2009年発刊なので少し前の本になりますが、我が国の世襲議員の多さ・異常さが良くわかる一冊です。

近年、日本での二世三世議員はほぼ50%にも上り、世界的に見て突出して多いそうです。

個人的にアメリカは多いイメージだったけれど、5%程度、ヨーロッパ各国も数%、イタリアだけは多いけれど、それでも日本以下とか。

政治制度も文化も違うとはいえ、これほどの差があるとは・・・!

 

世襲議員は、知名度・資金・人手の多くの面で圧倒的に一般人より有利で、当然たやすく当選できてしまいます。世襲の当選確率は70~80%で非世襲に大差をつけることができて、最初から不公平な状況ですね・・・

資金に至っては、政治家には親からの遺産相続や生前贈与が無税でできるシステムがあるそうです。

無税ですってよ!奥さん!

一般人は相続税が高過ぎて店を畳まなければいけないことすらあるのに、なんたる不公平!

それでも適格な人材だというのならまだしも、たいていは生まれながらに裕福でお金に困ったこともなければ、エスカレーター式の学校で大学まで出て受験戦争の苦労も知らず、就職も親の肝入りでまともに働いたことも無く、最後の選挙すらも親と後援会のおかげでたいして苦労せずに議員バッジを手に入れて・・・

そりゃロクな政治家が出来上がるワケないわ!日本の政治がまともに動くワケないわ!

 

同じ議員内閣制でもイギリスでは、立候補するにはまず党の公募があって、厳しい何度もの選抜を潜り抜けて、数百人の中からやっと一人残って、それでも最初の選挙はわざと厳しい地区にまわされて、というように鍛えあげられて政治家になるそうです。

日本の苦労知らずの世襲議員が太刀打ちできる気が全くしないんですが・・・!

因みに選挙区は出身地区とは関係なくどこでもまわされるそうです。

それだけでも相当、世襲の弊害を少なくすることができるかもしれませんね。

 

日本の世襲は先代の作り上げた後援会のおかげで当選できてるけれど、後援会は地域の企業等で成り立っていて、集票の代わりに利益になるように政治家に働いてもらう、持ちつ持たれつの関係。イソギンチャクとクマノミのようなものですね。

後援会にとっては世襲の方が都合が良くて、たとえ議員本人が子供に継がせたくなくても、子供を後継者してしまうことすらあるそうで。

どうしてあんな政治家が当選し続けられるのだろう、あんなとんでもない政党の支持率が落ちないのだろうと常々不思議に思っていたけれど、集票する人々にとっては自分の利益だけが大事で、政治家としての資質も国や国民にとっての政治もなーんにも関係無いのですね。

そして大半の政治に無関心な人々は、選挙に行かないか、よく考えもせず頼まれた誰かの名前を書くか。

自分達の生活や生命にすら直結することなのに、恐ろしい事態だと思います。

 

報道されないから無関心になってしまうのも少しは無理からぬことかもしれませんが。

問題を伝えるべきメディアそのものがどっぷり世襲に浸かっていて、テレビ局にも政治家や関係者の二世三世が大量に入社していて、お互いに便宜を図っているそうです。政権と結託しているようなものですね。

今やテレビ・新聞ばかりが情報媒体ではないとはいえ、それにしか接する機会の無い人々にどうやって伝えていけばいいのか・・・難しいですね。

 

 

     「この世界の片隅の君の名は晋ゴジラ」

          by吉田照美画伯

 

究極の世襲議員がトップになってしまった国。

第一次安倍内閣時、福島原発の危険を指摘されながら

「電源喪失は起こりえない」

と、一蹴して対策を阻んで事故を引き起こし、放射能を撒き散らしたリアルシンゴジラ。

このままだと近いうちにこれ以上の大災害が日本を襲うのかもしれません・・・!