ギャバン、P子、シャルピー、ジャワ、キクリン、ケロ
これらは小中高と学んできた学校の先生のあだ名だ。
生徒間でしか通用しない呼び名、例えるなら業界用語、若しくは忍者で言うところの隠語。
ギャバン:変身前のギャバンが穿いていたパンタロンに似た物を穿いていたから。
ジャワ:ジャワ原人に似てたから。
などの気軽な理由で決められる。
先生以外では中学の用務員は衣笠(広島カープ)に似ていたのでキヌと名付けられていた。

そんなあだ名も付かず只、苗字で呼ばれるだけの先生、奴の名は『宮本』
強烈が故に今でも昨日の事のように思い出せる宮本との思い出。
同級生の頭の中に必ずいる宮本。
知恵遅れの子供も容赦なく蹴っていた宮本。

人格形成が成されていない小学校3年生の俺にとって、この先生に出会ったことは幸か不幸だったのか?
この先生が担任になり「目上の人には可愛がってもらう事(ゴマをする)」を覚えた。
PTAからは熱血先生・情熱先生等とうつっていただろう。

彼女に振られた翌日、先生は授業をしなかった。
休み時間は床にうつ伏せになって泣いていた。
「可哀想・・・」と慰めようとする女子はいた。確かにいた。だがそれはしなかった。いや、出来なかったと言っていいだろう。
恐怖で支配されていた3年4組の教室では下手な事を言って突然キレられる事をみんな恐れていたのだ。

ある日の体育の授業、先生が大好きなサッカーをやった。
ただ楽しくボールを蹴り合っていた。
しばらくそんな時間が経った時、誰かのシュートがゴールマウスを外れボールがラインを割った。取りに行った先生はゴール裏からドリブルを始めそのままシュートし「ごぉぉーる!」と叫び得点が加算されたのを見た。
俺は次にボールが外を出た時、先生の真似をしてゴール裏からドリブル&シュートを決めて喜んだ。
そしたら先生は「そんなのはサッカーじゃねぇっ!!」って突然ぶちギレた。
「え?さっき先生・・・」とまで言うが目がマジだったのでそれ以上は言えなかった。


そんな宮本の一番理不尽だった出来事がある。

小学3年生は元気いっぱいエネルギーがいつでも有余っている。
休み時間に廊下で鬼ごっこをしていた。
そこにいつもより早く次の授業の準備の為か先生がやってきた。
「こらーー!!今、鬼ごっこをやってた奴全員出て来い!」
「お前ら先生が何回、廊下を走るなと言った?ああ??」
先生の言葉に俺を含めた男の子5人はガクガクブルブル。
すると先生は「それじゃ、今から校長室のドア触って30秒で帰ってきたら許してやる」と鉄拳制裁を覚悟していた俺達に猶予を与えてくださった。

これは行くしかない!!

「よ~~い、ドンッ!!」
鉄拳制裁を逃れる為、先生に気に入られる為俺達は走った。
校長室まで約100mしかも2階から1階に降りる階段もある。
俺は一番で校長室のドアを触り階段を登った。
残りは教室までの数10mだ。
宮本は教室の外で『良し良し頑張ったな!』という表情で俺達を待っていた。
時間はオーバーしたけど頑張りに免じて許してくれるんだな!と。
何だか妙に嬉しくなって宮本の待つゴールへと向かった。

すると宮本は・・・

「廊下を走るな!!と言っただろ!!!」と言い放ち必死の思いでゴールした俺に鉄拳制裁を見舞った。
呆気に取られて呆然とする俺を横目に次々とゴールする友達に鉄拳制裁を加えた。

そんな宮本に1年前ある所で出会った。
宮本は今、派遣社員だった。
ちょっぴり切ない気持ちになった。