鳥の飛翔に関する手稿~巨大なチェチェロの山の頂きから~ | レオナルド・ダ・ヴィンチのノート

レオナルド・ダ・ヴィンチのノート

万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチの活躍を紹介していきます。

213×153mmのサイズで、二つ折りにした紙9枚、合計18紙葉からなり、その大部分が鳥の研究で占められている「鳥の飛翔に関する手稿」が書かれたのは1505年頃、レオナルド・ダ・ヴィンチが53歳の頃である。

紙葉18vには、1505年4月14日、火曜日の晩、ロレンツォが私の所に住み込んだ。17歳とのことである。

同じ4月の15日、サンタ・マリア・ヌオーヴァの出納係から金貨25フィオリーノを受け取った…。

とハッキリと日付が書かれている。

この紙葉の裏側にはこのような一文があり、レオナルドの飛行への夢を象徴しているようだ。

$レオナルド・ダ・ヴィンチのノート-鳥の飛翔に関する手稿5r_チェチェロの山

「巨大なチェチェロの山の頂きから、大きな鳥は最初の飛翔を行い、全世界を驚嘆の声で満たし、全ての書物をその名声で満たすであろう。それが生まれた巣に永遠の栄光あれ。」

チェチェロの山とは、フィレンツェ郊外のフィエゾーレの近くのチェチェリ山のことで、ceceloはは白鳥という意味でもある。フィエゾーレからはフィレンツェの街が見下ろせる。
大きな鳥とはもちろん、レオナルドが製作しようとした飛行機械のことである。

この手稿の中には数多くの鳥のスケッチと共に、飛行機械の原理を示す図やメモが記されている。
例えば5rの飛行機械内の人間の図。
右上に描かれたスケッチは飛行機械を操縦する人がどうあるべきかを示している。

$レオナルド・ダ・ヴィンチのノート-鳥の飛翔に関する手稿5r_飛行機械内の人間の図

鳥の中にいる人間は、平衡を保てるように、小船の中でと同様、腰から上を自由にしておかねばならない。そうすれば、彼の重心と機械の重心の釣り合いを取ることが出来るし、更に必要の際には、機械の抵抗の中心の変化に応じて、彼の重心を移動されることができるだろう。

下側にある図は風の流れに乗って飛ぶ鳥の様子を分析したもので、その右にある鳥のスケッチは、前から見た、一方に傾いた鳥の図である。鳥が方向を変えるために、翼をどのように動かすかを記録している。

この鳥の飛翔に関する手稿は、有名なウィトルィウス的人体図が所蔵されていることで知られる、トリノ王立図書館に保管されている。


Biblioteca Reale
191 Piazza Castello, Turin, Italy 10122


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