BLEACH二次創作小説 No.14 『夢か現か』 登場人物:ギン・藍染
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注: この小説は原作401話(コミックス46巻収録)ぐらいまでのネタバレを含みます。
「あかんわ、藍染さん」
市丸ギンは黒崎一護につけられた額の傷から未だ流れる血を拭おうともせず、ただそこへ存在していた。
立っている者は唯二人。ギンと、藍染惣右介のみ。
藍染の躯は既に崩玉とほぼ一体化を終えている。
その凄まじき力でまわりを一掃したばかりだ。
藍染はギンへと向き直る。
「どうしたギン、やはり翻るかい?」
藍染は悠然と微笑み、ギンもまた嗤う。
「そやなぁ、あんたがただ尸魂界に造反するだけやったら、ずっと一緒についてこ思てたけど」
ギンは上衣の留め具をゆっくりと外した。
「アンタがほんまに神になるゆうんやったら、これがボクの役目やし」
上衣を脱ぎ、ハラリと地へ落とす。
下から現れたのは純白の死覇装と、同じく白の羽織。
裏地の色は「白殺し」、背に「三」と書かれたそれは、護廷十三隊・三番隊の隊首羽織。
隊長であったギンのものだ。
それを身に纏うということは、彼なりの覚悟の表れであろう。
「ボクの神鎗、あんたもよう知っとるやろ?・・・神を殺す鎗や」
「お前に私が殺せるのかい、ギン?」
「さぁ?わからん。こん刀に訊いてや」
ギンは斬魄刀を鞘から引き抜いた。
「卍解・・・神殺鎗」
神鎗はギンが構えたかどうかの瞬間に、藍染の胸を貫いていた。
ギンは目を細めて嗤う。
「・・・鏡花水月かぁ、ボク何遍も見とるさかい、騙されるんは避けられへんもんなぁ」
ギンが刀を引くより先に、貫かれた藍染の姿が掻き消える。
ギンはまわりを窺う。
背後から突如切りつけられるが、それを短く戻した神鎗で受け、次の瞬間にはさらに背後からの攻撃を躱す。
ギンは現れては消える藍染の攻撃をひたすら刀で受け流す。
「本物は来んの?」
ニヤリと嗤うギン。
その声を聞き、藍染が姿を現した。優に100人を超える藍染の姿が・・・。
「この手は通用しないか」
藍染もまた嗤う。
「アンタの戦い方はずっと後ろで見とったし」
ギンは構える。
「アンタの考え方もよぉ解っとる」
そう言うと何もない空間に神殺鎗を繰り出した。
空中に鮮血が舞う。
「参ったな、いつの間にそんなに強くなったんだい?」
左手を血に染めた藍染が笑いながら現れた。
ギンは真顔になった。
「アンタを殺す為に身に付けた力や」
「しかし」
藍染は左手から溢れる血を手を振ることで掃う。
「まだ甘い」
その瞬間ギンの首を藍染の鏡花水月が切り裂いた。
かろうじて致命傷に至らなかったのは、ギンが攻撃をその身に受けながらも藍染の懐に入り込んだからだ。
「・・・せやから、その攻撃も知っとるて」
神殺鎗が藍染の崩玉の核を貫いていた。
崩玉が・・・砕け散る。
藍染の顔が大きく歪み、激しく吐血する。
「そん・・・な」
ギンの首からも大量の血が流れ出て、純白の死覇装を紅く染めてゆく。
「藍染さん、何で神になんてなろうとしたん?」
ギンは哀しそうに言葉を紡ぐ。
「神の座は空白なんとちゃう。神はきっとおるんよ。けど、神ゆうんはちんまいもんには関わらんもんや」
「・・・」
「アンタ・・・間違うたな」
「ギン・・・」
藍染は最後の力を振り絞り、ギンの細い首に両手をかける。
「・・・絞めてえぇよ」
ギンは抗わない。
「ひとりで死ぬんは怖いやろ?ボクが付き合うたるわ」
そう言って、ギンは優しく笑った。
そうして幾許かの時が過ぎ、藍染の躯は崩れ落ちた。
それを見下ろしてギンはため息をついた。
「あかん、生き残ってしもた・・・どないしよ」
自らの血と神になり損ねた男の血で真紅に染まった衣を着て、ギンは途方にくれた。
「乱菊に会いたいなぁ」
その呟きは誰かに届くのだろうか。
今はただ、彼が仕えた男の亡骸の横に座り込み、天を眺めることしかできそうになかった。
<Fin>
あとがき
いつもは過去妄想なんですが、今回は展開妄想。
絶対こうならないっていうのは解ってて、でも最後がこの二人の対決だったら良かったのになっていう妄想小説です。
原作が進んでいくとどんどん話が変わっちゃうので、慌てて蔵出し。(笑)
あ、死神の皆さんたちは吹っ飛んでるけど、死んでない設定です。
平和な日々は戻ってきてくれないとね。
この話だと、ギンは平然と尸魂界に帰ってきそう。(笑)
ま、それが私の願望なんですけど。