BLEACH二次創作小説 No.21 『涙が止まるまで』 CP:一織(イチオリ)
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「こわくないよ」
伸ばされた手に触れた瞬間、彼の指は灰となり砕け、舞い散った。
全てが消え去ってゆくその最中、彼の表情はまるで微笑んでいるかのようだった。
井上織姫はその場に膝から崩れ落ちた。
声にならない悲鳴を上げると、涙が奔流となって流れ落ちた。
彼女の目の前に立っていたはずの第4十刃ウルキオラ・シファーの姿はもう、あとかたもない。
織姫は自分が何故泣いているのか解らなかった。
激しい戦いが終わってほっとしたからなのか。
一護も雨竜も死ぬ事なく勝利する事ができたからなのか。
自分の弱さからまた一護を頼り、恐ろしいまでの姿にしてしまったからか。
虚圏で唯一、人として扱ってくれた人を失くしたからか。
激しくしゃくりあげながら泣く織姫の横では、戦いを終えたばかりの黒崎一護が立ち尽くしていた。
納得のいかない戦いの終わりに、拳を強く握り締め、ぎりっと奥歯を噛みしめる。
しかし目を閉じ、ひとつ大きく息を吐くと、その場に片膝をつき、泣いている織姫を優しく抱きしめた。
「井上・・・そんなに泣くなよ」
「くろさきく・・・ん」
そうして織姫はいつもなら絶対にできない事をした。
自分からも一護に抱きつき、その胸に顔を埋めたのだ。
一護の力強い鼓動が、織姫の頬に伝わる。
生きている。
生きて、いる。
「よか・・・った」
一護は織姫の癖のない艶やかな髪を優しく撫でた。
自分の意識がない間、どれだけ彼女を不安にさせたのだろう。
どれだけ絶望させてしまったのだろう。
そう思うと一護の胸は熱くなった。
織姫を抱きしめる腕にも力が篭もる。
「ありがとな」
そう言って笑うと、腕の中で織姫も笑顔になった。
一護は涙をいっぱいに溜めた瞳で微笑む織姫に愛しさを感じた。
(絶対に、絶対に俺が守る)
そう固く心に誓うと、織姫の額を流れる前髪にそっと口付けた。
一瞬の事であったから、織姫は気付いていないようだった。
「あっ!」
突然、織姫は短く叫ぶと勢いよく顔を上げたため、一護の顎に頭突きしてしまった。
「~!!」
「痛~~~」
声もなく顎を押さえる一護と、頭のてっぺんを押さえて痛がる織姫。
「なんだよ急に!」
「ごっごめんね黒崎くん。ケガの治療しなきゃって思い出して・・・」
「お、おう。頼む」
あまり大きな傷はないようだが、意識のない間に身体に負担のかかるような動きをしたらしく、あちこちの筋に軋む様な痛みがあった。
まだ天蓋の下ではルキアたちが戦っている。
行かねばならない。
一護は織姫の治療に身を委ねながら、そっと彼女を見ていた。
治療の腕は格段に上がっている。
彼女無しにはこんなふうに戦うことはできなかっただろう。
「井上、もういいよ」
あらかたの痛みが無くなったのを感じ、一護はそう言って織姫の治療を止めた。
「でもまだ霊圧が回復できてないよ」
「ルキアたちが苦戦してるみてぇだから、もう行かないと」
「そっか・・・黒崎くん・・・あ・・・」
織姫は言いかけて、言葉を失った。
(頑張ってね、なんて言えない。私はまた黒崎くんに全て頼りきって・・・)
「井上?」
「・・・気をつけてね」
ようやく織姫はそう言うと、無理矢理笑った。
「おう!じゃあ後は任せたからな、井上」
「うん」
一護は片手を上げると、その場から立ち去った。
それを見送ると、織姫はそっと前髪を手で押さえた。
「えへ」
頬が真っ赤に染まり、口元が緩んだ。
(黒崎くんたら、あんなコトするんだ)
そう、織姫は一護の口付けに気付いていたのであった。
「えへへ」
声に出して笑ったら、ようやく涙が完全に止まったようだった。
<Fin>
あとがき
リクエスト第2弾。
イチオリでした。
実は現世組には愛が薄くて、リクエスト来たらどうしようとか思ってたんですが。(笑)
一護にはまぁまぁ愛があるし(ブリミュの伊阪くんの影響で。えへへ)。
織姫はずっと苦手だったんですが、「こわくないよ」でぎゅーーーーんと株が上がりました。
というわけでリクエスト貰ったときに嬉しくて書き始めたら、コレでした。(苦笑)
でもきっとウル織の方が書けそうな気がする。(爆)
イチオリは、織姫の報われない片想いな感じが好きです。
だから『ラブラブ』は難しいですね。頑張って『甘々』でこんな感じです。![]()
こんなんでも、喜んでいただけるかなぁ。
で。
この話の突っ込みどころは・・・・・・横に雨竜いまーす。(爆)
しかも暴走虚化一護に斬月を腹にぶっ刺されて、ウルキオラにその斬月を無理矢理引き抜かれて。
アニメでは骨折みたいになってたけど、原作では片腕もげてるし。
なのに・・・ガン無視。(爆)
途中で何度か心配させたり、名前出したりしようかと思ったんですが、
甘々な二人の世界が壊れちゃうんで、あえて、あえてのガン無視です。
決して雨竜が嫌いとか、私がSだからとか、そういうことではありません。
(いや後者は理由の1つかも)
そんな雨竜を想像しながら読むと、なんかギャグみたいですね。
ウルキオラが最後に見つけた『心』、私には欠けているのでしょうか?(爆)