5歳のお子さんの
両肘、両膝、両手首、首、両耳に湿疹があり、
今年から湿疹がでている、と受診されました。

典型的なアトピーの症状です。
特に手首の湿疹が強く、
湿疹の強さから、
おそらく、過去にステロイド外用薬を使用していたのではないかと思われました。

「今まで、ステロイド外用薬を使ったことはありますか?」と質問すると、
ママは、「いや、一切もらったことはありません。皮膚科に初めて来ました。」と、きっぱりと答えます。

う~ん、この症状からは、ステロイド外用薬を使用したとしか思えないのですが・・・・。

ママ「そういえば、汗疹の時に塗り薬を処方されたような・・・」と少し思い出したようです。

お薬手帳を見せていただきました。
すると、
小児科、耳鼻科、眼科などで、ちょくちょくステロイド外用薬が処方されていました。
ステロイドの点鼻薬も何回か処方されていました。
(今は、アレルギー性鼻炎のガイドラインで、第一選択薬がステロイド点鼻薬になっています。)

そして、薬の説明のところには、「抗炎症剤」としか書いてなく、
今まで、薬局でも、「ステロイド」という説明は一切なかったそうです。

「ステロイド外用薬」=「副腎皮質ホルモン剤」=「コルチゾール」=「抗炎症剤」なので、
お薬の説明文に「抗炎症剤」と記載があった時は、
「これは、ステロイドですか?」と薬剤師に確認してください。
例え、それが、ステロイドだったとしても、そこで押し問答せず、もらって帰っても、使用せずに捨てるしかないです。

押し問答になるのを避けるために、薬局は、ステロイドを「抗炎症剤」とお伝えしているのですから。

それとも、押し問答してみますか?
パワーのあるママならできるかもしれませんが、
育児が大変で疲れているママが、さらに薬剤師や医師と戦うのは、ちょっと負担が大きすぎて、あまりお勧めできません。

もし、日本全国のママたちが、一斉に、
「赤ちゃんに、ステロイド外用薬を使わないでください」と言うようになったら、
世界が変わるかもしれません。

それにしても、「ステロイド外用薬」を使っていても、それがそうだと認識しているママは少ないように思います。
お薬手帳は、捨てずに、ずっと成人まで取っておくとよいです。
カルテは、5年すぎると破棄されてしまうので、
ステロイド外用薬をどれだけ処方されていたかの記録がたどれません。

ステロイド依存症と診断される患者さんのほとんどは、
ご自身に処方されていた薬が、「ステロイド外用薬」というものだということさえ認識していらっしゃいません。

これからの子供たちをステロイド依存症にさせないためにも、
我々大人が、「ステロイド外用薬の薬害」について、
世の中に広く知っていただくように活動していかなければと思います。