策士策に溺れる
策略に巧みな者は策を弄しすぎて
かえって失敗するものであるというたとえ。
「策士」とは、はかりごとの巧みな人、好んではかりごとをする人。
策略を好む人は
自己過信に陥ることを戒めるときに使われる。
秋山真之は、「戦術家たらん」としている。
「戦術というものは目的と方法をたて、実施を決心した以上
それについてためらってはならないということが
古今東西のその道の鉄則の一つであり
そのように鉄則とされていながら戦場という苛烈で
複雑な状況下にあっては、容易にそのことが守れない」
思いもかけぬ局面に遭遇して、とっさに思案が乱れるであろう。
「真之はそれを工夫した。平素の心掛けにあると思った。
<明晰な目的樹立、そして狂いのない実施方法
そこまでのことは頭脳が考える。
しかし、それを水火の中で実施するのは頭脳ではない。
性格である。平素、そういう性格を作らねばならない>
と考えていた」
迷いだしたらきりがない頭脳の混乱を
押しとどめるのは
やはり、精神力でしかない。