BLEACH二次創作小説 No.86 『reBirth』  CP:藍ウル、藍ギン   注・BLです
                登場人物:ウルキオラ、藍染惣右介、市丸ギン、東仙要、グリムジョー

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心地良い無に揺蕩っていた。
そして、抗いようのない強い力によって、引き摺り上げられた。


ゆっくりと瞳を開けると、端正な男の顔が目に入った。
微笑を浮かべた厚みのある唇が、艶やかな声で、甘い言葉を紡ぎ出す。
「――ようこそ、私の破面」
その男は、生まれたばかりの彼の頤に手をかけると、大きな碧の瞳をじっと覗き込んだ。
「君に祝福を与えよう」
そして近付いてきた唇が重なった。
重なる――?
男の顔が離れると、そっと指先で唇を確かめた。
無かったものが、存在する。
彼は悟った。
目の前にいるのは徒人ではない。


神、なのだと。


「名前を訊こうか」
問いかけながらも、藍染の指先は確かめるように頬の仮面紋に触れていた。
「…ウルキオラ」
「ん?」
「ウルキオラ・シファー」
呟くように答えた唇を、頬から降りた指先がなぞる。
「――ウルキオラ」
艶やかな声で名を呼ばれ、ぞくりと背筋がざわめいた。
「良い名だ……。ギン」
「ハイ」
藍染に呼ばれ、陰にひっそりと佇んでいた男が出てきた。
頭のてっぺんから爪の先まで真っ白な男に、白き者として存在していた自分を重ねた。
しかし、その男はウルキオラの方をちらりとも見ようとはしなかった。
「ギン、お前がウルキオラの面倒を見なさい」
「ハァ? 何でボクがせんとあかんの。コイツらの面倒見るんは、東仙サンの役目やないの」
「要には別な用事を頼んでいるんだ。今は君だけだろう?」
ギンはわざとらしく大きな溜め息を吐くと、嫌そうにようやく視線を向けた。
「ほな、ついて来ぃ」
言い残すとさっさと部屋を出て行ってしまう。
取り残されて藍染へと目を向けたが、彼はもうウルキオラの方を見てはいなかった。
縋りつくものを無くし、仕方なくギンの後を追う。
髪に絡んだ仮面の破片が、パラパラと床に弾けた。


ウルキオラは、廊下に出ると、ギンの背を捜し、走って追いかけた。
裸足の足がぺたぺたと床を鳴らす。
ようやく追いついて、ギンの袖を引こうとしたが、するりとかわされた。
「ボクに触んな、屑」
振り返りもせずに言われた。
(屑……)
着いた先は水場だった。
ギンはそこで手桶に水を汲むと、躊躇なくウルキオラに水をぶちまけた。
何度も、何度も。
逃れようとすると手首を掴まれて引き戻される。
(あ)
自分の手首に絡みついた細く長い指は、思っていたよりも人の色をしていると思った。
それを眺めているうちに、頭のてっぺんから水を流され、手首から離れた指がウルキオラの髪を梳いた。
…どうやら破片を取り除いたらしい。
ようやく水掛けが終わり、全身をびっしょりと濡らしたまま立ち尽くすウルキオラに、ギンは厚みのある布を投げてきた。
「自分で拭き」
(ふく?)
頭に被さった布をどうしていいのか判らずにいると、盛大な舌打ちが聞こえてきた。
「何や。こん呆け、赤子と一緒やないの。全く面倒なモン押し付けよってからに……」
ギンはガシガシと容赦のない力でウルキオラを拭っていく。
(拭く……)
ようやく得心のいったウルキオラは自らもすべく、目の前の白い布に濡れた躯を擦り付けた。
「うわァ、何しとんのや! こんド阿呆!」
突き飛ばされた。
ギンはびっしょりと濡れた自分の服を指先で摘む。
「あかん、中まで濡れた。全く……」
ウルキオラを睨みつけると、濡れて不快に感じる衣類をさっさと脱いでしまう。
そして半裸状態のまま、ウルキオラを拭く作業を再開させた。
ウルキオラも今度はおとなしく拭かれるままに任せた。
粗方の水気が取れると、ギンはウルキオラの衣装を持ってきた。
それを広げて見て、「うわァ…」と引き気味の声をあげる。
「……藍染さんが好きそうなデザインやわ。随分と気に入られたなァ、こん塵」
破面の衣装は個々に違う。
が、藍染が気に入った者には彼から贈られる場合も稀にあった。
それを知らぬウルキオラは言葉の意味も判らず、淡々と手渡された服をギンの助けを借りて身に着けていく。
(塵……)
先ほどからギンに掛けられる言葉が妙に気になった。
蔑まれていることは感じ取れていたが、何故自分がそう扱われるのかは判らなかった。
そのとき、
「楽しそうだね」
すぐ近くから聞こえてきた声に、ウルキオラは目を剥いた。
触れてしまいそうなほどのところに、藍染が立っていた。
その視線はギンへと向いている。
「…何が?」
「そんな格好をして何をしていたのかが訊きたいだけだよ、ギン」
ゆっくりとした言葉は薄く笑った唇から紡がれるものの、その目に笑みはない。
濡れた服を脱いだため半裸になったギンと、全裸から衣装を着け始めて半裸になったウルキオラがそこにいる。
ギンは顔を顰めた。
「…何、言うてはるの?」
ギンはウルキオラから手を離すと、藍染の真正面へと向き直った。
「あんたがッ――」


……ウルキオラはじっと見ていた。
ギンが藍染に怒鳴るのも、藍染がギンに手をあげるのも、ただじっと。


「ウルキオラ」
長い時間が経ち、ようやくウルキオラは藍染に名を呼ばれた。
片腕を通したままの半端な状態の上着を見て、藍染はくすりと笑うと最後まで着せてくれた。
「おいで」
促され、腰を抱かれるままにその場を辞した。
床に崩れ落ちたままのギンを置いて――。



翌日、破面たちは広間に集められた。
藍染たちが現れると、ざわりと空間がさざめいた。
藍染、東仙に変わりはない。
残るひとり、ギンが――傷だらけだったのだ。
しかも、顔は赤痣と青痣で腫れ上がり、切れた唇は血の名残で赤く染まり、咽喉、胸、腕、手など見える場所すべてに酷い傷があった。
破面たちの視線を集めても、ギンは勿論、藍染も何も告げず。
しかしギンにそれほどを傷を負わせられるのは、藍染以外に考えられない。
ギンの傷の凄惨さに下位の破面が怯えた。
それを第6十刃であるグリムジョーが笑った。
「黙りなさい」
東仙の一声で、グリムジョーは舌打ちしつつも嘲笑を止めた。
場が静まると、ようやく藍染が口を開く。
「集まってもらって悪いね。今日はウルキオラの階級を決めよう」
手招きされたウルキオラが藍染のもとへ侍る。
藍染は壇上から破面たちを眺めた。
「……グリムジョー」
「…何だよ」
「ウルキオラと手合わせを」
「アァ!? いきなりオレか!? ぶっ殺しても文句はねぇんだよな!?」
「勿論」
広間の中央でグリムジョーとウルキオラが向き合った。
殺気を隠そうともしないギラギラしたグリムジョーと、無表情のまま闘志の欠片も見せはしないウルキオラ。
勝負は、一瞬だった。
僅か一度の攻撃で、ウルキオラはグリムジョーの刀を弾き飛ばした。
帰刃することもなく、勝敗が告げられる。
「藍染様、次は第5十刃のノイトラと戦わせますか?」
「いや、いい」
東仙の問いかけに藍染は片手を挙げた。
「ウルキオラ・シファーは現在空位の第4十刃とする」
朗々とした声が広間に響き、ざわめきに間が満たされた。
「藍染様? ハリベルやバラガンとも戦わせてみたほうが……」
まだ力の片鱗しかみていないのだ。しかし。
「いや、ウルキオラは4でいい」
「…畏まりました」
東仙が引き下がると、藍染はウルキオラを呼んだ。
そして彼を連れて広間を出て行く。
それが解散の合図だった。


藍染はウルキオラを連れて自室へと戻った。
長いソファに凭れつつ、藍染の手はウルキオラのあちこちを確かめるように弄る。
「…君はあまり喋らないんだね」
無言のままのウルキオラに、藍染が問いかける。
「……以前は、喋ることができなかったので」
「そう……良い声をしているんだ。これからは私のためにその声を聞かせてくれるね」
「…はい」
藍染はウルキオラの上着の前を開いた。
白い肌を露わにすると、首筋から胸へと指をおろした。
「…ここにしよう」
孔のすぐ横、左胸を爪弾き、そこに唇を寄せた。
「…祝福?」
「そうだよ。…ここに君の番号を刻む。じっとしていられるね」
「…はい。……あ、……アァっ」
藍染の指先が左胸に再び触れると、それは身を焦がすほどの熱を感じさせた。
じりじりとやけつく胸の痛みに、歯を軋ませながらも耐える。
「ウゥ……」
たったひとつの数字が刻み込まれるのに、長い時間が掛けられた。
散々呻き声を上げさせられたウルキオラは、終わると同時にぐったりとソファに崩れ落ち、荒い息を吐いた。
藍染はそんなウルキオラを楽しそうに見ている。
そして、痛みが残るその数字へ指先を這わせた。
「第4十刃、ウルキオラ・シファー」
「……はい」
その数字を、言葉を、自らの胸に刻み込んだ。
「私の破面……」
ゆっくりと覆いかぶさってくる藍染を見上げ、ウルキオラは小さく口を開いた。
しかし、言葉を発するより先に唇が塞がれた。
何を言おうとしたのか、ウルキオラ自身にも判らない。
そしてもう、絡まる舌によって言葉が紡がれることはない。
甘い水音と零れ落ちる吐息だけが、静かな部屋に小さく響いた。



無がある。
神の腕の中にいてさえ、そう思う。


この胸にあいた孔は、いつか全てを呑み尽くすのだろう。
それが埋まることなど有りはしない。
この胸の中は、空っぽのまま。
この生もまた――。




<Fin>












あとがき。


終わったー!


と、失礼w
ウルキオラ、お誕生日おめでとう!クラッカーケーキ
いやー間に合って良かった。良かった。

ウル誕のリクエストに応募下さった方々、ありがとうございました。
3名のみだったので、2:1で藍染サマとウルキオラのお話になってしまいましたが、ウル織もまたいつか書けたらいいなと思っています。


さて。
軽いお話が好きな皆様、ごめんなさい。
なんか変な重みのある話になってしまいました。
おっかしーなぁ、中身あんまり詰めなかったんだけどな…。(汗)
「無が有る」ってどういうことなんだろうね。(爆)


ウルキオラが藍染サマの手によって破面化したときの話を捏造しました。
誕生日の話じゃなくて、誕生の話ww
まぁ、そもそも死神も破面も誕生日って何の日なのかよくわかんないしw
(生まれた日?死んだ日?死神or破面化した日?勝手に決めた日?w)


タイトルの「reBirth」。

新たなる生、という意味で名付けました。

reだと再生のイメージが強いので、Bが大文字w


ウルキオラ。
今回は孵りたての雛のイメージで書いていたんですが、時々妄想でウルキオラがチビ化するので困りました。
(だって可愛いんですよ!!←)
無口そうなのに、意外によく喋ったり、言葉が悪かったりするのは最初に面倒見た人が悪いんだろうなーって思っていました。
今回、口の悪さはグリムジョーから貰うか、ギンから貰うか迷ったんですが、グリムジョーを書くのが面倒だったのでギンに。
おかげでギンが藍染サマに酷い目に合わされてるw
どう酷い目にあったのかは、R18バージョンで書こうかな~と思っていたんですが、本編が今日ギリギリになってしまったので、たぶん書かないと思います。
想像で補ってくださいませ。<(_ _)>
リクエストが多かったら、考えますので、バイオレンスなラブが好きな人はリクエストしてみてください。
ちなみに藍染サマは嫉妬はしていません。あしからずw


今回はキャラブック3 UNMASKEDにとってもお世話になりました♪
あの書き下ろしマンガの内容を設定に盛り込みました。
まぁあのマンガのせいで、謎が増えたんですけどね。
破面って・・・・わからんw



ではでは。
次は何を書こうかな~。
躾参はものすごく難航しています。プロットだけで10本は書きましたよ!
でも納得がいかない。
そんな状態なので、たまには違うお話を考えたいです。
原作やらアニメがいろんなCPを押してくるので、最近ちょっと怖いですw
また変なCPの話を書いても呆れないで下さいね~。
あはは。