BLEACH二次創作小説 No.31 『通り雨』  CP:藍ギン    注・BLです

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雨が降り出した。
さっきまで晴れていたのだから、もちろん傘など持っていない。
軒下で雨宿りするのも面倒くさい。
それなら、濡れるしかない。



「市丸、何をしているんだい?」
いい具合に濡れそぼった頃、市丸ギンにかけられた声は五番隊隊長・藍染惣右介のものだ。
「何って、いつものお散歩ですやん」
「この雨の中をかい?」
藍染が訝しげな目を向ける。
「さっきまで晴れとってん」
「さっきって・・・雨が降り出したのは1時間も前だよ」
「そんなに経ったん?気付かんかったわ」
隊首羽織も死覇装も雨を含んでずっしりと重くなっていた。
藍染が自分の傘を半分翳してくれているが、この状態では意味がないだろう。
「風邪をひくよ」
「ボク、アンタと表で仲良うしたらアカンのやろ?放っといて」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろう」
藍染は動こうとしないギンの手首を掴むと、それは氷のように冷え切っていた。
「やっぱり、冷え切ってるじゃないか」
「アンタには関係あらへん。さっさと消えてくれ」
ギンは藍染の手を振り払った。
藍染は眉を顰めると、傘を放った。
そうして両手でギンの冷たい躯を抱きしめた。
「・・・何しとん」
「やっぱり冷たいな」
「ここ、通りやで。いつ誰が来るか判らんよ」
「別にいいよ」
藍染はギンの頬に自分の頬を擦り合わせる。
「君を温めることの方が大事だ」
「・・・えぇの?」
「いいよ」
ギンは戸惑う素振りを見せたものの、おずおずと藍染の背に腕を絡めた。
「藍染さんも濡れてもうたね」
「ギンが僕の下にいた頃は、もっと大変な目にあっていたし。これくらい問題ないよ」
「何やそれ。ボクが何したって・・・」
「川に突き落とされたり、木の上から降ってきたり、突然何日も行方不明になったり・・・」
「もうえぇ」
ばつが悪くなってギンは顔を伏せた。



雨は未だ降り続けている。
「藍染さん、ボクなァ隊長なんなるんやなかったわ」
ギンは下を向いたまま、ぼそっと言う。
「どうしてだい?」
「おもろないねん。頭下げなあかん人間が減ったんはえぇんやけど、なんもかんも面倒で・・・気ぃ狂いそうや」
ギンは顔を上げると、藍染に口付けた。
「アンタの下にいたときの方がおもろかったわ」
「ははっ」
藍染は声を上げて笑った。
「何?」
「君がそんなしおらしいことを言うとはな。もう忘れたのかい?君は僕を殺すと言っていたのに」
あぁ。
藍染に無理矢理躯を汚されたあの日、確かにギンはそう言った。
怒りに満ちた心のままに「あんたは絶対にボクが殺してやる」と。
「あの時の君は美しかったな。瞳を爛々と光らせて睨まれた時には、身も心も震えたものだ」
藍染は思い出したのか陶然とした顔で口を歪ませる。
「でも今の君には何の価値もないな」
「な!?」
「こんな腑抜けになるとは思わなかったよ」
「アンタがっ・・・アンタがボクをこんなんにしたんやないか」
「甘やかせすぎたのかもしれないな」
抱き合ったままいがみ合う二人は、その言葉と力が篭る腕のどちらに真意があるのだろう。
「もういらんのなら捨てたらえぇやん。なんで抱きしめてんの」
「こうしているのが好きなんだ」
「相手が誰でもえぇのなら他行ってや」
「君がいい、と、言わせたいのかい?」
「う・・・」
真をつかれてギンは口篭った。
そんなギンを見やって、藍染は嘲笑うかの如く酷薄な表情で甘い言葉を吐いた。
「君がいいんだ。ギンが・・・好きだよ」
そう言って藍染はギンに口付けた。
先程の優しいものではなく、ギンを屈服させるような荒々しい口付けを。


「雨、止んだ」
雲の陰から太陽が顔を出しそうだ。
「すっかり濡れてもうたね」
「構わないよ」
藍染は放っておいた傘を拾い上げると畳んで手に持った。
「ははっ」
「何だい?」
「傘持っとんのにびしょ濡れ、て」
ギンはおかしそうに笑う。
藍染は肩を竦めると、ギンを軽く睨んだ。
「君のせいじゃないか」
「せやけど」
「責任を取って、この後は付き合ってもらおうか」
「ほんまに誰かに見られるんとちゃう?」
「鏡花水月で誤魔化すさ」
「えぇけど」
ギンは陽の光の中で、冷えた躯を伸ばした。
頭を振ると白銀の髪の先から水滴が飛び散り、陽に煌いた。
「そうだ、隊務が面倒なら副隊長にやらせればいいんだよ」
「アイツ使えへんもん」
「使える副隊長に替えればいいんだよ。うちの隊もそろそろ替えようと思っていてね。君が副隊長の頃、現世で大虚に立ち向かった学生達がいただろう?あの子達が大分成長して使えるようになったんだ。要のところの副隊長にも入れたし、君のところにも入れるといい」
「使えるの、おる?」
「吉良くんなら真面目で優秀だ。自尊心も高いから、そうだな・・・四番隊に飛ばしておくから、その内に拾うといいよ」
「優秀やのに四番隊やて?かわいそ」
「その方が君に心酔しやすくなるからね」
「怖い人やなァ」
「全ては君のためだよ」
「ウソくさ」
「酷いな。・・・さぁもう行こう」
藍染はギンを促し歩を進める。
ギンはその背中に語りかけた。
「ボクなァ、通り雨は嫌いや」
「何でだい?」
「通り過ぎて何事もなかったかのようになるんは・・・なんや切ないわ」
「・・・」
「だからアンタは、ボクをとことん連れてってな。置いてったらアカンよ」
「そんなつもりはないよ」
「絶対やで」
「もちろん」
藍染は振り返って笑う。
「君には僕を殺すという使命があるんだからね。置いて行くわけにはいかないよ」
ギンは天を仰ぎ見た後、ニタリと笑った。

「せやった」



<Fin>










あとがき


もうひとつの甘々なお話。
ん?
甘いですよね!?(笑)


この「通り雨」は、藍染サマのキャラソンの歌詞から。
えぇと「通り雨」以外は聴き取ってないので、どんな内容の歌なんだか確認してないんですけど。(爆)
あの甘い声で「通り雨~♪」って言われたら、雨の中抱き合うお二人の姿が浮かんだわけですよ。
単純ですんません。


ギンが藍染を殺すと言った時のお話は、え~と・・・以前から何度か話題に取り上げてた、濃厚すぎてアメブロに上げられない藍ギンのお話から、です。
その話ねぇ、お蔵入りにするのは悔しいくらい気に入っているんですが、長いのとエロいのと暴力的なので、とてもここには載せられなくて。
いっそそういう表現のところを削って載せようかとも思ったんですが、そうしたら何も残らなかった。(爆)
検索避けができるサイトの立ち上げは、全然準備できてません。
だからまだまだまだまだ陽の目は見られないようです。残念。


雨の話なので、梅雨の時期に上げておきます。

最近ウチのまわりでは、雨より雷がひどいですけど。