「脱ステロイド」を希望する患者さんは、

・ステロイド外用薬を塗っても塗ってもどんどん悪化する。
・いわれた通りにたっぷり強いステロイド外用薬を塗るとおさまるけど、中止できなくなった。
・今までは、塗ると効いていたのに、塗っても効かなくなった。
・ステロイド外用薬の副作用で、あから顔になってしまったが、塗るのをやめると湿疹がでるので、連日の外用がやめられなくなった。
・ステロイド外用薬を塗っても、ごわごわした皮膚が治まらなくなった。

などと、「ステロイド外用薬が万能ではない」現象を体験して、
しかし、皮膚科でそれを訴えても、聞いてもらえず、
おいつめられて、
「脱ステロイドする!」と決意した患者さんも多いのではないでしょうか。

その場合は、脱ステロイドが成功しやすいのではないかな、と思います。


しかし、「ステロイド外用薬を塗っていて、とくに、副作用で困ったことはないし、
塗ると湿疹が治まるので、ステロイド外用薬のおかげで助かっている」と感じている患者さんにとっては、
「脱ステロイド?なんでそんなことする必要あるの?」とちんぷんかんぷんでしょう。
そのような患者さんに、「脱ステロイド」の必要性を訴えても、理解できないし、
「脱ステロイド」を強要されたと、逆恨みされてしまいます。
親が子供に脱ステロイドを勧める場合は、お子さんが「脱ステロイドやステロイド依存に対する理解をしているか」や「脱ステロイドを本当にしたいのか」を話し合ってから、決めていただきたいと思います。

そうでないと、脱ステロイドのあとのリバウンドで、外見が湿疹でひどくなると非常に悲しい思いをするでしょうし、「うつ」になってしまうことがあるからです。

ステロイド外用薬は使用しないでいられたらよいのですが、
すでに、ステロイド外用薬がないと生きていけない状態になっていると、
脱ステロイドは、本当に大変なのです。


でも、その患者さんの肌の状態を診察すると、
ステロイド外用薬の副作用(皮膚委縮・同じ部位に湿疹が再発しやすい・色素沈着・ごわつきなど)が生じていますし、
毎年のように皮膚科でステロイド外用薬を処方してもらう必要が起こっている時点で、
それは、「ステロイド依存」による現象です。

脱ステロイドをしないと決めたとしても、「ステロイド依存状態」ということを理解した上で、
洗いすぎないこと、保湿剤を使用せず、乾燥には少量の白色ワセリン程度にして、
肌を気遣いつつ、なるべく弱めのステロイド外用薬を少量で使用していただきたいと思います。


そして、決して、
「ステロイド外用薬は使い方を間違わなければ、副作用の心配のない、安全な薬です」とは言わないでいただきたい。
・・・「すべての方に安全な薬」は存在しないものですから。
どの薬にも、添付文書に副作用の記述があります。