私は病院から地域に出て以来、多職種の方と接する機会が増えました。
そしてこの数年は特に、多職種との会に参加している事で格段にその機会も増えてきました。
その中で他の職種の方から、療法士の業界は全体的に変わっているねと言われることは、残念ながら決して少なくないです。
その内容の多くは、療法士は何かの方法に傾倒しやすい、周りもカリスマを仕立てたがる、といったものです。
これは私の周りだけでなく、もしかしたら全国的にそういった声を聴いている療法士の方もいるのではないでしょうか?
私は別の業界で一度社会人を経験してからこの業界に入っており、その意見に対しては分かる部分はあり、実は私にとっても、理学療法士になりたての当初から感じていた違和感です。
しかし私も理学療法士のキャリアがはや10年以上経ち、そうである理由も薄々わかってきているつもりです。
ここからは、私は理学療法士なので理学療法士、理学療法の事についてのみでその見解を述べます。
理学療法が対応できる範囲はとてもとても広いものだと思います。
それもそのはずで、医師は例えば循環器科や整形外科など診療科が分かれているのに対し、理学療法の分野は全てにおいて明確に分かれているわけではなく、理学療法で様々な分野の疾患に対応していく必要があります。
だから理学療法の各々の細かい分野に対しては、誰かが強力に引っ張る事が必要ですし、それに賛同し、その方を支える多くの同業の方も必要です。
まだまだ発展途上の業界と思いますし、広い範囲を網羅しないといけない職業ですから、一つの分野はこの人から学んでおけば大丈夫、と思えるほどのカリスマに是非いてほしいと私は思っています。
話は変わりますが、世に浸透しているリハビリという言葉。
この言葉はリハビリテーションの略語で、一般的には機能訓練の事を指していると思います。
リハビリテーションの言葉は、直訳すると再び適合するとの意味であり、その言葉の本当の意味は全人間的復権であります。
ですので浸透しているリハビリとは、本来違った言葉の意味を持っています。
その言葉の意味を考えると、リハビリテーションは、決してリハビリテーション専門職といわれる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士だけで行うものではなく、対象となる方に関わる全ての多職種が協力してチームで行うものであると思います。
そしてリハビリテーションは、医学的、社会的、職業的、教育的リハビリテーションに分かれ、理学療法士は理学療法を医学的リハビリテーションの中で行う役割です。
それは病院で働く場合にその役割に特化した傾向が強く、私のような在宅での仕事をしている方は、他の役割もでてくるというのが現実なんではないでしょうか。
どちらにせよ私達理学療法士は、リハビリテーションをチームで行う場において、対象となる方からだけではなく、チームの周りからも理学療法での効果を期待されています。
なにかしらの効果もでないものは、医学的リハビリテーションに繋がる事はないでしょうし、理学療法行うことでの今後の見立ても、チームの一端を担うプロとして求められています。
そしてその場では、対象となる方の話に耳を傾け、多職種のスタッフの話に耳を傾け、チームで協力して担当する方のリハビリテーションをどうしていくかに取り組む姿勢が求められています。
だから理学療法に取り組む姿勢と、リハビリテーションに取り組む姿勢には違いがありますし、区別が必要ではないでしょうか?
確かにリハビリテーションの分野を研究されておられる学者の方もおられ、当たり前ですがそれが悪い事は絶対ないですし、そこでの理論や方法論が決していけないと言っているわけではないです。
対象となる方のリハビリテーションは、理学療法のように、誰かの知識を参考にして行う事で成就することは決してないので、私たちが誤解しやすいことかもしれませんが、同じように求める事自体がおかしい事だと思います。
その区別がないまま、リハビリテーションを行うチームの中で発言する事があり、冒頭に述べた他の職種から違和感を持たれることがあるのではないでしょうか?
実際に私が聞いた話のほとんどは、そういった類のものでした。
もちろんそのチームの中でまとめ役やチームを引っ張る方は必要ですし、その役割になる事はあるかもしれませんが、それはその場で自然に形成されていく事であり、まずは私たちがしっかりとリハビリテーションをチームで行う心構えが必要だと思います。
今後の日本の医療、介護、福祉の動向は、地域包括ケアの概念を中心と据えて行っていくものであり、リハビリテーションが本来の言葉を取り戻したチーム作りが必要となるのではないかと思います。
そのなかで今後の理学療法士は、リハビリテーションと理学療法の区別をした心構えが必要と思います。
リハビリテーションに、カリスマを求める姿勢は必要ないのです。