悪夢のはじまり | ◆女子大生デートDV体験記◆『全部お前が悪いんだ』

悪夢のはじまり

私が彼と出会ったのは、就職活動中。50人ほどOB(OG)訪問したうちの一人が彼だった。(OB訪問とは、働いている先輩方を訪ねて会社の情報を収集すること) 私を含む3人でお話を聞きに行った。

私が20歳、彼は30歳。

しっかりしてて後輩想いの優しい人、というのが最初会った時の印象だ。見た目や発言からは自信家で少しナルシストな感じも伝わってきた。



訪問後、就職アドバイスと称して電話がかかってきた。行きたい業界の人でもあり、電話を無下にはできない。

「だからダメなんだよ!なんでそんな甘えてんの?みゆちゃんは、そのままじゃ内定はもらえないよ」

私の意見を一言聞くと、それに対する全否定が延々続く。考えが甘いのはその通りだと思ったので、はい、はい、と聞いていた。どばーーーっと否定されてから、また意見を求められる。悩んで答えられずにいると、それが甘いんだよと叱られた。最初の電話はこんな内容を延々2時間くらい。

最後の言葉は、「最近の学生は厳しいこというとすぐ逃げちゃうんだよね。でも、みゆちゃんには期待してるからあえて厳しいことを言うんだよ」



私は、就活で悩んでいたこともあって、”全否定がつらい”というよりも、”こんな私に本気でアドバイスしてくれるなんて、良い人だ”という気持ちの方が勝っていた。

支配下に置く人間として合格していたのだ、とこの時点で気付くべきだった。




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洗脳は、相手の価値観や人間性を否定することから始まります。



デートDVやモラルハラスメントの体験を深く書く前に、知っておいてほしい本のある一説を紹介します。


『夫や恋人だけの閉ざされた世界で、「おまえが悪い。だから俺はこんなことをするんだ」と暴力を振るわれていると、大概の女性は自己を非難する思考を植え付けられる。自尊心が壊され、「殴られて当然な自分」という自己イメージを抱くようになるのだ。やがで抵抗する意志も失い、過酷な暴力に耐えて理不尽な要求に従うことが、被害者のアイデンティティーになってしまう。』

p54 豊田正義『消された一家―北九州・連続監禁殺人事件』(新潮文庫)




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