シャーマンの瞳 | DAIGOの名言から紐解く言葉の意味

シャーマンの瞳

シャーマンの瞳

私が生まれた頃、

村にはテレビも、ラジオも、

ましてや電気さえ通っていなかった。

今考えると、なんにもなかった。

私たちはとっても暇だった。

毎日田畑を耕すこと以外何にもすることがなかった。

だから、毎日誰かと会うたびにいろんなことを話した。

みんな話好きだったので、みんな仲良し。

当時、村人たちの間でとても騒がれていたものがあった。

それは、湖の湖畔に住んでいるシャーマンのこと。

子供だった私はシャーマンという言葉が分からなかった。

学校の先生に聞いたら、「霊と交信できる人」のことだって。

でも、その話はしちゃいけないと注意されちゃった。

大人たちが噂していることを聞いていないフリをして、いつも耳を傾けていた。

「シャーマンは宇宙からやってきた」

「シャーマンは空を飛ぶことができる」

「シャーマンは霞を食べて生きている」

そのほとんどが本当か、嘘か分からないことだった。

そんな噂の中にとても興味の引くものもあった。

それは、「シャーマンは眼帯をしていて、眼帯の奥の瞳を見たら、自分の将来がわかる」というもの。

そんな噂を聞いてから、ずっと思い描いていた。

シャーマンの瞳を見ることを。

そんなある日、何人かの友達を集め、シャーマンの屋敷を目指した。

村の食糧庫からすぐに食べられそうなものを失敬して、旅立った。

朝早くからピクニック気分で歩いた。

野原で綺麗な花を見つけて花飾りにしたり、川で泳いだり。。。

寄り道をたくさんしたけど、目的地には少しずつ近づいていた。

湖畔に行くと、日が暮れかかっていた。

段々と暗くなるにつれて、不安になってきた。

木々がザワザワしているような感じがして、動物の鳴き声が聞こえてきて、暗くなっている部分から何かでてきそうな気がして・・・

屋敷に着いた時、完全に日が暮れていた。

月明かりを頼りに着くことができた。

ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。

みんな緊張しているようだった。

言い出しっぺの私は、勇気を絞って屋敷のドアをノックした。

数分の沈黙の後、ガチャリと鍵が開く音がした。

扉を開けてみると、誰もいなかった。

いや、暗くて見えなかった。

何が目の前にあるのかさえ・・・

みんなで手をつないで、一歩一歩足を屋敷の中に踏み入れた。

すると、目の前がパッと明るくなった。

シャーマンの手には一本のロウソクがあった。

シャーマンの顔を見ると、噂どおり眼帯をしていた。

一番小太りなトムがシャーマンの元に駆け寄った。

そして、「瞳を見せてくれ」と頼んだ。

シャーマンは、穏やかな顔をして、トムに見せた。

すると、トムは大声をあげて外に行ってしまった。

何を見たんだろう!?

次に、女の子のサリーがシャーマンの元に行った。

シャーマンの瞳を見たサリーは温和な顔をして帰ってきた。

怯えたトムに満足しているサリー。

対照的だった2人の表情に混乱した。

次は、私が行く晩だった。

一歩一歩シャーマンのいるところに向かった。

ドクン・ドクンという音を立てながら・・・

背の低い私のためにシャーマンは少しかがんでくれた。

瞳を見ると、そこには自分が写っていた。

大人になった自分がシャーマンの瞳を通してこちらを見ていた。。。

今の私と同じように、不安を顔に浮かべながら・・・

(次回へ続く)