寝ている間に手のひらを引っ掻いてしまったらしい。
出血こそしていないものの、軽い擦過傷のような状態になっているのを見ると、結構な勢いだったのかもしれない。
そんなになるまで引っ掻いているのなら、気づきそうなものなのに。
こういう傷を作るたび、同じことを思う。
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ぱらぱらと降り出した雨が、いつの間にか豪雨になっていて、帰れない帰れないと嘆きながら残業をする。
日頃の行いが良かったからなのか、職場を出る頃には小雨になっていて、スーパーから出た時には傘も必要なくなっていた。
こういうことって、冷静に考えたら結構嬉しいことのはずなのに、その場では当たり前のように受け取っている。
「あ、止んでる」
たったそれだけの反応で済ませてしまっている。
もっと喜んでもいいことのはずなのに。
嘆いていた時の自分からしてみたら、ぱっと視界が開けるくらいの出来ごとのはずなのに。