BLEACH二次創作小説 No.40 『囚われの人』(とわられのひと) CP:ギン乱 登場人物:ギン、乱菊、イヅル
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「だーれだ?」
「・・・乱菊」
「あったり~。よく分かったわね」
昼下がりの三番隊隊主室で、隊長である市丸ギンを相手にこんなことができる者はそういない。
もともと乱菊がそうっと室内に入ってきたのも気付いていた。
しかしそれよりも。
「・・・この体勢で後頭部に乳が当たるようなんはお前しかおらんやろ」
「そぉかなぁ?」
「せや。・・・お前、他の男にもこないな事してへんやろな?」
「何?嫉妬?」
意味深に笑う乱菊。
「嫉妬ちゃうわ」
淡々と答えるギン。
「そ?・・・してないわよ。アンタと隊長だけ」
「・・・十番隊長さんもお気の毒やな。で、何の用や」
「んー」
ギンの問いに乱菊は答えず、文机の前に座っているギンの手元を覗き込んだ。
「それよりアンタ何してるの?今日は非番って聞いたけど」
「・・・せや」
ギンはどんよりとした顔で答える。
「ボク、今日休み取らされて、ここに監禁されてお仕事しとんねん」
「監禁!?」
「イヅルがとうとう切れてしもてな。執務室で仕事しとると人が来るたび上手いこと逃げだすから、て・・・そういえば乱菊、お前どないしてここ入って来たんや。イヅルおったやろ?」
「あぁ」
乱菊はふふんと意味ありげに笑った。
「修兵に上手いこと吉良を連れ出させたのよ」
「男利用して逢引きか?そないにボクと色っぽいことしたかったん?」
ギンはするりと手を伸ばし、乱菊の顎を細い指先で掬い上げた。
「バカ!違うわよ」
慌ててその手を払う乱菊。
「じゃあ何や?」
乱菊はちょっと困ったように室内を見回した。
「・・・それにしても相変わらず何にもない部屋ねぇ。・・・私に着物買うより家具でも買えばいいのに」
「いらへんいらへん。どうせ寝るだけの部屋やもん。この文机かて、今日仕事する用にってイヅルが持ち込んだやつやで」
と部屋の主が言うだけあって、広い隊主室内はがらんとしてまるで空き部屋のようである。
「で?」
ギンは話を逸らす乱菊に、来訪の意を話すよう促した。
「だから・・・こないだアンタ私にまた着物贈ってきたでしょ?」
「・・・あぁアレか。気に入った?」
「そりゃ素敵だったし好きだし嬉しいけど・・・贈り物にしては高価過ぎない?」
「そぉか?別に気にせんでえぇよ。乱菊が喜んでくれるんなら、それでえぇんや」
「そぉ?」
乱菊はじっとギンの顔を見つめた。そして視線を逸らすと、心持ち頬を赤く染めた。
「じゃあ、ありがと」
「お返しはちゅーでえぇで?」
「バカ」
そう言いながらも、ギンからの口付けを笑顔で受け入れる乱菊。
その時突然、バンッと扉が開け放たれた。
「市丸隊長!」
飛び込んできた声と姿は副隊長・吉良イヅルのものだった。
あまりの突然さに口付けたまま固まった二人を見て、イヅルは一瞬ぽかんとし、「わぁ!」と大きな声を発すると、入ってきたのと同じ勢いで扉を閉め出て行った。
「見られちゃったわね」
「見つかってもうた」
ギンと乱菊は顔を見合わせ、笑顔になった。
「せや、そういうお礼には着物着て来て見せてくれんとアカンのやない?」
「だってまだ就業中だし・・・じゃあ今夜部屋に来てよ。見せてあげるから」
ギンは乱菊の頬を優しく撫でる。
「そうやって見ても、ボク覚えてられるか自信ないわ」
「何でよ?」
「せやかて、綺麗な着物着た綺麗な乱菊より、それを脱がせた後の可愛い乱菊の記憶しか残らへんし」
「バカ!スケベ!」
乱菊は真っ赤になって拳を握ると、ギンの胸や肩口を叩いた。
ギンは柔らかい笑みのまま、無言でそれを受け止めた。
「それに色っぽいお誘いは嬉しいんやけどな、今日はダメや。先約がある」
「そんなの断っちゃえばいいじゃない・・・・・・女?」
「嫉妬か?乱菊」
ニヤリと笑う逆襲のギン。
しかし乱菊はあっさりと、
「ってアンタ他に女はいないか・・・吉良?」
「だったら断れるやろ。まぁ誰でもえぇやないか」
はぐらかされて乱菊はむくれた。
その僅かにふくれた頬を指先でつつく。
「明日なら空いとるで」
「明日の夜は飲み会!」
「断ればえぇやろ」
「・・・ずるい」
「ほな、やめとくか?」
乱菊は唇を尖らせて、ギンを軽く睨み付けた。
「・・・ホントにずるいんだから」
「ほな、明日の夜な」
そう言うとギンは乱菊を抱きしめ、優しくその唇をついばんだ。
「いいの?吉良、戻ってくるわよ?」
「もう見られてもうたしな」
きっと部屋の外でじりじりしてるであろうイヅルの姿を想像し、二人は吹き出した。
「あはは。あのコも大変ね」
「お前のせいやろ?」
「アンタのせいよ」
乱菊はすっと立ち上がった。
「じゃ」
「もう行くん?」
「吉良が可哀想だし、言いたいことも言ったし」
「ちゅーもしたし・・・あれ?えっちな事はせんでえぇの?」
「バカ!」
「また明日な」
「うん・・・浮気相手によろしく」
「せやから浮気ちゃうて」
「ふふっ」
花のような笑顔を残し、乱菊は部屋から去って行った。
部屋の外で噛み付くようなイヅルの怒声が聞こえてきたが、早々に上手く逃げ出したらしい。
戸がガラリと開いた。
「市、丸、隊、長~~~~」
恨めし気なイヅルが入ってくる。
ギンはそんなイヅルに引きつった笑顔で答えると、大人しく書類へと向かった。
<Fin>
あとがき
わー久々の小説です。
しかも40本目です!![]()
なんとなく区切りの小説はウチのイチオシのギン乱!と、決めたわけでもないのに定例になっていまして。
今回もギン乱で何を書こうかな~って思って。
今まで書いたものを思い出して。
そういえば、ウチのギン乱はギンが乱菊のところに現れるのが定番だったので、逆にしてみようと思いつきました。
逆、そう。乱菊がギンのところへ押しかける話。
でもギンがいつどこにいるのか、なんかわからなそうだったので。
『囚われの人』に。(笑)
でも囚われてる人より、捕らえたイヅルの方が不憫です。(笑)
浮気相手。(笑)
は、ご想像どおり藍染サマです。
断ると後が怖そうな相手でしょ?
それにしても久々だったので、苦戦しました。
こんなに展開をぐしゃぐしゃにした小説は初めてかも。
しかもノートで2ページ近くボツにしたし。
それでイヅルの出番はがっつり減り、修兵の出番も無くなりました。
ウチの小説で不憫な役を引き受けてくれる二人に確定。(苦笑)
動きのない話なので会話が多くて申し訳ない。
私の想像の動きを書いていくと・・・話は進まないわ、ギンに無理やり色っぽい方へ持ち込まれそうだったので、割愛させていただきました。
会話の裏の二人の攻防は皆さんの想像にお任せ致します。(笑)