「酒さ」に、
プロトピックやステロイド外用を処方されて、
こじらせてしまう患者さんが
いらっしゃいます。

その場合は、「酒さ様皮膚炎」と診断。・・・ようするに薬害になります。
脱プロトピック、脱ステロイドを開始することになり、
患者さん、医師ともども、
結構大変な思いをします。


一般的な「酒さ」について、手元にある本には、
「遺伝的素因も関与し、各種刺激に対する血管運動神経の感受性が亢進した過敏状態」
「日光、ストレス、寒冷や温熱、アルコール、毛包虫などが悪化因子」
と記載があります。

う~ん、よくわからない病態ですね。


ドクターゆきは、酒さの原因で多いのは、
・「ニキビダニ」の増殖。
・肌バリア破壊による機能不全状態。

この二つと考えています。

この二つを攻略していく治療になります。
以前も、このブログでお伝えしたとおりです↓



ニキビダニは、常在ダニなので、
「症状を悪化させない程度に、共存していく」
ということが目標になります。

中年になると、肌の皮脂のバランスが変わっていくのでしょう。
その年代に、ニキビダニが繁殖しやすくなる方がいらっしゃいます。

ニキビダニが好む皮脂バランスがあるようで、
「ニキビダニに好かれてしまったのですね」
とお伝えすると、
皆さん苦笑されます。


ぽつぽつした赤い発疹をよくみると
シャーペンの先で点をつけたくらいの
小さい膿疱があるので、
それをセッシでつまんで、
顕微鏡でみると、ニキビダニが数匹みつかります。


まず、宇津木式スキンケアを指導します。
外用薬は処方せず、まず、本来の肌バリア機能を取り戻すことに
力をいれてもらいます。

宇津木式スキンケアで、
一度、皮膚の状態が悪化することが多いです。
外用薬を同時に処方して、症状が悪化した際に、
外用薬が合わなかったと誤解されると困ります。




同時に、
ミノマイシン50mg(もしくは、ビブラマイシン50mg)を内服してもらいます。
この抗生剤は、ニキビダニを退治しませんが、
白血球の皮膚への遊走を抑制し、
赤みを軽減する作用があります。

症状が軽減したら、抗生剤の内服を隔日内服にして、
徐々にやめてもらいます。

皮膚の皮脂バランスを整えるための
ビタミンB2、B6を内服。
肌の機能を強めるビオチンを内服。

宇津木式スキンケアに慣れてきた
2週間後頃から、ロゼックスゲル(=メトロニダゾールゲル ※保険適応ではありません)を
夜に、発疹のところにのみ塗ります。


1~2か月ほど様子をみて、
症状が軽くなってきたら、
ロゼックスゲルを隔日、夜のみ塗布にして、
徐々にやめていきます。


ロゼックスでうまくいかなければ、
オイラックスクリームをためし、それがだめなら、
イオウカンフルローション。

それでもだめなら、
フラジール(=メトロニダゾール ※保険適応ではありません。)の内服
を考えますが、

最近は、
宇津木式スキンケア、ビブラマイシン、ビタミン、ロゼックスで
ほとんどの方は、改善していきます。

ただし、
宇津木式スキンケアの実践中、
お湯だけ洗いでは、べたつきが気になる、
皮脂が多く、脂っぽい方には、
「乾燥しない程度に、純石鹸で夜だけ洗ってください」とか
「白色ワセリンは、使用しないでください」とか、
お伝えします。

酒さの方は、ニキビダニが繁殖しやすい体質のようで、
毎年繰り返すため、

「また、でてきちゃいました!イオウカンフルローションがあればいいのでください。」
とか、
「ロゼックスゲルがあれば、なんとかなります。」
とか、
「ビブラマイシンがちょっとあれば、助かります。」
とか、

症状の再燃時に、
それぞれが、ご自身にあった薬をもらいに来院されますが、
あまり重症になる方はいらっしゃらないように思います。


皆さん「なんでまた症状がでてきちゃうのでしょうね」
とうんざりしてますが、

・・・・「ニキビダニに好かれてしまったのです。」

そして、ゆくゆく、
年齢が高くなるほどに、
やはり皮脂バランスが変わって、
ニキビダニが好まない環境になり、
症状がでなくなっていきます。