就労弱者を利用して (法規制に掛からない方法で) | 【ダトラーの休息】

就労弱者を利用して (法規制に掛からない方法で)

【障がい者の最低賃金ってないの】


私が行った講義の中で、生徒から質問があり、その流れから発展した話です。
生徒:「先生、障がい者は

最低賃金制に該当し無いんですよね」
(^^ゞ 先生って呼ばれる立場ではないんですが
私:「無いのではなくて、状況により減額する事が認められているんですよ」

 そもそも最低賃金とは厚労省は最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとしている最低賃金制度であり、これには一部の労働者に対しては最低額を減額しても良いとの特例もあります。
 特例に該当する人には何らかの理由で一般の労働者より労働能力が低いなどの状態の人も含ま...れます。

 その一つに精神又は身体の障害に関する項目もあり、これは一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれを回避するもので、障がい者などにも、まずは働く機会を提供するという面で十分意味のあることだと考えます。
 この場合は該当する労働者について、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の減額の特例が認められています。

 ただ、この決まりには抜け道があり、障がい者を雇用せず、外注などとして委託する場合は、雇用とは違う形態となり、最低賃金にも触れず、許可も出さなくて良いと解釈しているところも有る様です。

 これでも、障がい者などに働く場所を提供するという面では素晴らしい事でありますが、実情は働く場所を提供していると言うより、働く場が無い就労弱者を不当な単価でこき使ていると言う状況が見受けられます。

 私が聞いたことのある内容について述べると、その業務に於いては仕事を指導監督する立場で実力的にも上級の健常者が1単位当たり2時間以上、一般の健常者の場合3時間前後も掛かってしまう作業を障がい者に1単位当たり550円前後の単価で外注しているという事の様です。
 実際に上肢の障がい者が行った場合4時間くらい要したらしい、これは時給当たり137円程度となるが、厳しい中にも配慮された点としては、関連機材の貸与や自宅での作業など出来る環境となっている点。
 それにしても時間当たり200円にも満たないのは如何なものか?

 この様な単価を雇用にした場合、表に出せないなどの流れから、雇用でもなく、最低賃金の取決めもなく、賃金が最低基準に達してなくても申請の義務がない、外注という方法を取っているのではと考えてしまう。

 私自身の考えとしては、障がい者自身も出来る範囲で働くべきであり、その場を提供してくれる企業にも感謝するべきであると思うが、健常者がどう技術を駆使して行っても最低賃金に満たない単価となる労働を課すのは企業としてモラル的に問題があるのではと考える。
 健常者が1時間で出来るものを障がい者が2時間掛かるから2時間分の単価を出すべきとは全く思っていないが、せめて障がい者に発注する量は健常者が行なった場合、最低賃金に照らしてても適切な量であるべきではないかとの話をした。

 この問題は地方の零細企業に関する事ではなく、その昔三公社と呼ばれた大企業の中の子会社や部署の中で現在も行われていることです。