BLEACH二次創作小説 No.50 『欺きの眠り姫』(あざむきのねむりひめ) 

                 CP:日乱(日番谷冬獅郎×松本乱菊)

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夕暮れがもうじき夕闇に変わる。
降りてきた夜気に、冬獅郎は僅かに身を竦めた。
「もう秋だもんな・・・」
そういえば執務室の灯りを点けていなかった。
随分と薄暗くなっているのに、よほど書類に集中していたらしい。
自分はそうであったとしても、いつも気もそぞろなあの副官は?
席は空。
そういえば、自席にいると眠くなるとか言ってたか。
冬獅郎は応接用のソファを覗き込んだ。
案の定、冬獅郎の机からは陰になるように、乱菊がソファに横たわって幸せそうな寝息を立てていた。
テーブルの上には未着手の書類・・・。
「まったく・・・」
冬獅郎は苦々しく思いながらも、乱菊の幸せそうな寝顔に怒りきれずにいた。
脱力したのもあるし、休憩も兼ねて、ソファ前に腰を下ろした。
「う」
耳のすぐ後ろに寝息を感じ、振り返るとちょうど目の前に乱菊の顔があった。
あまりの近さに狼狽えた冬獅郎は顔を背ける。
「・・・」
すると目の前には凶悪な胸の谷間が現れた。
冬獅郎は顔を真っ赤に染めた。
(どうして世の男たちは、この顔やこの胸を見下ろして平気でいられるんだ!?)
冬獅郎は心の中で叫んだ。
世の男たちにしてみれば、それに抱き付かれている冬獅郎にこそ、その言葉を心の中で叫んでいるのだが。
「ん・・・」
乱菊が身じろいだ。
今にも柔らかな胸が死覇装の袷からこぼれ落ちそうだ。
冬獅郎は慌てて立ち上がると隊首羽織を脱いで乱菊の胸元に掛けてやった。
そうして真っ赤な顔のまま、憮然とした表情で、またどかっと腰を下ろした。
髪の毛をわしゃわしゃと掻き乱し、ぐっすりと眠ったままの乱菊を睨み付ける。
「無防備すぎんだよ、お前は・・・いいかげん、俺も男だって理解しろよな」
小声で恨み言を言ってみる。
乱菊は起きる気配もない。
冬獅郎はそうっと躯を伸ばすと、乱菊の頬に口付けた。
「・・・おめでとう」
今日は乱菊の誕生日だったはずだ。
だから飲み会があるとか言ってなかったか。
冬獅郎は立ち上がると、部屋の灯りをともした。
「松本、起きろ」
そして乱菊に大きな声を掛ける。
「ん・・・あれ・・・寝てました?私」
「あぁ思いっきりな」
冬獅郎はテーブルの上の未着手書類を取り上げると自分の机に戻った。
「今日はもう上がっていいぞ」
「えっ、でもまだ・・・」
「今日は、特別な」
冬獅郎は書類に目線を落としたまま淡々と言う。
単に乱菊の顔をまともに見れないというやましさもあった。
「誕生日の飲み会なんだろ?行ってこい」
「隊長~!・・・隊長も一緒に行きましょうよ?」
「俺は・・・誰かがサボった分の仕事があるからなぁ」
意地悪く声にドスを効かせてやる。
「す・すいませ~ん。じゃ、お先に失礼しますね。・・・あ、コレ、羽織ありがとうございました。温かかったですよ」
「ん?」
乱菊は、その言葉に引っかかりを覚えて考えこんでいる冬獅郎の肩に羽織を掛け、自然な仕草で頬に口付けた。
「!?」
「お祝いの言葉もありがとうございました。嬉しかったです」
そう言うと、完全に固まったままの冬獅郎を残して、さっさと部屋を出て行った。
「た・・・たぬきーーーーーーー!!!」
真っ赤になった冬獅郎の怒声が響いた十番隊執務室であった。



<Fin>








あとがき


久々の日乱でした。
乱菊誕生日企画小説です。


あれれ。
最初はもっとラブラブになる構想だったんですが、気付いたら「たぬき」になってました。(笑)
あ、狸寝入りの「たぬき」ですよ、モチロン。


乱菊の誕生日は、久々の日乱でいいやーと思ったんですが、
これを書いたらやっぱりあの人が黙っていませんでした。
というわけで、ギン乱小説に続きます~。



あ、乱菊、誕生日おめでとう♪クラッカー




タイトル・・・苦しみました。

まさか「たぬき」にするわけにもいかないし。(苦笑)

変えるかも・・・。orz