BLEACH二次創作小説 No.63 『午睡』(ひるね)
登場人物:市丸ギン、日番谷冬獅郎、松本乱菊、(吉良イヅル) CP:ギンヒツ 注・BLです
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「ありゃ?」
十番隊執務室。
いつもなら真面目な十番隊長が、熱心に仕事をこなしているはずなのに、今日はその姿が無い。
無人らしき部屋で、侵入者であるところの三番隊長・市丸ギンは首を傾げた。
ここにいる気配を感じているのに。
「お」
もしやと思って応接用のソファを覗いてみると、小さな躯を丸めて、幸せそうな寝息を立てている十番隊長・日番谷冬獅郎の姿を見つけた。
笑いながら、そっとその横に腰を下ろした。
じっと寝顔を見つめてみたが、全く起きそうな気配が無い。
子供らしい柔らかな弧を描く頬を、細長い指先で幾度かつついてみる。
「十番隊長サァン?」
しかし冬獅郎はむずがる子供のように、身じろぐだけで目を覚まそうとはしない。
「ハハッ」
ギンは声を上げて笑うと、諦めて立ち上がろうとした。
しかし、いつの間にやら彼の羽織を、冬獅郎の右手がしっかりと握り締めていた。
そうっと解こうとしてみるが、握り締められた拳は開きそうもなく。
羽織だけ置いていこうかとも思ったが、なんとその下の死覇装まで一緒に握り締められていた。
「参ったなァ」
ギンは苦笑した。
起こすべきか、起こさぬべきか。
それが問題だ。
冬獅郎が目覚めると、窓から入る日差しがすっかり西陽になっていた。
「やべ・・・寝すぎた」
夕べは遅くまで書類を片付けていたせいで、あまりの眠気に仮眠を取った。
少しだけのはずだったのに。
「ん?」
躯を伸ばそうとして、自らの状況に気付いた。
「・・・・・・何してんだ、てめぇ。市丸!」
冬獅郎の躯は、ソファに座したギンの膝の上で抱かれるように横たわっていた。
目の前にギンの広い胸板が広がっている。
そして自分の右手が、その羽織の一部を握り締めていた。
「・・・ン・・アァ・・・ボクまで寝てもうた」
くわっと大きな口をあけて、欠伸をするギン。
片手で目尻の涙を拭い、再びその腕を冬獅郎の躯に戻した。
「・・・離せ」
「いやや」
「離せ」
「いーやーや」
逃れようとする冬獅郎の躯を、ギンはぎゅっと抱きしめた。
腕の長さが違う。
冬獅郎は逃れられるはずもなく、その腕に抱きすくめられた。
「よお寝とったね」
耳元をくすぐるギンの声。
それから顔を背けるように冬獅郎が身じろぐ。
「何の用だ」
「十番隊長サンの顔を見に」
「・・・見たなら帰れよ」
「あんな可愛い寝顔見せられたら、帰られへんて」
「うるせぇ」
(可愛いとか言うな!)
と、言いたいところだが、それを言っては・・・。
バツが悪そうに口を噤んだ冬獅郎の顔を覗き込むように、ギンの顔が下から冬獅郎の顔に重なった。
「・・・何、してんだよ」
重なった唇が離れ、不意をつかれた冬獅郎の口から出た言葉はそれだった。
「カオ、赤いで? 十番隊長サン」
ギンは、面白そうに笑っている。
「・・・うるせぇ」
そのとき、ガチャリと扉が開く音がした。
「あれー」
室内の空気を一変させる能天気な声が響いた。
「隊長、何してんです?」
乱菊がそんな質問をする頃には、二人はもちろん離れている。
そして乱菊はギンに目を留めると。
「市丸隊長・・・吉良がさっきすっごい剣幕で探してましたよ? なんだか今日は大事に演習があるのにって」
冬獅郎はハッと、ギンを見上げた。
「うん、まァ、サボリや。いつものな」
「いいんですかぁ? 吉良、めちゃめちゃ怒ってましたよ~」
「うるさい、乱菊」
「何よ!」
口喧嘩になりそうな二人を冬獅郎が止めた。
「・・・松本、お茶を頼む」
「はーい」
口を尖らせ、ギンにべーっと舌を出しながら、乱菊は給湯室に消えた。
冬獅郎はギンに向き直った。
「なんでサボった?」
「なんでて・・・まァ面倒やし・・・」
ちょっと困ったように言うギンの羽織には、一箇所皺が寄っている。
冬獅郎は自分の右手を眺めた。
「・・・起こせば良かっただろう」
「ン・・・いやァ気持ちよさそうやったし、な」
「・・・」
「キミに貸しひとつ作るんも悪ないしなァ」
ニヤリと笑ったギンを見て、冬獅郎はさっとソファに上った。
そして、背伸びをして。
ギンに口付けた。
「・・・これで借りは返したぜ」
ギンは一瞬驚いた表情をしたが、再びニヤリと笑った。
「ごちそうさん。ほな、お返しに」
と今度はギンから口付けようとする。
「いい加減にしろっ」
冬獅郎の手がギンの顔を押しのけた。
そこへ乱菊が戻ってきた。
「はーい、お茶でーす。ほら、二人とも、じゃれてないで座ってください!」
ニヤつくギンと、眉間に皺を寄せた冬獅郎の前に湯気の立つお茶が置かれた。
しばし、無言。
そして冬獅郎は思い出した。
「そういやぁ松本、お前どこ行ってたんだ? 俺ァ、仮眠するから1時間経ったら起こせって言ったよなぁ」
「え、と・・・」
「仕事もしねぇで、あれから5時間もどこに行ってた?」
「あ、あはは?」
「松本ぉーーー!!」
いつもの怒声と、それを察して耳を塞いだ三番隊長。
のどかな午後の風景であった。
三番隊舎で烈火の如く怒り狂っている三番隊副隊長の姿を除いては。
<Fin>
あとがき
というわけで、冬獅郎誕生日記念小説2作目ですw
驚いた?
それとも「やっぱり!」って感じ?w
日乱とギンヒツが同票になってしまったので、時間内に書きあがるようだったら2作とも作ろうと決めていました。
特にギンヒツは全く書いたこともなければ、ほとんど見たことも無いので、書けるかどうか自信もなくて・・・。
えぇと・・・こんな感じでギンヒツっていいのでしょうか。(;^_^A
わかんねぇ。orz
私が冬獅郎の好きなトコは、かっこいいトコなんですよ。
だからあからさまに可愛い受けな冬獅郎は書けなくて。
ちょっとツン要素多めのツンデレ冬獅郎になっちゃいましたw
それでは再び。
冬獅郎、ハピバっ♪![]()