氷室のChrome Heartsが最も輝きを放ったツアー、
スティーブの超絶テクとパフォーマンスがホールで見られたツアー、
なぜ映像化されないこらのか、いまだに分からないツアー、
それがBEAT HAZE ODYSSEYの私の印象だ。
REVOLVER ENCORE “BEAT REACTOR 2019”
横浜アリーナでのライブが、オープ二ングの「bringing da noise」からアンコールのバラードまで計17曲も上映された。セットリストと比べると省かれたのは、たったの3曲のみということになる。このツアーに浸かるには十分な曲数だ。
歴代ツアーからのピックアップや、市販の映像ではカットされたBORDERLESS ラスト横浜アリーナのDREAMINも悪くはなかったが、BEAT HAZE ODYSSEYよりインパクトは薄かった。
BEAT HAZE ODYSSEY
19年ぶりにこのライブを目の当たりにして一番感じたのは、映像化しない理由がますます分からない、という事だ。
素材の輝きと綺麗めなシルエットが印象的なエナメルのロングコート。SHAKE THE FAKE、One Night Stand、HIGHER THAN HEAVEN、氷室はこれまでのツアーのオープニングで何度もクロムハーツのジャケットを纏ってきたが、それらはいずれもロックとバイクを意識したこのクロムハーツお得意のハードなデザインであった。しかし今回は一転し優雅で気品溢れるデザイン。でもこれが見事に功を奏し、ド派手なクロスが大胆に埋め込まれたレザーパンツと組み合わせることで、相まった2つのアイロニーが融合して、強烈なパンクテイストをより際立たせていた。
これらは氷室のためだけに作られたオリジナルモデルだ。リチャードの卓越したセンスと本気度が感じられた。
ファンシーチェーンのブレスレット、BSフレアのリンクネックレス、ケルティックのローラーベルト、OTCローラーウォレットチェーン、クラッシック リンク チェーン ブーツ。
クロムハーツ史上に名を残す名品が傍を固める。
HIGHER THAN HEAVENの素肌にレザーコートと同じくらい、私はこのオープニング衣装が気に入っている。
それにしてもスティーブはすごい。
One Night Standが史上最高のツアーと讃えられる理由は、音楽的な完成度と、氷室のエモーショナルな面と、オーディエンスのボルテージが同じベクトルで、それまでの領域を超えたからだと思う。
それを先導したのは氷室であり、その氷室を覚醒させたのはスティーブだ。
布袋寅泰、友森昭一、Charlie Sexton 、香川誠、本田毅、日本が世界に誇るギタリストとアメリカ音楽シーンを変えたギタリストを我々は氷室の隣に見てきた。どのギタリストも素晴らしかった。氷室の隣に相応しかった。しかしスティーブはこれらのギタリストを遥かに凌駕していた。別次元だ。One Night Standで初めて見た時の衝撃は20年以上経った今でもはっきりと脳裏に焼き付いている。
スティーブの強烈な個性は氷室と酷似していた。2人の掛け合いは戦場に飛び交うマシンガンのように激しかった。ソロのパートではメーターを振り切っても挙動が乱れないスポーツカーのように、複雑で繊細なフレーズをいとも簡単に弾きこなしていた。
別々の場所に立っていても、常にお互いが共鳴していた。本能のままに、パンクロックのインスピレーションが命じるままに全てを曝け出す。激しい感情と気高い知性が入り混じりメロディーに命を吹き込んでいく。2人の音と動きに時が封じ込められているかのような錯覚を覚えた。
そんな凄まじいライブが19年前のツアーで繰り広げられていた。映像化されない理由が、私には全く分からない。
最後に、このイベントにはどうしても賛成できない部分がある。
私は氷室と同じくらい映画が好きだ。毎年50本くらいは新作を観ている。どうしても早く観たい映画は映画館に足を運ぶ。私にとって映画館はもう一つの”聖地”なのだ。
世界中で最も優秀なスタッフや俳優が命を賭けて作った作品が上映される映画館。
REVOLVER ENCORE “BEAT REACTOR 2019”がアベンジャーズ/エンドゲーム の倍の値段の価値があるとは決して思えない。