ドラマ『ANONE』
好きか嫌いかを聞かれると、微妙・・・。
演出が好きだし、脚本も良くできている。
ぶっとんだ設定でありがならディテールではちゃんとリアリティがあって、頭の中だけで作られた話ではないとわかる。
ただ、テーマが重い。重すぎる・・・・(^_^;)
このドラマには、主要登場人物の一人の女性のタナトゥス(死への欲望)が、生まれてくることのできなかった女の子の霊という形で登場する。
このタナトゥスは、とても優しい。
女性が追い詰められて、もうどうにもならない極限状況で現れて
「もう、いいよ。」
と言ってくれる。
ものすごく頑張って頑張って、それでもどうにもならないという状況で
「もう、いいよ」
という言葉は、これ以上ないというほどの許しの言葉ですね。
そして、女性が幸せを感じているとき(あるいは活路を見出した時)は、す~っと消えて現れなくなる。
この辺は、非常に文学的で哲学的で、もと文学少女の心にはぐっとくる表現だ。
芥川龍之介たっだか、
「青酸カリを持っていて、“いつでも死ねる”と思えるからこそ生きていられる」
というような文章を書いていたのを思い出させます。
死=救済
という、ちょっと宗教的な色彩がありますね。
あるいは、18歳前後の思春期の子がハマりやすい幻想でもあるような気がします。
さてさて、
親に捨てられた子と、
子に捨てられた親と。
子を産んだのに、親子関係を築けなかった女と
子をなせなかった男。
そして、妻と愛人に子を作り、二つの家庭を行ったり来たりしている男。
この5人がどんな運命をだとるのか、重くて疲れるドラマだなと思いつつ、ついつい目が離せません。。。