今から約10年前の2008年に米国の教授、スコット・A・シェーンによって書かれた『<起業>という幻想』という著作が谷口功一氏、中野剛志氏、柴山桂太氏の訳で2017年に出版されています。
約10年前かつ米国の分析ではありますが、起業家の実態とはどんなものなのか、あるいは自治体等による起業支援施策が適切なものか等々、豊富なデータを基に実態が剔抉されており、今の我が国においても、起業を目指す人や産業活性化施策等の立案において、参考にすべきと思いましたので紹介しておきます。
特に紹介したいのが、第十章の「平均的なスタートアップ企業には、どの程度価値があるのか?」です。
新規企業の開業については、どこの自治体あるいは経済産業省においても、助成金等起業への支援が盛んに行われています。
http://www.pref.osaka.lg.jp/keieishien/start-apper/
https://web.pref.hyogo.lg.jp/work/cate3_310.html
P201からそのまま引用しますが、これらの支援を行う理由として代表的なのは、次のようなものでしょう。
「スタートアップ企業は倒産した企業に取って代わるものである。ビジネス人口を補充し、気が付きさえしなかったニッチ市場に首を突っ込み、新しい市場を創造する。ある地域が繁栄する時、その理由の一端は、常に新会社の設立によるのである。」
地域経済の閉塞感を打破するためには、起業率を高めることが最も効果のある施策の一つであると。公務員も議員もそれを疑うことなしに、起業支援を公共政策の基本的な目標とみなすのが現状かと思います。
しかしながら、筆者はデータから、起業支援施策が当初の目標を達成していないとしています。
①経済成長
・新企業設立と経済成長の相関性から、新企業設立の傾向が強い時期、強い場所では、GDPの成長率が高いとの研究があるが、これは相関関係と因果関係を取り違えた誤謬である。注意深い研究から導き出された証拠によるなら、好景気の時は不景気の時よりも企業が多い。
・新会社よりも既存企業のビジネス拡大に資金と時間を投入した方が、より高い経済成長をもたらすことができるのだとしたら、新会社を増やそうとすることは、経済成長の足を引っ張ることになる。メリーランド大学の研究では、企業の生産性(この場合は、雇用で測った売上高)と社齢の関係を検証したが、企業の生産性は社齢とともに上昇することが分かった。
・筆者の研究からは、国ごとの違いをもたらすほかのあらゆる要因を排除した結果、特定の年の開業率は、翌年の一人当たり実質GDPに負の影響をもたらしている。
⇒新企業の開業率を上昇させることで経済を成長させることができるのだという一般受けする信念は、おそらく正しくない。
②雇用拡大
・新企業の設立では雇用拡大を説明できない。社齢2年以下で一人以上を雇っている会社は、アメリカの雇用の1%にすぎない。対照的に、10年以上の社歴を持つ会社で一人以上を雇っている会社は、アメリカの雇用の60%以上を占める。
・毎年、一群の新しい企業が設立されるが、これらは、その年の新たな雇用のおよそ7%を産み出すにすぎない。また、これら企業が、その翌年に産み出す純雇用創出はゼロである。(倒産によって失われた雇用者数の方が多い)
⇒統計上からは、スタートアップ起業が、創業してから10年の間で9人しか多くの雇用を生み出していない。43人が起業に挑戦しての結果である。
③雇用の質
・新企業の雇用は、既存企業の雇用よりもパートタイムに近い。さらに、平均的な新企業の雇用は、平均的な既存企業よりも賃金を支払わない。より古いビジネスの方が、年金プランや健康保険を従業員に提供する傾向がある。
・サービス業において新しい企業が創出する雇用が4年後も存在する確率は、サービス業のすべての企業よりも10%から13%も下回っている。製造業では20%ほど下回っている。
④結論
・自治体等による起業支援は機能し、実際に新たなビジネスが増加しているが、スタートアップ企業を促進しようとする公共政策はくだらない。なぜなら、これらの政策のせいで、失敗しそうで、経済効果に乏しく、ほとんど雇用を産まないようなビジネスが誕生していることを示す証拠は数多く存在する。
・企業は社齢を重ねるほどに生産的になっていくのだから、平均的な新しいビジネスの創出に資源を投入するよりは、平均的な既存ビジネスの拡大のために資源を投入する方がよい。
・とはいえ、スタートアップ企業は排除すべきではない。あらゆる起業はいいものだと無邪気に信じ込む代わりに、ごく一部の企業家だけが、経済を成長させるようなビジネスを創出するだということを確認しておく必要がある。
とにもかくにも、政府や自治体は起業家支援施策が、本当に十分な効果を上げているのか、一度立ち止まって検証する必要があるでしょうね。
特に問題なのは、平均的な新企業の雇用は、平均的な既存企業よりも低賃金であるという点かと考えます。低賃金の企業をいくら産み出しても、我が国の経済環境は悪化するだけですから。
鶴岡八幡宮に行ったついでに、長谷寺・鎌倉大仏にも行ってきました。
江ノ電鎌倉駅から長谷駅まで。
ゴールデンウィークということもあり、かなり混雑していました。
↓御覧の通り、大仏より人間に目がいく。
ほんとに大仏だけなんですね。
建物とかは流されたとかは聞いたことあったのですが、ほんとに大仏だけでした。
どっかの千葉県の鎌〇〇大仏と違って、やはり「大」仏である。おおきい。

つづいて、長谷寺へ。
アジサイが有名ですが、季節が違うので人の多さもこれくらいで済んだのかな。
ただでさえ多い・・・
アジサイは咲いていませんが、お庭がきれいでした。
また時間にゆとりがあるときに、鎌倉行ってみたいと思いました。
特に平日に行きたいなと。。。
その後、某氏と食事のため町田に向かいました。
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