はじめに
シェイクスピア四大悲劇の一つである『オセロー』。日本語訳(松岡和子 訳)を参考に、どのような物語なのかをまとめてみる。長さは文庫本で240ページくらい。戯曲、つまり登場人物の台詞のみで物語が進んでいく形式なのでサクサク読める。さらに、日本語が自然で読みやすく、訳注を併せて読めば作品を深く理解できるだろう。ぜひ手に取って読んでみることをお勧めする。この記事では大まかな、最低限の事のみを記すつもりだ。感想や解釈については、いつか別の記事として書くかもしれない。
登場人物
<相関図>※pc専用
ブラバンジョー(父)
反対 │
▼
オセロー(将軍) ──妻──▶ デズデモーナ
▲ ▲
│ │
│ 操作 │ 侍女
│ │
イアゴー(旗手) ──妻──▶ エミリア
│
├─そそのかす──▶ ロダリーゴー(ヴェニス人の紳士)
└─陥れる──▶ キャシオー(副官) ──愛人──▶ ビアンカ
<詳細>
オセロー・・・ヴェニスの将軍。ムーア人(アフリカ系の黒人で、モーリタニアではないかとほのめかされるが、出生は不明)。
デズデモーナ・・・オセローの妻。彼の勇猛果敢な身の上話に惚れこみ、黒人への偏見を乗り越えて彼と結婚した。心の綺麗で、顔立ちも美しい女性。オセローと比べてとても若い女性だと考えられている。
イアゴー・・・物語の中心人物。他の登場人物と比べると低い地位にあるが、陰謀を働かせて権力を掴もうと画策する。
ロダリーゴー・・・デズデモーナに惚れていた紳士。イアゴーにそそのかされてお金をむしり取られる。
キャシオー・・・オセローの優秀な副官。彼もイアゴーの罠にかかってしまう。
物語のあらすじ
第一幕
舞台は16世紀頃のヴェニス。オセローとデズデモーナが結婚した事を知ったデズデモーナの父ブラバンジョーは激怒する。ブラバンジョーとオセローは、議会で喧嘩をするが、デズデモーナ本人の釈明で二人が本当に愛し合っているという事が判明し、ブラバンジョーは矛を収める。ヴェニス公国はトルコと戦争中であったが、トルコ軍がキプロス島に侵攻しているという情報が議会に知らされる。オセローが派遣されることになるが、デズデモーナの願いで彼女も一緒に戦場へ赴く事となる。オセローとデズデモーナの関係が判明したために、彼女に惚れていたロダリーゴーは落ち込む。イアゴーはそこにつけこむ。お金があれば、俺が何とかしてやると言って、ロダリーゴーに土地や財産を売り払う事を勧める。「そのお金はデズデモーナに渡しておくから」、と言ったかどうかは定かでないが、そのような方法でお金を巻き上げる。
第二幕
舞台はキプロス島。トルコ軍の脅威が去ったため、宴が開かれる。とはいえ夜警は行われる。イアゴーは、その夜警の時間にキャシオーの信頼を失墜させようとたくらむ。イアゴーはロダリーゴーに、キャシオーがデズデモーナを好いていると吹き込み、キャシオーを罠にはめようと持ち掛ける。キャシオーと二人きりになったら彼に悪口を言って怒らせるよう指示する。その一方で、イアゴーはキャシオーにお酒を勧める。キャシオーがお酒に弱い事を知った上で。
深夜になり、キャシオーが夜警に出て行ったかと思うと、しばらくして激怒したキャシオーがロダリーゴーを斬りつけようと追いかけまわす。キプロス島の砦は大混乱である。オセローが騒ぎを聞きつけて登場し、何があったのかと問いただす。イアゴーは、キャシオーの名誉を傷つけたくないと躊躇う演技を見せたが、オセローに詰問された後、キャシオーがロダリーゴーを切りかかろうとしたと言った。キャシオーがお酒に酔って暴れたということで事態は終結し、オセローはキャシオーの副官の地位を解く。
イアゴーは落ち込むキャシオーを励ます。デズデモーナに相談をすれば、きっと彼女はオセローに働きかけてくれるだろう、と。イアゴーの次の企ては、オセローがデズデモーナとキャシオーの浮気を疑い始め、嫉妬(jealousy)で狂わせてやろうというものだった。
第三幕
イアゴーはオセローに、デズデモーナとキャシオーの「関係」を巧みに匂わせる。自分から全てを話すのではなく、小出しにしては躊躇う素振りを見せ、催促されてから続きを話し、キャシオーの名誉の為に言えないなどと言い、オセローの疑念を膨らませていく。
イアゴーは妻エミリアにデズデモーナのハンカチを盗ませる。このハンカチはオセローからの最初の贈り物で、愛の象徴であった。エミリアはイアゴーの企みを知らず、ただハンカチを盗るようにと言われていた。デズデモーナがうっかりハンカチを落としたため、エミリアはそれをイアゴーに渡す。イアゴーは、キャシオーの部屋にそれを置く。
オセローは疑念のせいでメンタルがやられてしまった。イアゴーに詰め寄り、デズデモーナの浮気の「証拠」を出してくれと激しく要求する。イアゴーはキャシオーがハンカチを使っているのを見たと言う。オセローは激怒し、イアゴーにキャシオーの暗殺を命じる。
デズデモーナはオセローにキャシオーの地位を戻すように願い出る。オセローはデズデモーナにハンカチのありかをそれとなく聞く。デズデモーナは失くしてしまった事を誤魔化そうとしたが、オセローは鋭く問いただし、最後には激怒してしまった。あのハンカチは母親からもらったもので、愛する人に贈るとその人は夫の愛を独り占めに出来るという魔法が織り込まれているのだ、と。そしてそのままどこかへ行ってしまう。
キャシオーはビアンカに、美しい模様のハンカチを見つけたからこの模様を写し取ってほしいと頼む。
第四幕
イアゴーは浮気の証拠をつかむため、オセローに陰に潜むようお願いする。キャシオーが登場し、二人はキャシオーの愛人であるビアンカについての話をするのだが、オセローはその会話をデズデモーナの話と勘違いする。キャシオーのニタニタした顔と、端々に聞こえる性的な表現に、オセローは悶える。そこへビアンカも登場し、キャシオーにハンカチを返す。そこでオセローの疑念は確信へと変わる。オセローは、デズデモーナを憎み、毒殺を考える。イアゴーはベッドで絞殺するよう提案する。オセローはデズデモーナを面と向かって非難するようになった。従者たちもいる中で罵声を浴びせたり、打ったりするようになった。周りの者達も、オセローの様子がおかしいという事に気が付き始める。
一方その頃、ロダリーゴーは自分が騙されていたことに気が付いていた。イアゴーに怒り、非難するも、イアゴーはのらりくらりと言い訳をし、ロダリーゴーを言いくるめてしまう。そしてキャシオーを二人で暗殺しようと計画する。
第五幕
ロダリーゴーとイアゴーはキャシオーを待ち伏せる。ロダリーゴーはキャシオーを刺すも刃が通らず、返り討ちにされる。イアゴーは背後からキャシオーの脚を刺し、その場を離れてからもう一度たいまつを持ってやって来る。イアゴーは瀕死のロダリーゴーにとどめを刺し、キャシオーを助ける。
その頃、オセローはデズデモーナをベッドで絞殺する。そこへ、エミリアがやって来る。オセローはベッドのカーテンを閉め、デズデモーナを隠す。エミリアによってロダリーゴーの死が伝えられる。オセローはキャシオーではなくロダリーゴーが死んだことに驚く。エミリアは瀕死のデズデモーナに気が付く。デズデモーナは最後の力で声を絞り出し、私を殺したのはオセローではなく、自分でやったのだと言って死んだ。エミリアは、潔白なデズデモーナを殺害したオセローを糾弾する。オセローは、イアゴーが浮気の証拠を持っていると言う。騒ぎを聞きつけて、二人の貴族とイアゴーが部屋へやって来る。エミリアはイアゴーの、ハンカチに関する陰謀を暴露した。イアゴーはエミリアを剣で刺し殺し、逃亡する。二人の貴族がそれを追う。イアゴーは捕らえられ、連れ戻される。キャシオーが担架に乗った状態で運び込まれ、他の貴族なども続々と部屋に到着する。ロダリーゴーのポケットから陰謀の証拠となる手紙が見つかった事で、イアゴーの陰謀の全てが露見する。オセローは剣で自分を刺し、デズデモーナにキスをして死んだ。私はこの事件を本国に知らせます、という貴族の台詞で物語は幕を閉じる。