BLEACH二次創作小説 No.60 『背徳の唇』(はいとくのくちびる)  CP:藍ギン    注・BLです

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背を見るのが好きだった。
その広い背中に背負った孤独の匂いが好きだった。


ギンは目の前の広い背中にもたれかかった。
「・・・何を甘えているんだい?」
優しい低音の声。
「さぁ、なんでやろ・・・」
ギンは藍染の首に腕をまわした。
藍染もギンへ向き直った。
「人恋しくでもなったのか?ここは・・・虚圏はそんなに退屈かな?」
「別に・・・アンタがおるから、それでえぇし」
額を合わせ、頬を摺り寄せる。
しかし、藍染の唇がギンのそれを捉えようとした瞬間、ギンは躯を引いた。
「・・・何だい?」
かわされた藍染の顔が不機嫌に歪む。
ギンはくすりと笑った。
「何か、いっつもこんなんばっかしとるな思うて」
「それが何か問題か?」
ギンは、ほどいた腕を引き戻しながら、細い指先で藍染の頬を撫でた。
「問題なんかあらへん。ただ、ボクが・・・」
離れようとした指先を、藍染の大きな手が掴んだ。
逃げようとした躯には、もう片方の手が背にまわっている。
そのまま引き寄せられた。


互いの目が、それぞれの想いを告げる。
しばしの沈黙の後、目を逸らしたのはギンだった。
そのまま藍染の肩に顔を伏せた。
藍染の唇が、ギンの形のいい耳に優しく触れる。
耳朶を甘噛みし、首から襟足へ触れるようなキスを施す。
折々ぴくりと躯を震わせるギンの反応に目を細め、しかし、いつまでも顔を上げようとしないギンに苛立ち、彼の肩を力任せにあらわにした。
その尖った裸の肩に噛み付かれ、ギンは思わず顔を跳ね上げた。
唇から零れ落ちそうな声を必死に堪えていると、藍染の眼前に晒してしまっていた白い咽喉に手がかかった。
「ア・・・」
酸素を求めて喘いだ口から、僅かな声が毀れ出た。
藍染はそのことに満足したのか僅かに口元を弛めたが、肩につけた傷を執拗に舌先で抉っている。
咽喉にかかった手の力は緩むことなく、ギンを締め付ける。
ギンはかすんだ意識を認識しながらも、無抵抗を貫いた。
「っ・・・・」
そうして音にならない声を上げ、自らの意識を手放した。


目を開けるとそこは、相変わらず薄暗い虚夜宮の一室で。
ギンは温かな躯に抱かれていた。
朧げな記憶を手繰り寄せ、現状を認識する。
一糸も纏っていないのは、あの状況からは仕方のないことだろう。
躯のあちこちについた見慣れない傷も、痛みも、まるで現実感がなかった。


目覚めたギンに気付いた藍染は、蕩けるような甘い笑みを見せた。
ギンを抱きしめる腕に力を込め、そして優しく口付けようとする。
しかし、ギンはまた顔を逸らした。


鈍い音がして、ギンの頬がみるみる赤く染まった。
怒りに瞳を燃やした藍染は、そのまま何度もギンの頬を打擲した。
そして、ぐらりと傾いだギンの顎を掴むと無理矢理唇を合わせた。
「!」
しかし一瞬で藍染は顔を離した。
ギンを睨み付ける藍染の唇からは、赤い血が滴り落ちていた。
ぐったりとしながらも藍染の血で、自らの唇を汚したギンが嗤った。
藍染はギンの躯から手を離すと、手の甲で唇の血を拭った。
「ギン・・・」
呪詛の言葉か、愛の囁きか、藍染が呼ぶその名にどんな意味が込められているのか。
ギンはふらふらと引き寄せられるかのように藍染に抱きついた。
そして未だ血の滲む藍染の唇へ、長い舌を這わせた。
丹念に滲み出る血を舐め取る。
その舌に、藍染の舌が絡みついた。
舌を絡めあいながら、互いの唇はようやく合わさることが叶った。
血の味がする口付けは、二人の心を表しているかのようだった。




殺したいほど憎んだあの男はどこへ行ったのだろう。
殺したいほど憎んだ自分の気持ちはどこへ行ったのだろう。

ギンは温かい躯に絡まったまま、ぼんやりと考える。


離れられない。



この男の孤独が自分を引き寄せて、そして自分はそれに抗うことができない。
唇を重ねて、肌を合わせて。
その度に流れ込んでくるこの苦しい想いは何なのだろう。


ギンは目を閉じた。
全てのことから目を背けるように。



<Fin>








あとがき


区切りはギン乱、というお約束は前回破っちゃったし、ここんとこギン乱多かったので、あえて藍ギンにしちゃいました。


わりといつもは、こういう話を書こう!とか書きたいな♪という気持ちから書き始めるんですが、この区切りの小説は何もないところから書き始めることが多いです。
「攫って」や「永久に」なんかがそうですね。
そうすると気持ちが優先されるので、なんとなく心重視の話が出来上がるような気がします。


まぁ、今回は藍染サマとギンなので、ちょっとSっ気ありすぎかもしれませんがw


・・・あれ、私、久々にこの二人で甘い話を書こうかと思って書き始めたつもりだったのに・・・。
一筋縄ではいかない二人ですw


次作はウチの小説では、初登場の人たちを書こうと思っています。
というか途中まで書いてます。
そっちを区切りに持ってきたくなかったので、これを書いた次第ですw
でも相変わらず気まぐれなので、何が先に上がるかは判んないんですけどねー。