この寒くて乾燥する11月に、
ドクターゆきのクリニックに、
全身真っ赤の湿疹の赤ちゃんがくると、
その日から、入浴は禁止、
ベビー石鹸、ベビーシャンプー禁止です。
洗面器にお湯をためて、
そこですすいだガーゼを絞って、
頭・首・顔・四肢の関節をやさしく拭きます。
毎日拭く必要はなく、
汚れたかなと思ったところのみを拭きます。
おむつの中は、ペットボトルにぬるめのお湯を入れて、
オムツをお尻の下にひいた上から、
お湯をかけてすすぎます。
肌のバリア機能は、水で壊れてしまうので、できるだけ、水との接触を少なくします。
もちろん、便や尿やミルクなどで汚れたところは、水でふきとることは大事です。
保湿剤も中止です。
しかし、今まで毎日保湿クリームを塗られてきた肌は、
バリア機能が破壊されているので、
保湿剤を中止した直後は、乾燥に耐えられないかもしれません。
乾燥が厳しいところのみ、
ほんのちょっとの白色ワセリンやベビーワセリン(市販に売られているヴァセリンはダメです)
を掌に伸ばしてから、肌の上に手のひらをのせて、おさえ塗りします。
たっぷり白色ワセリンを塗るのはダメです。
白色ワセリンのたっぷり塗りは、ラップをしたような状態になり、保湿過剰で肌バリア機能が壊れてしまいます。
白色ワセリンを塗っても、肌の表面がサラサラしている程度が適量です。
目安は、両手の平の範囲で、白色ワセリン米粒半分程度です。
白色ワセリンも塗らない方が、肌バリア機能が回復しやすいので、
なるべく早めに、塗らないようにしていきます。
そうすると、
2週間後には、湿疹が治っちゃう赤ちゃんが多いです。
そういう子は、
ベビーシャンプーやボディソープ、保湿剤によって引き起こされていた湿疹だったのかもしれませんね。
本来、赤ちゃんの肌は、人生の中でもっとも薄く、
バリア機能も低いのです。
バリア機能は、角質層の脂・水・タンパク質で構成されており、
それらは、ボディソープや保湿クリームで容易に破壊されてしまいます。
赤ちゃんの肌は、ぬるいお湯(体温程度の温度のお湯)で絞ったガーゼで、優しくふきとるだけで、
悪い菌やウイルスや埃や、ダニ、花粉、食物アレルゲンタンパク質を、十分にとりさることができます。
今の時期に、
毎日、肌を洗浄されて破壊され、ボディソープの刺激で皮膚炎を生じ、保湿クリームで角質層のバリア機能が破壊されて、
来院される赤ちゃんが、ものすごく多いです。
私には、赤ちゃんの肌が痛めつけられて、ボロボロになっているように見えます。
現状を懸命にお伝えし、
実践されて、赤ちゃんの肌が良くなって喜んでいらっしゃる親御さんがいらっしゃると、良かったな~と嬉しくなります。
しかし、
理解ができず、薬を処方しないことを非難される親御さんもいらっしゃいます。
そういう親御さんのお子さんは、のちのち、ステロイド誘発性皮膚症(難治性の湿疹)を発症しても、
原因がわからず、
親子ともども困惑して悲しい思いをしてしまうのではないかな、と思います。
ステロイド外用薬を塗ってしまう前に、「何もしない方が肌は良くなっていく」という事実に気づいて!と、
日々の赤ちゃんの診療は、湿疹が治らず悲しい思いをする方々を減らしたい一心でやってます。
なるべく、ステロイド外用薬を塗る前に、
塗っているのなら、なるべく早く、
ステロイドを塗らなくても治るのだよ、ステロイドを塗らない方法があるのだよ、と
知っていただきたい。
これからの世の中に、
ステロイド外用薬の薬害によるステロイド誘発性皮膚症(難治性の湿疹)をおこす方々が
少しでも少なくなりますように、
切に願っています。