生き残った皆茂庭綱元にござる。三月十一日。あれからだいぶ時が経ち、震災以前の姿を取り戻しておる。されど、復興は終わらない。復興に終わりはない。決して癒えない傷がある。大切のものを亡くした人々の心には、いまだ塞がらぬ穴がある。我が役目は、その傷の痛みを伝えること。塞がらぬ穴の空虚を伝えること。忘れてはならない。忘れたくとも、忘れてはならない。この日を迎える度、生き残った者としてこの責務を全うできるているか、自らに問う。生き残った皆はどうか?