
パリ手稿F_f34v_太陽は極めて熱い
冷たい水を満たしたガラス球は、火から吸収せる、しかもその火より熱い光線を放出する。この実験によって、鏡または冷水球の発する光線の熱は、その鏡または球が熱いからではなく外からの作用によって熱くなるのだ、という結論がでてくる。この場合、同様なことが、それらの物体を通過する太陽にも起こる。つまり太陽が作用として熱をおこすというのである。しかるにこの実験によって人々は太陽は熱くないと結論した。がしかし同じ上述の実験によってその太陽が極めて熱いことが証明される、鏡または球の実験によって。それらのものは冷たいけれど火の熱から出る光線をとらえて、それを熱い光線に還元するのである。これは最初の源が熱いからだ。太陽に関しても同じようなことがいえる、太陽が熱いからこそ、そういう冷たい鏡を通過しても、大きな熱を反射するのである。太陽の光線が熱を起こすのではなく、その自然の熱がそうするのである。
こちらのページの右上には、凹面鏡を使って火を起こしているイラストとともに、太陽光線が冷たい空気や水の中を通過しても、その熱を失わずに光があたった箇所を熱する様子を説明している。

パリ手稿F_f85v_太陽の熱について
太陽の光線は寒冷な空気圏を通過して性質を変えず、冷たい水を満たせるガラス器を通過してその性質を失わぬ。透明なものならどんな場所を通過しようとも、それはちょうどそれと等しい[厚さの]空気を透過するのと同然である。
ちなみに太陽の半径は約70万kmもあり、地球の約110倍、質量は地球の約33万倍という大きさである。
この太陽からは膨大なエネルギーが放出されているが、太陽から放射されたエネルギーのうち、地球に照射されている光エネルギーは、ワット数にして約174PW(ペタワット=17京4000兆ワット)だそうだ。そして大気等による反射や吸収を受けつつ、そのうち約半分が地表に到達する。
ウィキペディアによれば、人類が地上でエネルギー源として実際に利用できる量は約1PWといわれ、これだけで2008年時点の世界全体の一次エネルギー供給量の約67倍もある。
例えばゴビ砂漠(約130万km2)の半分に現在市販されている太陽電池を敷き詰めれば、全人類のエネルギー需要量に匹敵する発電量が得られる計算になるそうだ。