YouTube動画のアップロード作業をしていたら、北朝鮮こと朝鮮民主主義人民共和国からの脱北者が日本の街を歩いて感動している...という動画が「なぜだか?」おすすめに出てきました。
タイトルとサムネイルだけで「ああいつもの”朝鮮に関するフェイク情報を流す”西側型プロパガンダか」とピンときたのですが、その動画のコメント欄を見ると相変わらず騙されきっている人の多さに頭痛とめまいがします。
σ(--#)アタマイター
日本語だけの情報空間に閉ざされているとそうなってしまうのは無理もないのですが、国防上の都合とはいえさしさわりがない情報に関しては報道にも載ったり現地からの発信もあるのをいくつも見てそれだけでも知っている身にとっては、「我々人間の認知というものはいかに簡単に”他者によって操作されやすい”ものなのか」の実例をくだんの動画のコメント欄に見る思いでした。
(同じことは新疆ウイグル自治区やチベット自治区、イラン等々にも言えてることなんですけどね。そしてそれらの誤情報の火元はいずれも米国英国、という共通点が)
我々人間の認知形成は意外と不正確でありまして、第一印象で強烈なゲシュタルトが構築されてしまうと、その第一印象が嘘だと判明し事実や現実を確固たる証拠を以って指し示された場合であっても、えてして「自らのゲシュタルト崩壊を恐れて無意識に”第一印象で刷り込まれた”情報に必死ですがろうとする」傾向が往往にしてあります。
この点を自分自身でしっかり認識していないと、日常的なことから国際情勢に至るまで、我々はいとも簡単に騙され誘導されてしまうのです。
かくいう私自身も、英米欧そして自国日本(日本の報道等の情報発信は話題も視点も英米欧いわゆる”西側”に偏りすぎている)の報道には長いあいだ随分騙されてきたなと痛感し、その点には反省しており、自分が情報を取得するときには「複数の国の情報源、複数の視点からの情報源、必要であれば情報発信当事者によらない科学的知見を調べたり心理学的見地も自分なりに鑑みる」ように、いささかなりとも気をつけているつもりです。
今後もその点は注意したく思っております。
ほかにも自分なりに気をつけたほうがよいと思っているのが、「言葉の使われ方」。
今回感じた違和感でいえば、日本語的にすでに手垢がつきまくっている「脱北者」という用語。
この言葉が多数の日本人にとっては「地獄の北朝鮮」なるイメージを瞬時に形成する助力になっていると思うのですが、そもそもの言葉の定義を考えると「もしも私が法的な出国手続きを経ずに勝手に日本領土外へ出て行けばそれすなわち自動的に”脱日”に該当する」わけですし、米国人が同様の不法出国をすれば自動的に”脱米”になるし、フランス人が同じようにすれば自動的に”脱仏”となるわけです。
こういう「一歩立ち止まって使われている言葉の意味を考えてみる、なんならこまめに辞書も引いて確認してみる」が本当に本当に大事なのだなあ、と「我々大衆は、実はいとも簡単に騙されやすい」ことを自分自身の身をもって経験したことを振り返って、つくづく痛感する次第です。
また、別の方面からの意見や取材も、いまの世の中ではかなりいろいろと調べることができ、日本語以外の言語を(Web上の翻訳ツールを使えばある程度の意味をとることは可能)確認・調査対象に含め調査範囲を広げることで、「我々日本語使用者、日本人、日本居民が日本語の情報空間の中で絶対に得ることができなかった情報や事実」につきあたることも実は多々あります。
というか、インターネット情報の海における日本語情報はその総量自体の割合が実は非常に低いので、日本語世界では見えてこなった「真実ではなく現実や事実(”何々の真実”という言葉にはこの場合要注意)、多様な意見」に非常にたくさん突き当たります。
こういうことを意識して、むやみやたらと特定の国の悪魔化・恐怖化・地獄化を煽る情報は念のため一歩引いて俯瞰して見ることが、いわゆる「メディアリテラシー」の一端と呼べるのだろうと考えている次第です。
さて、今回の「くだんの話題」は北朝鮮こと朝鮮民主主義人民共和国からの、いわゆる”脱北者”と呼ばれる人たちについての映像についてでしたが、米国の有名な金融経済メディアであるブルームバーグ(Bloomberg)が脱北者の女性たちにインタビューした映像というのが実は存在します(↓)。
この映像の場合は、「朝鮮の外が自由なパラダイスだと思ってやってきたら、実はそうではなかった」という現実の一面も物語っています。
このブルームバーグの取材を信じるか、「脱北者なる人が日本の街を見て喜んでいる映像」を信じるか、その判断は人それぞれだと思いますが、私個人としては「勤労と引き換えとは言え最低限生きていくための保障を国が提供している社会と、自分の住居や食べるものでさえすべて自分で獲得しないといけない苛烈な資本主義競争社会、この両者を勘案する視点を以って考えた場合、このブルームバーグの取材に映し出されている姿のほうが現実に即している」ように思えます。
いやほんと、このへんは情報の受け手のかたがたの認知形成のプロセスや知識背景によって大きく変わってくるので、私としては「我々情報を受け取る側は常に注意していないといけない」の一言だけは確実に断言できることだろうと考えているわけですけれども。
ちなみに。
我が家内限定では「メディアに顔出しして登場している脱北者は基本的に全員工作員」認定だったりします。
朝鮮に限らず、不法出国はまともな国ならどこの国とて容易ではないのは当たり前で、我々日本人も日本の入国管理法の規定により「出国しようとする日本人は、有効な旅券を所持し、入国審査官から出国の確認を受けなければ出国してはならず、これを受けないで出国し、又は出国することを企てた者は、刑事罰の対象となる(入管法第71条)」わけでして、それをわざわざ「脱北」なる言葉を造語し喧伝するのは、いろいろ調べていて見えてきた「米国の誘導工作の一端だろうなあ」と考えているからです。
https://www.moj.go.jp/isa/immigration/procedures/nihonzin_00001.html
米国は、韓国の初代大統領を傀儡として擁立し、朝鮮戦争を起こさせるためにさんざん挑発行為をしかけ(英米NATOが露宇衝突を引き起こそうと何年も何年も仕掛けていたのと同様の構図)、いざ戦端が開かれると国連を招集して国連軍を組織し多国籍で参戦し(1990年代初頭の湾岸戦争も似たような構図)、経済制裁を朝鮮にしかけるため率先して国連に働きかけ......と、何十年も繰り返し繰り返し「過干渉する行為」を繰り返してきているので、その延長線上で考えれば「米国のせいだな」と考えてしまうのは、人間の思考の帰結としては無理からぬことでしょう。
日本は朝鮮半島両国家の隣国になりますから、どこの国とて考えてしまいがちな「隣国がわが国を攻めてくる」的な誘導に気をつけないと乗せられやすいわけですけれども、非当事国であるインドの風刺コンテンツだと俯瞰で見ているせいか「朝鮮の真の敵は米国だ」という目線も見えてきます。
かように、こういった多方面から物事を見ることをちょっとでも意識することが、やはり重要なのだと痛感する次第です。