんな事より買い物行くんだろ」

(あれ・・・?)

いつもと同じようにふっと笑って見せるアランにアリサはどこか違和感を覚える。

(何か隠してる?ジルと何かあったのかな・・・)

少し前を歩くアランの背中にアリサは心の中で問いかけた。



二人は材料を買い揃えた後、久しぶりに城下を散策していた。平日とあって人混みも無くいろいろな店を見て回る事も出来た。プリンセスだと気付かれないか心配でもあったがその心配も必要なかった。その事に少しだけ寂しさも感じてしまうが逆を言えば今だけは城下の人達と同じように過ごせるという事。アリサは紙袋を抱えて隣を歩くアランを窺い見ながらある事を思った。その視線に気付いたのか、アランがアリサに目をやるとアリサは慌てて視線を逸らす。その顔が何か言いたそうにしているように感じたアランは尋ねた。

「言いたい事があるなら言えよ」
「えっ・・・?」

図星だったらしくアリサは目を丸くしてアランを見上げる。

「隠しても無駄だから。顔見れば分かる」

アランがふにっとアリサの頬を軽く摘む。

「変な顔」
「ちょっ・・・アランっ!!」
「冗談。で、何だよ?」

悪戯に笑いながら頬から手を離し赤い瞳で真っ直ぐアリサを見つめる。真剣な眼差しを向けてくるアランに誤魔化せない事を悟ったアリサは僅かに視線をアランから逸らして遠慮がちに口を開いた。

「手繋いでもいい?」
「ほら」

アランは抱えていた紙袋を右手に抱え直し空いた左手を差し出した。手を重ねるとアランはぎゅっと握ってくれた。

「ありがとう、アラン」
「これくらい普通だろ」

アリサは手を握り返しアランに微笑むとアランも目を細め微笑み返してくれる。普通の恋人同士の時間を過ごせている事に幸せを感じていたアリサだったが城を出る前にアランに感じた違和感が引っ掛かったままだった。

その違和感の原因は城に戻ったから明らかとなるのだった・・・。


「・・・と言う事でアラン殿には明日の夜に視察に出発してもらうように話は通してあります」
「明日・・・」

アリサはジルに呼ばれ突然のアランの国境付近への出発が決まった事に愕然とした。

(あの時アランの表情に感じた違和感の原因はこの事だったんだ・・・)

「プリンセス聞いていますか?」
「は、はい・・・」

瞬きもせず一点を見つめたまま動かずに立っているアリサにジルは声をかける。その声にアリサははっとした顔でジルに向き直る。そんなアリサの様子にジルはピンと来たのか表情を曇らせ短く息をついた。

「明日はアラン殿の誕生日でしたね・・・」
「・・・」

ジルのストレートな言葉にアリサは返す言葉もなく口を噤んでしまった。恋人の誕生日は一緒に過ごしておめでとうを言える日。しかし、私達の関係は時にそんな甘い事も叶わない事がある。お互い国を背負う身である以上犠牲を払うのは仕方ないのだ。

―私情をはさむな、周りを巻き込むな・・・―

プリンセスに選ばれた日の夜にアランに言われた言葉を思い出す。

(私情・・・)

アリサは心を落ち着けるかのように静かに長く息を吐き出すと、顔つきを変えてジルを見据えた。

「今、国境付近で何が起こっているの?」

ジルは一瞬にしてアリサの表情が変わった事に驚くが、すぐに険しい顔になる。

「詳しい事はまだわかりませんが、国境付近の村が隣国クヌイの一部の住民によって荒らされているとの事です。原因や村の状況については全く不明ですのでその為にアラン殿に視察をお願いしました」
「確か・・・クヌイは昔シュタインに支配されていた時代があったよね?」
「はい、そうですが・・・。それが何か?」

アリサは眉を寄せこめかみに手を添えて何か考える仕草をする。

「これは私の憶測だけど・・・。ウィスタリアはクヌイに支援してるでしょ?そしてシュタインとウィスタリアは少しずつ国交を開いている。シュタインの支配国だったクヌイの中に今でもシュタインを良く思わない人間がいて、その人達が国交を開こうとしているウィスタリアに反抗心を持ったとしたら・・・とは考えられない?」
「確かにそれは一理あるかもしれません。仮にそうだとして・・・それが住民の意思なのか、或いは国の意志なのかでは対応が全く変わってきますのでそれを見極める事を含めて今回はまずアラン殿に動いてもらう事にしたのです」
「もし国レベルの話なら、まずは私が動くべきでしょ?」
「ええ。ただそれはアラン殿に止められましたので・・・」
「えっ・・・?」

アリサは顔をしかめた。

「争いのある所にプリンセスを連れて行く事は出来ない。狙われるでもしたら大変だと・・・。相手国の状況が分からない以上はプリンセスが動くべきではない。その大役は騎士団長の務めだと言っていましたよ」
「でもそんな大役をアラン一人に負わせるの?もし判断を間違えれば国同士の争いになりかねないよ、ジルっ!」

アリサは強い口調でジルに詰め寄った。

「ええ。ですからその変わりとしてレオを帯同させるようにアラン殿に伝えました」

ジルは冷静な眼差しでアリサを見据えて話した。



アリサはジルとの話を終え部屋に戻り、ひんやりするベッドに腰をかけ先程のジルの話に頭を巡らせていた。

(今回のアランの視察が相手を刺激してしまったら・・・。それに万が一これが国の意志だとしたら・・・)

いろいろな思考を巡らせても思いつく事は最悪な事ばかりだ。そうなればアランがその場に向かう事になってしまう。そうなった時、アランの身に何かあったら・・・。そう考えるだけでさーっと血の気が引いてしまう。

(アランを失うなんて考えたくないっ・・・)

アリサは両手で顔を覆い肩を震わせた。


眠る支度を整えてアリサはベッドに潜り込む。しかし一向に眠気が襲ってこない。時計に目をやると0時を回っていた。

(あ・・・アランの誕生日・・・)

アリサはベッドから体を起こし、カーテンの隙間から零れる僅かな月明かりに目をやると、その光に惹かれるようにして窓辺に立つ。空には雲ひとつなくほぼ満月のような丸い月が昇っていた。月を見上げるアリサの眼差しはどこか寂しさを漂わせていた。
クヌイとの国境までは馬を走らせ続けても早くて半日かかってしまう。夜通し馬を走らせる事を思うと、真っ暗な闇の夜より月明かりのある夜の方が良いのかもしれない。

(月明かりのある夜の出発なんだ・・・。大丈夫かな)


トントントントン・・・

しんと静まりかえっていた部屋に乾いたノックの音だけが響き渡る。

(アラン・・・?)

ノックの仕方や音で何となくアランだと最近分かるようになっていた。
ドアを開けるとそこには思っていた通りアランが立っていた。

「悪い、起こしたか?」
「大丈夫。私もまだ起きていたから・・・」


アリサはアランを部屋に通しドアを閉めると後ろからアランに抱きしめられた。

「えっ・・・アラン?」

突然の事にアリサはアランに振り返ろうと体をねじろうとすると、それを阻むかのようにさらにきつく抱きしめられた。アランの髪が頬に触れ吐息が耳やうなじにかかりくすぐったい。背中からアランの鼓動が響いて伝わってくる。

「少しこのままでいさせて」
「うん・・・」

アリサは首元に回されたアランの腕に両手を優しく添えて小さく頷く。暫く無言のままドアの前で抱きしめられた後、アランが動く気配がしたと思ったと同時にうなじに僅かな痛みが走った。

「ちょっ・・・アランっ!?」
「俺のものって印」

振り返ると悪戯に笑う見慣れたアランの顔があった。

「アラン、誕生日おめでとう」

アリサはきちんとアランに向き直り見上げてにっこりと笑う。

「ありがとう、アリサ」

アランは口元を綻ばせて優しく笑うとアリサの腰に両腕を回してふわりと持ち上げた。

「きゃっ・・・!?」

慌てたアリサはアランの両肩に手をつき目を丸くする。アランはアリサを持ち上げたままベッドの上に腰かけ向かい合わせでアリサを膝の上に乗せる。
間近でアランの熱っぽい視線と絡む。その赤い瞳に見入っているとアランの手がそっとうなじに触れ顔が迫り優しく口づけられた。角度を変えて何度も口づけを交わすうちアリサの体は次第に熱を帯び、儚い吐息も零れる。ネグリジェの胸元のリボンにアランの手がかかり解こうとするとその手をそっとアリサに握られやんわりと止められた。それに気付いたアランは僅かに顔を離して切なそうな瞳でアリサの顔を窺い見る。

「あ・・・あのね。渡したい物があるの」

そう言って赤らんだ顔を伏せながらそろりとアランの膝から降りて、ドレッサーの引き出しから何かを手にしてベットに座ったままのアランの前に立ち、手にしていた箱を差し出した。

「プレゼント受け取って・・・」
「ああ」

アランは上目遣いでアリサに微笑み箱を受け取ると包みを解いていく。箱を開けるとアランは目をパチパチさせる。

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「ネックレス?」
「うん・・・。アランには邪魔になるかなって思ったんだけど、お守りとして持っていて欲しいから」

アリサはアランの反応を窺いながら話す。

「お守り?」

アランはネックレスを手に取りペンダントトップをじっと見つめている。

「菱形の石はヘマタイトっていって昔から身代わり石って呼ばれてるの。兵士が戦場へ赴く時にお守りとして用いていたみたい。勝利へ導く石とも言われてるんだって。丸玉はルチルクォーツ。ヘマタイトとは相性も良いし、大事な局面で持ち主を勝利や成功に導くって。グループのリーダーが持つと効力を発揮するって言うからアランにぴったりだなって思ったの」

アランはペンダントトップに触れながらアリサの話に耳を澄ましていると、そのネックレスをアリサに差し出した。
「これ付けて・・・」
「あ・・・うん・・・」

アランからネックレスを受け取ると、襟元を広げて食い入るように見上げてくるアランの視線にドキドキしながら手の震えを必死に堪えて金具を外し、アランの首にネックレスをかけた。

「ありがとうな」
「うん・・・えっ!?」

アランはアリサの腰に両手を回し抱き寄せ、目の前にあるアリサの胸元に顔を埋めた。その事に驚いたアリサは目を丸くして一瞬体を硬直させるが、アランが自分に甘えてくれる事が嬉しくてふっと体の力を抜いた。サラサラした黒髪にそっと触れて梳くように頭を撫でるとアランが首をすくめて言う。

「お前それくすぐったい・・・」
「あ・・・ごめん」

アランは無邪気な笑顔を浮かべて顔を上げた。

「明日ケーキ作ろうな」
「えっ?でも・・・」
「約束しただろ?一緒に作るって」
「うん・・・。ありがとう、アラン」

アリサは涙を浮かべて微笑んだ。


―翌日―

キッチンからはスポンジの焼ける甘い匂いが漂い、イチゴの香りもそれに混じって部屋中に充満する。

「何だか体に匂いが付いちゃいそうだね」

生クリームを泡立てるアランと並んでアリサはイチゴを切りながらアランに微笑む。
「ん?」

アランはアリサに鼻を寄せて確かめるように匂いを嗅ぐ。

「お前、甘い匂いがする」

そう言いながらアランはふっと笑う。
本当はこんなに穏やかに過ごしている場合ではない。アランは今夜城を発つのだ。もしかしたら血を流す事態を招くかもしれない場所に向かうというのに隣にいるアランはいつもと変わらない表情でスポンジに生クリームを塗っている。

(内心は穏やかではいられないよね・・・。きっと私の為だ・・・)

そんな事を思いながらアランを見つめていると、その視線に気付いたのかアランが手を止めパレットナイフを置いてアリサの額を軽く小突いた。

「痛っ!!」

アランは少し呆れたような顔をしてはあ・・・と軽く息をつく。

「お前がそんな顔をしてどうするんだよ」
「そ、そんなつもりは・・・」
「めちゃめちゃ泣きそうな顔してた」
「だって・・・。本当はこんな事している場合じゃ・・・」

するとアランは顔を赤らめてアリサから視線を逸らして呟くように言った。

「だからこうしてお前とこうして一緒にいるんだろ」
「えっ・・・」

アリサはアランの言葉の意味をすぐに理解出来ず目をパチパチさせる。アランは軽く咳払いをして頬を赤らめたままケーキに向き直り

「あとはイチゴを盛り付けて完成だから・・・」

アリサと顔を合わせずに手早くイチゴを盛り付けていく。照れを誤魔化そうとするアランの横顔が愛おしくていつまでも見ていたくなる。

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「あっ、良い匂いがすると思ったら・・・。やっぱりここか」

突然キッチンのドアが開きレオが顔を覗かせた。

「あっ、レオ!!ちょうど良かった。入って」
「ん?」

アリサはレオの腕を引いてキッチンに招き入れる。

「アランとケーキ作ったの。出来たらレオにも持って行くつもりだったから」
「へえ・・・。イチゴがたくさん乗ってるね。俺好みに作ってくれたの?アラン」
「んなわけねえだろ。たまたまイチゴがたくさん手に入っただけ」

アランはムッとした顔でぶっきらぼうに言い放つ。レオはそんなアランをチラっと見ると

「みんなで・・・と言いたい所だけど、いろいろ今夜の出発の準備でバタバタしてるから戻るよ」
「あっ、そしたら待って。切り分けるから部屋で食べて」
「でも・・・」

そう言ってレオはアランを窺い見るとアランはふっと笑い

「切ってやるから部屋で食べろよ」

アランはそっとケーキにナイフを落として皿に移し、余っていたイチゴも一緒に盛り付けレオに差し出した。

「誕生日おめでとう、レオ」

思ってもいなかったアランからの言葉にレオは一瞬驚きの表情を浮かべくすっと笑う。

「まさか、可愛い弟からおめでとうの言葉が貰えるなんて思わなかったな」
「可愛いって言うな。いつの話だよ」

仏頂面で呟くアランの手から皿を受け取ると去り際にレオはアリサに目配せをする。

「お邪魔しました。ありがとうね、アリサちゃん」

そう溢してキッチンを出て行ったレオにアリサは何か思い出したのか、はっとした顔をして慌ててレオの後を追ってキッチンを出て行く。

「レオ、待って!」

キッチンを出た所で呼び止められ、振り返るとエプロンからアリサが何かを取り出しレオの前に差し出す。差し出された小袋を不思議そうにレオは見つめる。

「レオにも渡したくて。誕生日プレゼント」
「ありがとう、アリサちゃん」

レオはアリサの手から小袋を受け取り、袋の口を開けて傾けると中から黒光りする丸玉のヘマタイトがコロっとレオの掌を転がる。

「ヘマタイトっていう石。身代わり石って言われてて、戦地へ向かう兵士のお守りとして用いられてたの。今回の視察で何かあったら嫌だなって思って・・・」

自分の身を案じてアリサの気持ちを嬉しく思いレオの顔から思わず笑みが零れる。

「ありがとう。でもこれは・・・」
「アランにも渡してあるから大丈夫」
「そっか。じゃあ遠慮なく貰っておくね」

そう言うとアリサはニコっと微笑むが途端に顔色が曇る。

「今回の視察・・・。一歩間違えれば大変な事になる・・・よね」

目の前にいるアリサの顔には明らかに不安の色が浮かんでいる。レオはそれを少しでも和らげようと言葉を選びながら穏やかに話し始めた。

「大丈夫、俺とアランできちんと見極めてくる。絶対に血を流すような争い事にはさせないよ。でも・・・万が一の時はアリサちゃんの力も必要になるからその時は宜しくお願いします。プリンセス」
「はい・・・」

レオの言葉に強張っていたアリサの表情が僅かに綻ぶ。

「じゃあ行ってきます」

微笑みを残してレオはアリサに背を向けて歩いて行った。

(何事も無く帰って来て・・・)

アリサはレオの背中に無事を祈った。


今日一日アランと過ごす時間はあっという間だった。一緒に作ったケーキをアランの部屋で食べ終え、気が付くと日が傾き始めていた。
アランは立ち上がり出発の為の身支度を始める。そんなアランをアリサは黙って見つめていた。支度を終えたアランはアリサの視線に気付き歩み寄る。

「じゃあ、行ってくる」
「・・・うん」

アリサは俯き小さく頷いた。するとアランはアリサの前に片膝をついて跪きアリサの左手を取った。アランの所作に驚き目を見張るアリサにアランは真剣な眼差しを向ける。

「心配するな・・・って言ってもお前の事だから言っても仕方無いけど。この目できちんと見て事態を収めて無事に返って来る。何も状況が分からないままお前を危険な場所に連れて行く訳にはいかないしな。だからアリサは・・・無事を信じて待っていて欲しい」

アランは手に取ったアリサの左手の薬指に唇を寄せてキスを落とす。

「うん・・・。信じて待ってる」
「それにお守りもあるしな」

アランの首元には昨日アリサが贈ったネックレスが光っていた。

「行ってらっしゃい・・・アラン」

アリサは泣きそうになるのを堪えて目の前に跪くアランに抱きついた。アランの腕が優しくアリサを包み込む。

「アリサ・・・」

アランは体を少し離し両手でアリサの頬を包むと、こつんと額を合わせる。

「行ってくる・・・。必ずお前のところに戻るから」

艶やかなアリサの唇に口づけを落とすと、アランはすっと立ち上がり振り返る事無くアリサに背を向けたまま部屋を後にした。
アランの遠ざかる靴音を聞きながらアリサはまだアランの感触が残る唇に触れ、暫くその場に座り込んでいた。


日が沈み藍色の空に輝きだした丸い月が浮かぶ頃、アランはレオと部下と共に国境に向けて出発した。

(アランとレオが無事でありますように・・・)

そう月に願いをかけながらアリサはバルコニーから月を仰ぎ見ていた・・・。


Happy Birthday Leo & Alan!!

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~END~

長々とお読み頂きありがとうございました。
やり過ぎた感ありますよね・・・w もう自己満です///
ネタばらししますと、ケーキはクリスマスの時のものです。さすがに今回の為には作れませんw
スポンジを買ってクリームを塗っただけwなのでプレートを飾る前のものを写メっておきました。ネックレスもトップを決めるのにだいぶ悩みましたね。それもこれもアランの為っていう・・・。
ネックレス装着するとこんな感じ

DSC_0601-1.jpg

もう馬鹿上等っ!!
最近私の書くアランが100プリアランのような気がしてならない。あくまで王宮アランを意識して書いてるつもりなのですがね・・・σ(^_^;)アラン像を崩さないように今後も精進します!!

アランおめでとうっ♡♡♡