ノロノロと迷走しながら日本列島を縦断しそうな台風10号。時速10~15kmの自転車並みのスピードで、各地に被害をもたらしながら進む様子をテレビで見て、むかしの台風はこんなじゃなかったのに・・・と腹立たしい思いです。

 

写真はYahoo!天気の台風10号に関する情報の中からお借りしました。

 

 わたしの故郷長崎を含む九州は、むかしから「台風銀座」と呼ばれるくらい夏場の台風通過には慣れていて、今のような詳細な天気予報や進路予想などなくても、周りの大人たちは皆豊富な経験を生かして対策をとり、それなりにやり過ごす術(すべ)を身に着けていたものです。よく親たちが「台風が九州山脈の向こう側ば(を)通るときはそがん(それほど)心配せんでもよかばってん(心配しなくてもいいが)、手前ば(を)通るときは気をつけんばいかんたい(気をつけなくてはいけない)」と言っていたのを覚えています。

 

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 さらにわたしの実家はすぐ裏が川の土手で、今はきちんと護岸工事も施されていますが子どものころはそうではなくて、それでも大人たちは雨の降り方で川の増水の予測を立て、それが外れたことはわたしの知る限りでは一度もありませんでした。豪雨で水かさが増すことを「川が太る」と言い、近所のひとたちも含めて皆、川の太り方については長年の勘で警報や注意報より正確に言い当てていたように記憶しています。また台風で屋根瓦やカーポートの屋根が飛ぶのもふつうのことで、とくにカーポートは屋根を頑丈なものにすると暴風に煽られたとき本体の骨組みごと折れ曲がってしまうので、あえて軽いプラスチックの波板をビス止めにしておき、飛んだらじぶんで波板だけ取り替えれば本体が痛まずに済むんだよとよく父が言っていました。

 

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 台風が過ぎて川の水が減ると、父はいつも隣近所のひとたちと一緒に川の清掃も兼ねて飛んだ瓦や波板を探しに行き、使えるものは再利用して何でもじぶんで修理していましたが、当時の生活の知恵とはいえ、ほんとうに万事のんびりしていたなぁと改めて思います。よその家のものが庭に飛んできても目くじら立てるひとなど誰もいなかったし、足りないものがあれば融通しあうのが当たり前、ちょっと鬱陶しいくらいに(失礼あせる)隣近所の絆がつよく、皆が「お互いさま」の心持ちで自然と寄りあいながら暮らしていた昭和30~40年代ころの話です。

 

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 思い出話はさておいて、むかしの台風は進路も速度も、もう少し素直でわかりやすかったと思うのですが気のせいでしょうか。最近の台風がほんとうに怖いのは、これだけ予報の精度が充実しているにもかかわらず、今回の台風10号のように当初の進路予想を大幅に裏切るような複雑怪奇な動きを繰り返すものが増えていることです。たぶん台風の大きさや頻度はむかしも今もそれほど変わらないと思うのですが、以前は沖縄の南の海上で発生した台風は九州を通って朝鮮半島に抜けたり、太平洋高気圧に沿って九州の南から四国や関東に向かい、その頃には勢力が衰えるのがふつうだったのに、最近のは勢力を維持したままいきなり東北地方を直撃したり、蛇行したり停滞したり、中にはUターンする異端児!?もいたりして、まるで手に負えないやんちゃな子どもみたいです。

 

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 今回の台風10号もすでに死者、行方不明者、浸水などの多大な被害を出し、ニュースを見るたびに胸が痛みますが、それが台風の進路上だけでなくかなり離れたところで起きていることにも驚きを禁じ得ません。遠隔地で発生する線状降水帯が台風の影響によるものなのかどうかわたしにはよくわからないのですが、そういえば今では日常的に使われる“線状降水帯”ということばも“ゲリラ豪雨”という表現も、むかしはなかったですよね。確か地理の授業で日本は温帯性気候に属し四季がはっきりしている国と習いましたが、今や“春夏秋冬”ではなく、夏か冬かの“二季の国”になりつつあることとも何か関係があるのでしょうか。

 

実は台風10号のさなかに長崎の実家に帰省していて、8月30日、機上飛行機でノロノロ台風台風を追い越して無事に帰京したのですが、長崎空港のフライトインフォメーションボードを見たとき、前後の便がすべて欠航の中、たった一機だけほんとに飛ぶのかしらんはてなマークと思いっきり不安になりました爆  笑。でも途中ほとんど揺れもせず、予定どおりに飛んでくれたのはとてもありがたいことでしたラブラブ

 

 そうそうもうひとつ。むかしの台風は通り過ぎると昨日までの風雨が嘘のように晴れ上がり、まさに台風一過晴れの趣でしたが、最近の台風は通り過ぎても曇天くもりや雨天雨がつづくこともしばしば。鬱陶しいことこの上なしです。温帯低気圧に変わってからも油断できないというのですから、まさか海上でエネルギーを溜めこんで再度台風に発達、なんてことはないよねはてなマークと思いながらも疑心暗鬼の思いです。自然の脅威の前にひとは無力なもの。備えはもちろん必要ですが、抗う一方ではなく撓(しな)やかにやり過ごすのも自然との共存の術のひとつではないかと思うこのごろです。

 

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