BLEACH二次創作小説 No.42 『Are You Happy?』 登場人物:恋次・乱菊・ルキア・桃・イヅル・ギン
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夏の終わりも近いその日の夜、瀞霊廷の繁華街は去りゆく夏を惜しむかのように今日も喧騒に包まれている。
そこに真紅の髪を束ねた若者が一人、きょろきょろと辺りを見回していた。
十一番隊第六席・阿散井恋次だ。
「あれ・・・この辺じゃねぇのかよ」
どうやら目的の店を見つけられないらしい。
懐から手紙らしきものを引っ張り出す。
「ルキアの奴。絵で説明されてもわかんねぇよ」
途方に暮れたところへ。
「恋次~?」
と、いかにも酔っぱらったという感じの声がかかった。
振り向くと、そこにはべろんべろんに酔っぱらった松本乱菊がいた。
「乱菊さん?」
「ねぇねぇ隊長しらない~?」
「日番谷隊長なんか、もうとっくに寝てる時間でしょう」
「えーーー。じゃあ修兵しらない~?」
「檜佐木先輩なら、今日は瀞霊廷通信の編集部に詰めてますよ」
ふらふらしている乱菊を掴まえ支えてあげる恋次。
「え~まじで~~。送らせようと思ってたろに~」
もはや呂律も回っていない。
(仕方ない)
恋次はため息をついた。
「じゃあ俺が送っていきますよ・・・あ、ルキアに伝言を・・・っ!?」
どう伝言したものかとまわりを見回したその瞬間、乱菊がするりと抱き付いてきた。
「なっ・・なっ!乱菊さん!?」
「う~~~酔った~~~」
乱菊にしてみれば、その辺の柱だろうと枕だろうと恋次だろうと何も考えずに楽になるため抱き付いただけのこと。
しかし恋次にとっては。
首の後ろにまわされた両腕のしなやかさが、肩にもたれかかる小さな頭の重みが、鼻をくすぐる妙に甘い髪の香りが、髪の隙間から覗く軽く赤らんだ頬や艶やかでふっくらとした半開きの唇が・・・。
何よりも胸に当たる、とてつもない破壊力をもった豊かなふくらみの感触が。
「あ・・・・・・」
正常な男子ならば、反応せずにはいられない。
思わず頬を赤らめ、硬直してしまう。
そのとき。
「お、いたいた。遅いぞ恋次!」
横から声がかかった。
待ち合わせをしていた朽木ルキア。横には何故か同期の雛森桃もいる。
しかし、恋次の姿を見て二人は顔を見合わせた。
「阿散井くん・・・サイテー」
「・・・こんな奴は放っておきましょう、雛森副隊長。さっ行きましょう!」
二人は恋次に冷ややかな一瞥をくれると、さっさと背を向けて歩き出してしまう。
「え?ちょっ・・・ちょっと待てって、ルキアっ」
追いかけようにも、乱菊を抱えたままでは動けない。
(何?何で?俺が乱菊さんに抱き付いてるわけじゃねぇのに!)
パニックになっている恋次の肩が、つんつんとつつかれた。
「阿散井くん、サイテー」
「っ!?・・・てめぇ吉良ぁ!」
そこにはからかうような笑顔の吉良イヅルがいた。
「そんな鼻の下伸ばした顔してたら、雛森さんたちが呆れるのも無理ないよ」
「えぇっ!?・・・俺、そんな顔してたか?」
「うん、してた」
マジかよ、と項垂れる恋次。
「・・・まぁいいや。俺、乱菊さん送ってくるから、お前、ルキアたちに上手く取り繕っておいてくれよ」
「いいけど・・・送り狼にならないようにね」
いたずらっぽく笑うイヅル。
「なるかっ!」
噛み付くように怒鳴る恋次。
しかし、自分に抱き付いている柔らかな躯をどうやって運べばいいのかわからない。
すると。
「阿散井クン、それボクが運ぶわ」
と涼やかな声がかかった。
「市丸隊長!」
イヅルが嬉しそうにそっちを見る。
そこには市丸ギンの姿があった。
「世話かけたなァ。・・・ほら乱菊、えぇかげんにしぃ」
「ん~?」
乱菊はゆっくりと顔を上げて声の方を見る。
「ギンなんか大っ嫌ーーい」
そう言いつつも、あっさりと恋次から離れ、また同じようにギンの首に絡みついた。
「お前そんなんしたら歩かれへんやろ」
「歩きたくな~い。ギンのバカぁ」
「はいはい・・・・・・ほな、な。阿散井クン、イヅル」
唖然としている二人に軽く手を上げると、ギンは乱菊を抱き上げて去って行った。
「うわ、お姫様抱っこ・・・」
さすがのイヅルも目が点になっている。
「市丸隊長ってあんな人だったか?」
「いや、初めて見るかも」
「っていうかあの二人って・・・」
二人は顔を見合わせた。
「深く、考えない方がいいかも」
「・・・そうだな」
「うん。さ、早く雛森さんたちを追いかけないと」
「あ、そうだ。ルキア!・・・ってお前たちも一緒なのか?」
「そうだよ、聞いてないの?・・・素敵な誕生日おめでとう、阿散井くん」
「あ?俺?・・・そうか、誕生日か」
強くなるためのがむしゃらな日々ですっかり忘れていた。
忘れずにいてくれる友がいるのは嬉しいことだ。
しかし・・・。
先程の失態をルキアにどう弁解したらいいものか。
恋次は今日が誕生日であることを、ちょっとだけ憎らしく思った。
何はともあれ
HAPPY BIRTHDAY!
<Fin>
あとがき。
予定変更してビックリCPの話は先送りにしました。
なぜなら。
恋次誕生日記念♪![]()
ってことで慌てて今日、1時間で書き上げました。(笑)
(構想とかテキスト化とか入れるともっとかかってますけど)
ルキアと桃は、ウチの小説に初登場。セリフは1~2個ですが。(笑)
恋ルキでも書こうかな~と思ったんですが、たまには明るい話を書きたくて。
そしたら主役が不憫に。(笑)
イヅル・修兵の不憫コンビが、恋次を入れてトリオになるかな?
でもまぁドキドキな良い目にはあってますよね、恋次。(笑)
あとは・・・バカップルを書きました。
何あの公然いちゃいちゃ。(笑)
こないだ劇場版2作目の「もうひとつの氷輪丸」を見てて、恋次が乱菊に「日番谷隊長は市丸とは違いますよ!」的なことを言ってて。
あ、恋次も知ってるんだ?と、ふと再認識しちゃって。
本人たちはあんまりベタベタしてるようには見えなかったのに、意外に知られてる・・・ということは。と思ってこんなシーンを妄想しました。(笑)
焦って書いたので、あんまり推敲できてないし、設定も矛盾があるかもしれないんですが。
そこはまぁ勘弁してください。
では。
恋次、お誕生日おめでとう!![]()
追記:
2010/9/1 タイトルを「おめでとう」から「Are You Happy?」に変更。
前作が「ありがとう」で次が「おめでとう」だと対みたいで嫌だったので変えました。