BLEACH二次創作小説 No.10 『酔余』(すいよ) CP:修→乱・ギン乱
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いつもの面子で呑んでいた。
京楽隊長、修兵、吉良、恋次・・・一角や射場さんもいたような気がする。
でも今、何がどうしてこんな状況になっているのか分からない。
乱菊は混乱した頭を抱えたかった。
しかしそれはできなかった。
両手は身体の後ろでまとめて掴まれていた。
文句を言おうにも口も塞がれていた。
・・・檜佐木修兵によって。
いつもの面子で呑んでいた。
そこに間違いはない。
最初に京楽隊長が七緒に見つかり連れ戻された。
一角と射場さんが何やら言い争いを始めたので追い出した。
恋次が様子を見に行くと言って出て行った。
吉良がヘロヘロになりながら「帰る」と宣言して帰って行った。
その時すでに修兵はつぶれていた。
一人残った乱菊は修兵に気付くと、起きるのを手伝おうと手を貸した。
しかし思いのほか自分も酔っていたし、脱力した修兵は乱菊の手に余った。
裾を踏んだか何かして、乱菊は修兵の手を掴んだまま倒れた。
修兵の上に。
まるで押し倒したかの様な姿勢に、乱菊はケラケラと笑ったが、修兵は虚ろな目を開けると乱菊に。
・・・口付けした。
慌てて半身を起こし逃げようとした乱菊だが、倒れる前に修兵を掴んでいた両手は、いつのまにか逆に掴まれていた。
手を外そうともがいているうちに修兵も半身を起こし、間近で向かい合う形になった。
再び口付けようとしてくる修兵を必死に掴まれたままの手で拒絶する乱菊。
しかし、その手は簡単に背にまわされ、乱菊の両手首は修兵の大きな左手でがっちりと掴まれてしまった。
身をよじり逃れようとするも空いた右手が頬を撫で、乱菊の頭を逃さないよう押さえた。
「修・・・!」
言葉は最後まで発することができなかった。
乱菊の口は修兵の口によって塞がれている。
舌を絡められては言葉を発することはできない。
「ん~~~~~・・・!」
せめてもの唸りが僅かに漏れるばかりだった。
ようやく経緯を思い出したものの乱菊は途方にくれた。
このまま修兵の好きにさせておくわけにはいかないが、どうやって振りほどいたらいいものか。
その時修兵の右手が、乱菊の豊かな胸へと下りてきた。
「!」
アルコールで火照った肌に、冷たい指が触れる。
(このままじゃ・・・!)
乱菊は青ざめた。
その時、突然修兵が吹っ飛んだ。
掴まれていた乱菊も一瞬引き摺られたが、修兵を吹っ飛ばした者がしっかりと乱菊を止めていた。
「何してんねん」
いつもより低く抑揚のない声。
(これは・・・怒ってる)
乱菊は助かったと安堵するより、声を発した者の怒りの度合いが怖かった。
案の定、その怒れる男・市丸ギンは倒れている修兵のもとへ行くと、怒りに任せて殴りつけた。
二度、三度と止まらぬその腕を、乱菊は慌てて身体で止める。
すでに修兵の顔は腫れ上がり、額や口の端が切れて血が出ていた。
その血がついた拳を眺め、次に自分を止めている乱菊を見て、
「何してんねん」
再びギンは言う。
震えながら乱菊は「ごめん」と言うしかなかった。
そのまま沈黙が場を支配した。
耐え切れず乱菊は立ち上がり、ギンから離れた。
ギンも立ち上がり、倒れている修兵を見下ろし、冷徹な無表情のまま容赦のない蹴りを入れる。
「こんボケが!」
「ギン!」
慌てて乱菊はギンを修兵から引き離す。
ギンはくるりと乱菊に向き直り、顔を寄せる。
「何しとん?」
「・・・酔ってたのよ。仕方ないじゃない」
「仕方ないで済むんか?」
ギンの薄蒼の瞳に貫かれて乱菊はたじろいだ。
「そもそもお前に気ぃある奴と二人になんなや」
「それは・・・勿論気をつけてはいるけど、今日はたまたま」
「たまたまで、姦られてもえぇんか?」
「よくない・・・けど」
ギンは平手でぴしゃりと乱菊の頬を叩いた。
「反省し」
「・・・」
「いつでもボクが助けに来られるて思たらアカン」
そう言ってギンは部屋を出て行った。
(思ってないわよ、そんなの・・・)
言えずに終わった言葉を噛みしめ、乱菊は溢れてくる涙を必死にこらえた。
(こんな目にあった時くらい、優しくしてよ!)
心の中の声は誰にも届かない。
翌日、瀞霊廷ではちょっとした騒ぎになった。
修兵のボコボコになった顔と、ギンのいかにも殴りましたというような拳の傷。
あちこちで無責任な噂が飛び交ったが、真相は誰も知らなかった。
ギンは何も語らなかったし、修兵はそもそも記憶が無かった。
ただ、ギンを見かけるとひどく恐怖を覚えたし、いつもとは決定的な違いがあった。
(市丸隊長が笑ってない)
修兵にだけはいつもの笑みを見せず、無表情に氷の瞳で見つめてくるギン。
修兵は震えた。
必死に昨夜のことを思い出そうとするも、飲んでいた記憶と戻ってきた恋次に介抱された記憶しかない。
急いで京楽隊長の下へ話を聞きに行く。
「僕は先に戻ったから知らないけど・・・」
「・・・そうですか」
がっかりと肩を落とす修兵。
「・・・君、乱菊ちゃんに手、出したんじゃない?」
「えぇ!?」
そんな馬鹿な、と思った瞬間、フラッシュバックが起きた。
(修・・・!)
乱菊の声と熱い唇。
「・・・あ~~~~~!!」
思わず頭を抱える修兵。
そんな様子を見て、京楽がため息をつく。
「君、乱菊ちゃんに気があるみたいだけど・・・彼女フリーじゃないと思うよ」
「・・・それは・・・あのぅ・・・市丸隊長・・・だったりするんですか?」
ギンの氷の瞳を思い出して身震いする修兵。
「うん。どっちに聞いても同期か幼馴染みって言うんだけど、どう見てもそれだけじゃ無さそうだし」
「そう・・・なんですか」
さらにがっくりとうなだれる修兵。
ぽんぽんとその肩を叩き、慰める京楽。
それ以上できることはない。
その後修兵は乱菊のところへも謝罪に訪れた。
「・・・乱菊さん、昨日はすいませんでした」
腫らした顔を真っ赤にして頭を下げる修兵。
「あ~・・・いいのよもう、酔ってたんだし・・・っていうか、傷は大丈夫?」
乱菊は笑ってはいるものの、微妙に目線は合わせられないようだ。
「自業自得ですから」
「ごめんねぇ、ギン・・・じゃなくて、市丸隊長はキレると怖いから」
「やっぱり謝りに行った方がいいですよね?」
「行っても・・・聞いてくれないと思うけど・・・」
「えぇ!?」
「しばらくは顔を合わせない方がいいんじゃないかな」
マジかよ・・・と固まる修兵。
(それってやっぱり)
「あの!・・・乱菊さんと市丸隊長って」
訊かずにはいられない。
乱菊は大きく目を逸らした。
「同期よ」
「それだけじゃないッスよねぇ」
「・・・幼馴染み」
「それだけ・・・ですか?」
乱菊はまっすぐに修兵を見た。
「それだけよ」
その瞳を見たら、修兵にはもう何も言えなかった。
頭を下げ、退室する。
それを見届け、乱菊は大きく息を吐くと机に突っ伏した。
「まだ判っとらんの?」
突然かかった声に乱菊はがばっと身を起こした。
修兵が去ったばかりの場所に、ギンがいた。
「お前に気ぃあるヤツと二人きりになんなて、昨日言うたやろ」
瞳が、笑っていない。
「乱菊」
手が伸ばされる。
白く筋張り、細いのに大きな手。
その手が乱菊に触れるより先に、言わねばならなかった。
触れられてしまったら、きっとまた何も言えなくなる。
「昨夜は、酔ってたからよ」
手が止まる。
「・・・なに?」
「昨夜は酔ってからダメ。・・・でも」
乱菊は艶やかに、そして挑戦的に微笑んだ。
「本気ならアンタに邪魔する権利はないでしょ?」
ギンの表情が消えた。
「・・・同期で、幼馴染みで・・・それ以上やないからか?」
「アンタ・・・聞いてたのね」
乱菊は目を伏せた。
それを見てギンは寂しそうに笑う。
「乱菊は・・・それ以上になりたいん?」
乱菊はハッとギンを見て、・・・見つめて、また目を伏せる。
「・・・なりたくない」
うつむく乱菊をギンは背中から抱きしめた。
「ご免な」
何度口付けを交わしても
何度身体を重ねても
この腕の中には決して収まらない人。
それは、ずっと、わかっている。
<Fin>
あとがき
あぁ~~~~修兵ファンの皆様すみません~~~~~。
本当に哀れな修兵になってしまいました。
でもっでもでもっ!!!
ようやくSなギンが書けて本望です!!
普段なら霊圧やら視線やら言葉やらで他を圧するギンですが、今回は女絡み(しかも乱菊!)で、私情バリバリなので手が出ました。
しかも簡単に治せるのに、修兵に見せ付けるために拳の傷をそのままに。
こわ~~~~。
「・・・なりたくない」
そう言わざるをえない乱菊が切ない。しかもギンもそれを理解しての「ご免な」です。
いや~~~~このあたりがギン乱の萌えツボですよね。![]()
な、なんか、この話書けてすごい満足しちゃったんですけど。
実はこれの第二弾でギン乱じゃないバージョンも考えてて・・・・でも修兵がまた・・・・・・・・・・・・。
なんか救済策作ろうかな。![]()
(2010/5/4 ほんの少々手直ししました。)