BLEACH二次創作小説 No.82 『初事』(ういごと)     注・BLあります
          登場人物:市丸ギン、藍染惣右介、平子真子、朽木銀嶺、朽木白哉


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五番隊隊舎。
「惣右介、市丸を連れてついて来ぃ」
「いいですが、どちらへ?」
「朽木のじーさんとこ。市丸を孫に会わせたいんだと」
「白哉くんにですか?・・・判りました。呼んできます」
天才少年と言われる市丸ギンが五番隊に入隊してまだ数ヶ月。
未だ礼儀作法のなっていないギンを朽木家に連れて行くのに不安はあるが、向こうからの呼び出しでは断ることも出来ない。
真央霊術院に通わせていない孫・白哉のために同じ年頃で優秀なギンを友人にでもさせたいのだろうが・・・。
(無理だろう)
あのギンの性格と、あの白哉の性格では、合うはずもない。
ともかく藍染もギンの教育係としてついていかなくてはならない。
何をしでかすかと不安でならないが、ギンを連れて平子と合流し、3人で朽木邸へと向かった。


「朽木って、そんなエラい家なん?」
「そうや、四大貴族の筆頭やで」
「そんなん会うたこともないけど、貴族って尻尾でも付いとるん?」
「せやせや、でっかい角に鋭い牙、ぶっとい尻尾も・・・」
「隊長」
「何や、惣右介」
「市丸に出鱈目を教えるのはやめてください」
「こんなんホラの内にも入らへんわ。なぁ市丸?」
「せやで」
笑い合う隊長と三席に、藍染は軽い頭痛を覚えた。
関西弁のふたりが揃うと常にこの調子で、ギンの教育係である藍染の悩みは尽きない。


「ほら、ここやで」
「えっ、ここって家なん? さっきからなっがーい塀が続いとるから何があるんかとは思うとったけど・・・」
平子が門番とやり取りすると門の中へ通され、その場で待つように指示される。
ギンは初めて見る貴族の屋敷を、興味深げにあちらこちらを見回していた。
そのうちに屋敷の方から銀髪の老人が現れた。
六番隊隊長にして朽木家当主・朽木銀嶺だ。
「朽木隊長」
藍染が礼を執ると、ギンも倣って頭を下げる。
「やぁよく来てくれたね。・・・君が市丸三席かね?」
「はい。五番隊三席、市丸ギンです」
銀嶺はギンの様子に目を細める。
とりあえずここまでは藍染の躾も効果があったことに、五番隊の隊長・副隊長はほっと胸を撫で下ろした。
しかし――。
「あのっ、ボク、ここんちの庭を見てもえぇやろか? 何や広ぉて面白そうなんやもん」
(ああ・・・)
ギンの敬語も忘れた子供らしい好奇心いっぱいの言葉に、ふたりはがっくりと肩を落とした。
「すんません、朽木隊長。・・・コラァ、市丸」
「いやいや、構いませんよ平子隊長。市丸三席、自由に散策しておいで」
「ハイっ!」
元気に駆け出すギン。
その後を追いかけようとする藍染を銀嶺が引き止めた。
「ちょうど白哉も庭に出ているはず。紹介するよりも自然に出逢う方が良かろう。・・・おふたりは屋敷へどうぞ」
そう言われては追いかけることは出来ない。
ふたりは銀嶺に促されるままに、屋敷へと入っていった。



ギンは、見たこともないような木や石、綺麗に作り上げられた見事な庭園をふらふらと見て回った。
すると、ぱしゃりと音がして、大きな池から巨大な鯉が跳ねるのを見た。
「うわァ」
感嘆の声を上げると、池の向こうに人の姿があった。
水飛沫で陽光が煌めいたせいか、その人はまるで光を放っているかのように輝いて見えた。
(綺麗な子・・・)
ギンが惚けて見蕩れていると、その”綺麗な子”と思われている朽木白哉が仏頂面で問いかけてきた。
「何者だ、ここで何をしている」
「ボクは五番隊の市丸ギン。平子隊長に連れてこられたんや」
「それが何故ここにいる」
「朽木隊長に許可は貰うたよ」
祖父の許可があるならば、白哉に否やは無い。
「ならば良い。勝手に見るといい」
そう言って踵を返した白哉だったが、気付くと目の前にギンが立っていた。
「!」
(瞬歩か――)
想像以上の早さだった。
瞬歩が得意な白哉に勝るとも劣らない。
思わず身構えたが、ギンは面白そうに白哉を覗き込んでいるだけであった。
「なっ、何だ」
ニヤニヤとした顔で間近から覗き込まれて、白哉の鼓動が跳ねた。
「ボクなァ、実は今日誕生日なんよ。プレゼント貰うてもえぇ?」
「何で私が今日初めて会ったばかりのお前に・・・」
「えぇから、ちょお目ェ瞑ってみ」
「何で!」
「それくらいえぇやん?」
にっこりと微笑まれると怒りにくい。白哉は渋々と目を閉じた。
「これでいいのか?」
「うん」
暗闇の中、あたたかく柔らかなものが一瞬白哉の唇に触れた。
「え・・・?」
思わず目を開けると、すぐ目の前にギンの顔があった。
間近で見る瞳の蒼さに、思わず意識を奪われる。
ちゅ。
小さな音がして、ギンの唇が白哉のそれに重なった。
「なっ、何を・・・! 私は男だぞっ!」
「え? 女の子ちゃうの? ・・・ん~まぁえぇわ。キミ可愛ぇし」
「か・・可愛い・・・だ、と。・・・ふざけるなあっ!」
怒りのままに振り上げた手。
その手首をあっさりとギンに捕らえられ、殴りかかった勢いを利用されて引き寄せられた。
再び、唇が重なる。
しかも今度は、開いていた口の中にギンの舌が這入ってきて、白哉の舌から上唇までをぺろりと舐め上げた。
「っ!!」
慌てて空いていた手の甲で、唾液に濡れた唇を拭った。
「貴様ァッ!」
「ご馳走さん」
殴りかかる白哉を、ギンはひょいっとかわした。
そのまま瞬歩で逃げるギン。追う白哉。
敷き詰められた玉砂利の上に、重ならないふたりの足跡だけがどんどん増えていく。
「市丸――」
そのとき、門の方から声が掛かった。
「ハイ」
聴き慣れた隊長の声に、ギンはぴたりと平子の前で足を止めた。
バキッ。
鈍い音がして、ギンが殴り倒された。
「これ、白哉!」
「爺様! これは、その・・・」
流石にキスされた仕返しに、とは言えない。
うろたえている白哉を横目に、ギンを助け起こしていた藍染が口を開いた。
「どうせ市丸が白哉くんを怒らせるようなことをしたのでしょう。・・・申し訳ありません、朽木隊長」
決め付けられてぶうぶう不平を言うギンを拳で黙らせると、藍染は銀嶺と平子に頭を下げた。
ギンの粗相は教育係である藍染の落ち度だ。
「ほな、俺らはこれで」
平子が辞去の意を示したので、藍染、ギンもそれに続く。
少ししてギンが振り向くと、銀嶺が見送っているために白哉もまだその場に留まっていた。
白哉に向かって手を振る。
「またなァ」
(二度と来るなっ!)
と怒鳴り返してやりたかったが、銀嶺の前ではとても口に出せない。
むっつりと口を噤んでいると、
「どうじゃ、友人になれそうか?」
と銀嶺に訊かれた。
「絶対に無理です!」
それだけ言って、屋敷へと踵を返した。
「やれやれ」
銀嶺はため息を吐くと、孫の友人作りについて、また頭を悩ますのであった。



「お前、何したんや?」
「別に。ボク今日誕生日やったからプレゼント貰うただけや」
「プレゼント?」
「うん。柔らかくて、あったかくて、美味しいもの」
「・・・・・・何やそれ」
「内緒」
平子の追及をはぐらかして、ギンは二カッと笑う。
「それにしても綺麗な子やったなァ」
「気に入ったのかい?」
「うん」
「そうか・・・」
藍染は殴られたというのに上機嫌なギンを横目で眺めた。
(朽木白哉か・・・・・・)
「せや、隊長! ボク誕生日や言うてるんやけど?」
「あ~~~~~何も聞こえへ~ん」
「うわ、ひどっ!・・・藍染副隊長~」
「はいはい。隊長、大人気ないですよ」
「うーしゃあないなぁ。ほんなら旨いもんでも食いに行くか!」
「やったァ!」



入隊しての初めての誕生日。
ギンにとっては、初めて乱菊以外の人から祝われた日でもあった。



<Fin>










あとがき


ギン、誕生日おめでとう!クラッカー


ということで、ギン誕生日記念小説です。
そして、無理に要素を詰め込むと纏まらないという代表作だと思います。orz


えぇと、リクから作成しました。
きつねさんからの「白哉」と、パタパタさんからの「平子・藍染・ギンの平和な日常」をぶっこみました!
リクありがとうございました!


メインは、「ギンが白哉を女の子と勘違いする」というのと「白哉のファースト・セカンド・サードキスはギンに奪われた」という話の予定だったんですが、終わってみれば「なんか初めていろんな人にお祝いされたよ」的な話になりましたw
ん~ちょい消化不良か。
白哉メインの話だったら、貴族には尻尾が・・・の件で、完全に剥かれていたでしょうねぇ、白哉w
かわいいお尻が見たかったなぁww


そんでもって、今まで描いてきたギン白とは矛盾する作品になりました。
基本的には前に書いた話をベースにするんですが、出会い系の捏造はいろんなパターンをつい書きたくなっちゃうんですよね。
すみません。
別次元の話と思ってください。(苦笑)


あー無邪気なお子様のふたりも可愛いけど、も少し色っぽい話が書きたい~~。




うーごめん。眠い。

タイトルは寝て、起きてからつけます。

うわ、こんなの初だわ・・・。




追記:

おはようございます。(・・。)ゞ

タイトル決めましたので、「無題」から「初事」へと変わりました。
よろしくお願いします。