ニキビの治療をしている女の子。
久しぶりに受診され、

「リンデロン軟膏が家にあったので、塗ったら、赤みが消えてよくなりました!!」と。

・・・・ニキビに、リンデロン軟膏などのステロイド外用薬を塗ると

一時的に炎症を抑えることができます。
翌日には赤みが消える、ということが可能です。

そのため、皮膚科医の中には、「ニキビにステロイド外用薬を処方する」人もいますし、
専門書に「ニキビの悪化時には、ステロイド外用薬が効く」と記載されていることもあります。

赤みを消す即効性があるので、一時的な効果をみると、「よくなった」と思うかもしれません。
しかし、それは、まやかしの「よくなった」です。

その後、その代償に、以前よりもっとニキビが多くなります。
なぜなら、ステロイド外用薬には、「ニキビを増やす」作用があるからです。
しかも、毛穴の脂腺には、ステロイド外用薬がながく残ります。

ステロイド外用薬を「肌に1回塗布し、24時間密閉した」その後を観察すると、
ステロイドは表皮からは数日で無くなりますが、
毛穴の脂腺には6日目にも検出されたというデータがあります。

ようするに、「あれ?ニキビが前より悪化してきたぞ」とびっくりして塗るのを止めた後も、
1週間は毛穴にステロイドが残っていることになり、ニキビが増え続けます。

以前、こんなケースがありました。
前医の治療で、ステロイド外用薬を1年以上も顔のニキビに処方され、
顔中に真っ赤に炎症の強いニキビができてしまった女の子が来院されました。
その医師は、「よくしてあげたい」という思いで、ステロイド外用薬を処方し続けてしまったのかもしれません。
「ステロイド外用薬の副作用」を甘くみると、患者さんにとって、とんだ「ありがた迷惑」な治療になってしまいます。
この子は、お湯だけ洗いにして、保湿剤を中止し、脱ステロイドしましたが、リバウンドはほとんどありませんでした。
その後、ビタミン剤や漢方薬の内服、ニキビの外用薬などで、ニキビの数は減り、赤みも軽くなっています。
今後、ニキビ跡も少しづつ薄くなっていくことでしょう。


「ニキビにステロイド、
やっぱり、
はじめはよいけど、後がこわい。」
ですね。