過去のNHK番組、司馬遼太郎さんが残した記録

 

“この国のかたち、武士700年の遺産”

 

この番組内で、登場した一人の人物について。

 

江戸時代中期の下級武士の一人に、栗田定乃丞という秋田県、当時の久保田藩、藩士がいました。

秋田と言えば、海岸線は、日本海に面して、263キロという長距離に至っています。

 

当時、この海岸線に、秋から翌年の春まで、シベリアから吹き付ける季節風の影響を受け、絶え間なく、荒波に加え、飛砂に叩きつけられる生活を余儀なく強いられ、結果的に海沿いの村々では、田畑や道路、家屋まで、この砂で埋め尽くされてしまう。

 

このような被害に苦しんでいた久保田藩の人々。

 

 

そこに、”栗田定乃丞”という藩士が、立ち上がりこの飛砂を食い止めるべき、海岸線植樹計画の挑戦がはじまりました。

 

江戸時代におけるプロジェクトXですね。

 

 

砂に植樹をするという研究開発を8年間、ほぼ一人で取り組み続け、見通しがたちそうになった後、今度は村人たちに、タダで支援をお願いし続け、当然、村人たちは、最初は、ほぼ誰も見向きもしなかったそうです。

 

・タダで手伝う

 

・うまくいくかどうかもわからず

 

・仮にうまくいっても、15年以上、先の話ということ

 

まさに想像を超える無償の行為と植樹事業のプロジェクトだったことが、よくわかる物語です。

 

 

 

最後の最後は、7万人もの人たちが、定乃丞の社会奉仕に手を貸したという記録が残っています。

 

 

また、植樹を果たした距離は、120キロ。

見返りを求めず、みんなで力を合わせ、希望のもてる社会に向けて、汗を流す。

定乃丞の尊い人生を少しでもイメージしながら、見返りを求めない清々しい、そんな磨かれた気持ちを見習いたい。

 

できることから、一つでも。