観たかった映画、ようやく行ってこれました。
遠くの映画館だし、もう夜しかやってないし、冬で帰り道が心配だったから二の足を踏んでたけど、友人に会いに行くことになったので一緒に観ることに。
たまたま天気も良くて助かった
ホロコーストの否定論者のデイヴィッド・アービングを批判して、名誉棄損で訴えられたデボラ・E・リップシュタットの戦い。
正義感が強くて感情豊かで大学教授で教養もあるリップシュタットだから、裁判ではさぞ熱く討論するのかと思いきや、雇った弁護団に発言禁止を言い渡されて、悶々と裁判所で座り続けます。
代わりに眼力で戦うようにしっかりとアーヴィングを注視して。
本人もホロコーストの生存者も証言したいと必死に訴えたけれど、敵の戦略に乗らないようにとの弁護団側の戦略で最後まで発言出来ませんでした。
弁護団の理論的にも筋の通った見事な主張の前に、ホロコーストの否定など愚の骨頂と思われるけれど、些細な事実を拡大解釈して捻じ曲げてさも正しいように見せかける否定論者。被害者さえ辱めて。
それに乗って騒ぎを煽るマスコミ。
まっとうなことを、正義を貫くのはかくも難しいと思わせる、思い出させる映画でした。
事実だから正しいから勝てるのではない。
裁判官や陪審員の判断次第だから、司法の機能ががきちんと働いていなくては。
究極、国の存亡にも関わることにもなるから、この映画では(英国でのこの裁判では)正しい判決がなされたけれど、我が国は…
とても先行きが不安になりますね。
リップシュタットのジョギングのシーンが何度も出てきて印象的でした。
最初から最後まで、自宅のアメリカでも、裁判先のイギリスでも、朝でも夜でも、どんな時も走り続ける。
この裁判は終わったけれど、常に戦い続けなければ、伝え続けなければ、また否定論者が幅をきかせて歴史の改竄が行われてしまうかもしれない。
そして過去の教訓は忘れ去られてまた悲劇を繰り返してしまうかもしれない。
そんな気がしました。
裁判に負けたアーヴィングだけど、懲りずにまた否定論をぶちまけ続けて映画は終わります。
やっぱりこんな人物はどうしようもないのか…と脱力も感じたけれど、たとえ一人が反省するなり世間的に消えるなりしても、後から後から出てくるものだろうから、油断できないですね。
因みに映画では伝えられないけれど、その後、ホロコースト否定が法律で禁止されているオーストリアで逮捕・投獄されたそうです。
否定と肯定の戦いどころか、はなから禁止されている国もあるんですね!
過去の過ちを繰り返さない信念がしっかりと根付いているということですね。
口先だけどころか、今やそう言う事自体が憚られつつある我が国は一体どうなってしまうのでしょう
超余談ですが、映画にシャーロック組のキャストも出てきて楽しかった~
…その分、複雑な内容が余計頭に入りにくくなっちゃったけど(;^_^A