BLEACH二次創作小説 No.22 『要注意人物』  登場人物:ギン、冬獅郎、乱菊 CP:微妙にギン乱・日乱

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隊首会が行われる一番隊舎の通路の先で、市丸ギンは馴染みの陽の色が揺れるのを見つけた。
そおっと足音を忍ばせてその背に辿りつくと、がばっと抱きついた。
「乱菊~」
「きゃ!?・・・ギ・・・市丸隊長、手をお離し下さい」
「お?」
抱きついた相手はもちろん松本乱菊。
つい先日十番隊副隊長へと就任したばかりだ。
それにしてもその反応の固さにギンは辺りを見回した。
誰もいないのに何故?と思ったとき、乱菊の下方から碧緑の双眸が光った。
乱菊に抱きついたまま、肩越しにその少年を眺めるギン。
「誰やこのコ?乱菊の子やないよな?」
「そんなわけっ・・・」
あるわけないでしょ!と思わず声を上げそうになったが、それを堪え、乱菊は自分に絡み付いているギンの長い腕を不敬には見えない程度に払いのけ、少年の背後に素早く控えた。
「誰だ?松本」
少年が問う。
「ハイ。三番隊の市丸隊長にあらせられます」
ギンは払われた腕を袂に仕舞うと、面白そうにこの主従の遣り取りを眺めていた。
「ちゅうことは、このコが新しい十番隊長さん?若いゆうんは聞いとったけど、ほんまちっこいなぁ」
”ちっこい”呼ばわりされた少年は眉間に深い縦皺を刻むと、目の前の三番隊隊長を睨みつけた。
その動きで、白に近い銀髪が僅かに揺れる。
「こわぁ~、そんな睨まんと仲良くしてや。ボクは市丸ギンや。キミは?」
「・・・十番隊隊長・日番谷冬獅郎だ」
「十番隊長さん、隊首会行かはるんやろ?ほなボクもご一緒させてもらおかな」
返答を聞いているのか聞いていないのか、そう言うとギンは先に歩き出した。
しぶしぶと冬獅郎もそれに倣い、乱菊もその横に従った。
しかし、2、3歩進んだところで、
「あかん」
ギンは突然そう呟くと、歩みを止めた。
「なんだ?」
冬獅郎も驚いて立ち止まる。
ギンは冬獅郎を見下ろし、その頭にぽんと手を乗せた。
「この3人で歩いとると親子みたいで嫌やなぁ。ボク、先に行かしてもらうわ」
そう言って、ギンはスタスタと先へ行ってしまった。
その場に残された冬獅郎と乱菊は呆然とし、思わず顔を見合わせた。
そしてようやく冬獅郎は、からかわれた事を理解した。
「松本っ、何だアレは!?」
怒りを隠そうともせずに冬獅郎は怒鳴った。
「・・・あぁいう方なんですよ」
乱菊は困ったように、しかし顔を微妙に歪ませながら返答する。
(親子って)
怒っていいのか、笑っていいのか分からない。
必死に笑いを噛み殺す。
「隊長、ともかく隊首会へ」
「・・・そうだな」
冬獅郎はおとなしく自身の顔見せになる隊首会へと向かうことにした。
他の隊長もあんなのばっかりだったらどうしようと一抹の不安を抱えながら。



隊首会が終わり、十番隊舎へと戻ってきた二人はひとまず執務室に落ち着いた。
「お疲れ様でした」
そう言って冬獅郎の前にお茶を出す乱菊。
初の隊首会は何事もなく終わったが、やはり少し気を張っていたらしい。
冬獅郎は温かい茶の湯気を顎にあてると、ほっと心が緩むのを感じた。
そもそも不必要なほど気を張ってしまったのは、隊首会前に現れた男のせいだった。
そういえばあの男・・・。
「松本」
「ハイ」
「お前、三番隊隊長とは親しいのか?」
乱菊を名前で呼んだり、あまつさえ突然抱きついたりしたのだ。
他人という事はあるまい。
「・・・いえあの・・・同期で」
乱菊は一瞬固まると、急に歯切れが悪くなった。
「同期だからってあれは・・・」
「あ・・・幼馴染みでもあるんで、その・・・」
冬獅郎は自分の幼馴染みでもある雛森桃を思い出した。
彼女は同期ではないが幼馴染みで、似たようなものだ。
しかしあんな風に抱きついたりはしないものだろう。
更に追求しようとしたが、乱菊が困ったように視線を逸らすので冬獅郎はバツが悪くなった。
そもそもそんなプライベートな事を訊く必要はないのだ。
「すまん」
冬獅郎は謝罪した。
「いえっ、あの誤解しないで下さいね・・・そんなんじゃないんですよ」
乱菊はあたふたと説明すると、ぎこちなく笑った。
しかし、どことなく淋しそうなその笑顔に冬獅郎はどきっとした。
照れ隠しにぬるくなり始めた茶を一気に飲み干した。
(三番隊隊長か・・・)
人の神経を逆撫でするだけして去っていった男。
傍らでようやくほっと寛いでいる乱菊を眺め、冬獅郎は決意した。
(三番隊隊長・市丸ギン・・・要注意人物、だな)


その要注意人物が、冬獅郎の弱みでもある彼の幼馴染みを無理矢理ひきずって、ちょうど扉の外に辿り着いたことを、彼はまだ知らない。



<Fin>















あとがき


もえきちさんにリクエストいただいたギンヒツが書けなかったので、お詫びの小説です。
ギンと冬獅郎の出会い篇。


ギンが初めて冬獅郎を見たら、もう絶対からかう対象に決定!ですよね。(笑)
そして乱菊が横にいたら、それこそもう絶対に、ぜーったいに、からかわなきゃいけない対象に大決定!!ですよ。(爆)
ってな考えから生まれた小説です。


乱菊の陰に冬獅郎っていうのは、霊圧で分かるだろうと思うんです。
ですが、身長差とか乱菊の死覇装のオプションとかで冬獅郎はすっぽり隠れるんだろうなぁって思ったら、ああ書かずにはいられなくて・・・。


同じく”親子”。自分で書いてて笑ってしまいました。
ギンの横に冬獅郎が並んで、その横っていうか斜め後ろに乱菊、しかも絶対ギンとは逆側って想像したら・・・親子じゃないですかぁ!(爆)
二人とも銀髪だし。
おかげで一気にこの話がまとまりました。(笑)