BLEACH二次創作小説 No.52 『進化の過程』 (しんかのかてい)
登場人物:ルピ、グリムジョー、ウルキオラ、藍染、ギン、他
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「・・・あぁそうだ、君も一緒に行くかい? グリムジョー」
藍染惣右介が何故そんなことを言ったのか、破面たちには分からなかった。
そして分かる必要もない。
「わっかんないなぁ、何で十刃落ちのヤツにまで声を掛けるかなぁ!」
頬をぷくりと膨らませ、駄々をこねる子供ように悪態をついたのは、先だって第6十刃についたばかりのルピ・アンテノールだ。
「・・・うるせぇ」
答えたのは、片腕を失ってその第6十刃の地位を明け渡したグリムジョー・ジャガージャック。
こちらも不機嫌極まりない顔で、呟くように答える。
「そもそも十刃落ちのくせに、何でここにいるわけ?」
「うるせぇな、呼ばれたんだよ。文句があるなら藍染のヤツに言いやがれ」
ルピはグリムジョーの言葉を、ふん、と鼻を鳴らしただけで無視した。
そしてつかつかと第4十刃ウルキオラ・シファーの前に行くと、長い袖にくるまれた両腕をウルキオラの首に絡めた。
「ねぇアレ、どう思う?不敬だよね。そう思わない?」
「・・・何のつもりだ、ルピ」
「ボク、ああいう粗野で野蛮なヤツは嫌いだけど、キミみたいなタイプは結構好きなんだ」
にっこりと笑顔を見せるルピ。
ウルキオラは無表情のまま、ルピを睨み付けた。
「俺に媚びているのか?・・・不快だ、どけ」
一滴の血も流れていない様な冷淡な声に、ルピは舌打ちをしてウルキオラから離れた。
「どうでもいいけど、ボクも行くからね」
「当然だ。お前が第6十刃に就いたことを、他の者はまだ認めていない。自分で証明して見せるんだな」
「わかってるよ」
ルピは再び頬を膨らませた。
「あとは・・・」
ウルキオラの瞳がぐるりと場を一巡した。
「ワンダーワイス」
「あー」
先程生まれたばかりの破面が、ぼうっとした顔のまま答える。
「能力を確認する・・・それから、ヤミー」
「おう!こないだの借りを返さねぇとなぁ!」
巨大な破面が物騒な笑みを浮かべた。
そして、ウルキオラの目線がグリムジョーで止まった。
「どうする?グリムジョー」
「・・・」
直接問われると、素直に行きたいと言えないのがこの男の性分だ。
「腑抜けたか、ならば止めておけ」
「なっ!・・・何様のつもりだ、てめぇ!」
グリムジョーは怒りのままに、ウルキオラの襟を掴み上げた。
「藍染様から今回の指令についての決定権を与えられたのは俺だ」
「ちっ・・・しょうがねぇな、行ってやるよ」
あくまでも強気な姿勢を崩さないグリムジョー。
「別に俺はお前にどうしても行って欲しいわけではない」
「なっ・・・」
「行きたいか?お前もあの死神と戦いたいのだろう?」
ウルキオラはグリムジョーの手を払った。
「請うてみろ」
「・・・」
「這い蹲って哀願するなら考えてやってもいい」
「てめぇ・・・」
グリムジョーの歯軋りの音がここまで聞こえてきそうだった。
誰もがこの場で始まる戦いを予感した。
しかし。
「冗談だ」
あっけないウルキオラの一言に、場は真っ白になった。
「藍染様がわざわざお声を掛けたんだ。しっかりと働け、グリムジョー」
すっかり毒気を抜かれた破面たちを置いて、ウルキオラはさっさと部屋を出て行った。
残された破面たちは、我に返ったグリムジョーが地団太を踏んで悔しがるのを見るまで、ぽかんと扉を眺めていた。
「ウルキオラが・・・冗談?」
別室では、藍染が朗らかな笑い声を立てていた。
傍に立っている副官の市丸ギンが、気持ち悪そうにそれを眺めている。
「何、笑っとんの?気味悪いで?」
「いや、破面たちは面白い進化をしているようだ」
「何やの?」
ギンには話が見えない。
「ウルキオラが冗談を言うようになるとは・・・君の影響だな、ギン」
「なんでボクやの?普通に考えたらアンタやろ」
「私はウルキオラには命令しかしてないよ。君があの子をからかったり弄んだりするからだ」
「そないなこと・・・」
「誤魔化す必要はない。知っているんだ」
ギンは目を伏せた。
「・・・怖い人やな、何でもお見通しですか」
藍染は悠然と微笑む。
「君が何を狙ってそんなことをしているのかまでは知らないけどね」
「別に、単なる暇つぶしや」
「そうかい?」
「せや」
藍染の瞳がギンを捕らえた。
「それならそれでいいさ、好きなだけ引っ掻き回すといい・・・私の手の内でな」
ひやりとした霊圧がギンの全身を圧迫した。
声も出せず、息苦しさに耐えながらも、ギンはニヤリと哂った。
それを見て、藍染は蕩けるように微笑んだ。
「あぁ、やっぱりお前の反応が一番楽しいよ、ギン」
<Fin>
あとがき
えーと、スランプ中に作った作品です。
だからイマイチ納得できないけど・・・まぁいいか。
スランプを脱したくて、誰か新しいキャラを出そうと決めて、コミックスが並んでる本棚を眺めたらルピが目に付きまして。
あールピ、結構好きだな、って思い出して。
ルピだったら、グリムジョーに嫌がらせしなきゃって思いついて。
グリムジョーに嫌がらせするんなら、ウルキオラにもさせなきゃって思いついて。
ルピの出番シーンを漁って、26巻229話を読んで、よし!このシーンだ!!って思いついた作品です。
いくつかキーになるセリフを書き出していって、それを繋ぐように作りました。
「請うてみろ」とかSなセリフが超楽しかったデス☆
それが楽しすぎたせいで、ルピの出番が減って霞んじゃったw
破面たちだけで終わりたかったんですが、なんとなく締まらなかったので藍染サマとギンも登場。
いつもな展開ですいませーんw