BLEACH二次創作小説 No.49-5 『月窟の水』(げつくつのみず)
CP:ギン白(市丸ギン×朽木白哉) 注・BLです
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◇ 4 ◇
鳥の声が聞こえる。
他の男の匂いを身に纏っているくせに、この男は何故このような事をしてくるのか。
そして口付けられる度に、ろくな抵抗もできない自分が無性に情けなくなった。
白哉の反応が悪くなったのに感づいたギンは、あっさりと唇を離した。
「どないしたの?なんや今日はノリ悪いなァ」
「・・・他の男の匂いがする」
匂い?とギンはきょとんとすると、袖の匂いを嗅いだ。
「よう分からんけど、そらすんまへんなァ」
「否定はしないのだな」
「せえへんよ。朝帰りや言うたやろ」
白哉は顔をしかめると、ギンに背を向けた。
数歩、先へ進んだところで、後ろから抱きしめられた。
「・・・何をしている」
「この位置なら匂わへんやろ?」
「そういうことではなくて・・・」
ギンは白哉の非難に、言葉を被せた。
「心残りなんやで。アンタをこのままにしとくんは」
「どういう・・・」
「覚えとき、・・・白哉」
それは初めて呼ばれた名前だった。
振り返る間もなく、背後の男が消えるように去ったのを感じた。
ざわざわと騒ぐのは胸の内か、折から吹き出した強い風に煽られた木々のものか。
嵐はその日のうちにやってきた。
現世で行方不明となっていた義妹のルキアが発見され、連れ戻しに行かねばならなかった。
新しい副官もまだ隊務に慣れていない。
白哉にはギンのことを考える余裕はなかった。
慌ただしい日々が続く。
倒したはずの現世の死神が、旅禍となって尸魂界に現れた。
そしてルキアは処刑される。
掟とは何だ。
何のために自分は・・・。
一人でいるのが苦しかった。
しかし他人と共に在るのも辛かった。
今、傍にいて欲しいのは、頭の中を空っぽにしてくれるあの男だけだった。
<月窟の水 6/7
へ 続く>