独占インタビュー | 偏見のないボーダーレスな世界/DAYBOOK/TokyoBorderlessTV

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映画 「 つゆのあとさき 」

高橋ユキノさん 独占インタビュー!!

 

メールにてご対応いただきました。

 

★主人公を演じるにあたり

準備したことは何でしょうか?


A. 琴音はコロナ禍の中、

生活のために身体を売ることを

選択して生きている女の子でした。

 

琴音という人間の核にあるもの

はなにかを考えていきました。

彼女の街の歩き方、背骨の感じ

街の見え方を知りたくて、

とにかくたくさん準備しました。

 

取材で言えば、歌舞伎町を一人

歩いて色んな人と話してみたり、

映画に出てくる出会い喫茶に

実際に行ったりもしました。

当事者の女の子と会える機会も

ありました。その子からは何か

を聞くということよりも一緒に

二人でご飯に行ったり

遊びに行ったりしました。

 

取材云々で視野を狭めたくなくて

普段のふつうに生きる彼女の姿を

ただ知りたかったです。後日談に

なりますが 試写に招待して

映画を観てもらった後に彼女が

「『キラキラパパ活映画』みたい

に描かれなくて嬉しかった。」

 と伝えてくれました。

 

★主人公を演じてみて

気付いたことはありましたか?

 

A. 今回「パパ活」という言葉を

使っていますが それを生業とする

女の子達が映画には登場します。

その女の子達と普段離れた 所に

生きている人たちからは アイコン

化されたイメージを 持たれていたり

パパ活をしている人間なんて

嫌だとか たくさんの選択肢が

ある中で自分が堕落した道を選んだ

んだろう、って思う方もいると

思います。もちろん その意見も

よくわかります。 私自身コロナ

禍の時に生活が困窮していたんです。

 

その時はまだ 俳優でなく別の

仕事をしていて、仕事の出勤日数

がコロナの影響 で減ってしまって。

 

保障はあるけど厳しくて、

ダブルワークとして 飲食店で

アルバイトをしましたが

トラブルで給与が支払われなくて

そんな中、当時住んでいた部屋でも

色々とトラブルがあって。 色んな

ことが重なって、私の場合は実家に

帰ることを選択しました。ですが、

映画に登場する琴音のケースだと、

家族には頼ることができなかった。

 

もしあの時、私もそういう状況

だったら。出会いの巡りあわせに

よっては、琴音と同じ選択をしていた

未来もあったのかもしれません。

やむを得ない、どうにかしたいけど、

今はどうしようもできないことって

あるんだと改めて考えさせられました。

人にはその人自身じゃないと、 

理解できない事情がありますから。
 

★演じるうえで

一番苦労したことは何ですか?

 

A. 苦労という程でもないのですが、

琴音は対峙する相手によって

かぶる仮面を変えるので

「この人にはこのくらい」という

彼女の中 の調整があります。

その調整ですかね。琴音はこの時

どういった眼差しかを 考えて

いました。撮影は基本的に時系列

をバラバラ に撮っていったのですが

「いまは、ここ。」と演じられる

ように、 常にフラットな状態の

琴音を自分の中で持って その都度、

その時の琴音の状態に持って行って

いけるよう努力しました。 屋上の

ラストシーンの撮影は初日に

やりました。その撮影順を

知った時にはプレッシャー

で心臓がぎゅっとなりました(笑)

 

★主人公とご自身と似ている

ところ 似ていないところ

があればお教えくださいませ

 

A. 似ているところについて

ですと…今は変わりましたが

昔の自分は、街の景色がひどく汚く

見えていました。ビルが立ち並ぶ

都会を歩いているとふつふつ

悲しみや 怒りが湧いてきて涙が

出るくらいに。他人に自分の気持ち

を 打ち明けることも、誰に対して

も出来なかったし、自分の孤独

がだれかの孤独と隣り合わせに

なれるとか想像も出来なくて。

 

その時の、迫りくる虚無感を

追い払いながらなんとか生きて

いた時期の自分は、どこか琴音に

通ずるものはあるのかなと思います。

 

似ていないところについては、

本当のところがどうであれ、

基本的に琴音はあまり感情を表情

に出さないようにしている。だけど

自分は嬉しさも悲しさもすぐに顔に

も身体にも出て しまうタイプで

意識的に抑えるのも難しくて

つい出てしまう 方なんです。

そこは似ていないのかなと思いますね。

 

★ご自身の心に残る、

注目してほしい

シーンを教えてください

 

A. どのシーンも大切に思っていますが

琴音の部屋に、さくらが訪ねてくる

場面ですかね。たしか最終日に撮影して

その日は映画に出てくる琴音の部屋の

シーンを撮っていた んです。外ロケ

じゃなくて部屋っていうこととか

1人のシーンが 多いこととかが理由

なのか、すごく孤独な気持ちになって。

 

それも相まって、リハーサルの時に

さくらが部屋から去って いこうと

する瞬間、涙が出てきて。でもあの

時はまださくらに涙を バレたく

なかった だからカーテンを閉めたんです。

 

その動きを本番でも監督が取り

入れてくださって。あとから

試写で完成を観たときに、

「琴音があのカーテンを閉めなかった

らどうなってたかな」っていろいろ

想像が出来て。 当時の想いも

相まって なんだか思い入れの

あるシーンとなりました。

 

★高橋ユキノさん自身は、

人を信じている人ですか?

 

人を信じるということについて話す

のって案外難しいですね。 期待は

あんまりしない方なんです。だから

「こういてくれるだろう」 みたいな

手の中に収めるような信じる、

ということは あまりなくて。

そうするとどこかすれ違ってしまう

ような気がするから。 でも人は好き

ですし、友達もたぶん多い方です。

 

対峙する時に 疑ってかかることは

ないですし、それぞれの人生を

生きている その人自身を信じている

という感じですかね。  

 

★最後に映画ファンへ

メッセージをお願いします。

 

 映画『つゆのあとさき』は、

昭和6年に発表された永井荷風

の同名小説を原案に、2020年の

渋谷を舞台とした、街と、そこに

生きる人々を描いた作品です。

 

街の様子や、時代、職の在り方、

使う言葉などが違っていても、

そこに在る人間の営みには、

変わらぬものがあると感じております。

 

「パパ活」や「売春」という言葉は

印象として強いですが、ただこの時代

を生きている人間たちの話と思って

演じました。 観る人によってそれぞれ

に受け取ることはかなり違ってくると

思いますが、心のどこかにある寂しさ

に寄り添える作品だと 感じてもらえる

と嬉しいです。そして今回、渋谷という

「街」が 作品の一つの要となっていて

街のその息遣いは、映画館のスクリーン

で観ていただいた方が体感して

いただけるかと思います。

 

まさしくそのロケ地である

ユーロスペースさんにて上映中ですので

映画を観た後の帰り道、現実と映画が

交差するような感覚を 味わっていただ

けるのではないかと。 ぜひ、映画館へ

と足を運んでいただけたら嬉しいです。

 

『つゆのあとさき』という作品に

一人でも多くの方が出会って

くださることを願っています。

 

 

「 つゆのあとさき 」

 

マジックミラー越しに

見える彼女たちの青春

 

高橋ユキノ、西野凪沙、

吉田伶香、渋江譲二、

前野朋哉 ほか

監督:山嵜晋平 
製作著作:BBB

 

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