映画を観て気づいたこと
この映画は殺人の罪で裁判を受ける前科のある被告人（役所広司）を弁護する国選弁護人（福山雅治）が、前科がある為に死刑判決が確実のところを無期懲役になるように奮闘する姿を描いています。
そんな中で被告人の供述が二転三転し、弁護人を惑わせ、その分、弁護人は真実は何かにこだわっていきます。
あたしが、鑑賞後に「何❓どういう事❓」と感じたのは、この映画、最後まで真実が提示される事なく終わったからです。
被告人は本当に殺人を犯したのかいないのか。。。
普通のドラマならば大抵結末がはっきりしたところから結末に向かっていきますが、この映画はどうやら役者自身も最後まで、被告人は本当に殺人を犯しているのかどうかを知らされていなかったようです。妙に演技にリアリティがあるのはその為かもしれません。
現実には当然、最初から真実が分かっている裁判など無くて、弁護人はそこに向かって奮闘し、色々な事情から結局あえて真実に向かわずに判決が出る場合もあると思います。
本当に真実を知っているのは本人だけです。人それぞれ色んな事情があるわけで、被害者より加害者が絶対に悪いかといったらそうではないかもしれません。そこで真実とは何かを追求する事が果たして必要な事なのか。。。
そんな命題を残した映画でした。
裁判所は真実だけを追求する場所ではなく、お互いの利害を調整する場である場合もあります。
仕事柄、普段から目の当たりにしている人間模様からそんなことを思いました。
二度目の殺人で裁かれる被告人に、三度目の殺人というタイトルが意味深です。
この場合の三度目の殺人とは、司法が行う死刑のことなのでしょう。
映画の中にはその辺の物語がたっぷり描かれています。
役者の演技が光る面白い撮り方にDVDでもう一度観たい映画です。