あと三日
片倉重綱に候
さて
先日の日記にて言うとりました
仙台市太白区は
“ 坪沼八幡神社 ” が建立される
契機となりし
“ 安倍氏の支城跡 ”につきて
話しましょうか
“ 坪沼八幡神社 ”が
位置するのと同じ丘
周囲はのどかなる田畑……
あぜ道を奥に進みますと
虎口(こぐち=城への入り口)らしきものが…
虎口を抜ければ
ひらけた空間…
ここが
“ 根添館(ねぞえたて) ”の跡
館(たて)と云うは
すなはち “ とりで ”
……いまより一千年の古
みちのく全土を炎に包みし
朝廷 対 奥州安倍氏 の動乱
“ 前九年の役 ”
ここは
朝廷軍を迎撃する
安倍一族の
最前線のとりでたれど
敗戦、安倍氏の滅亡と共に
根添館も落城……
その向かいに
勝者によりて “ 坪沼八幡神社 ”が
建立されるに至る……
…なになに
なるほど、いま拙者が立つは
かつての本丸、と……
……とは云え
いまとなりては
ただ田畑となり果てぬ
振り返れば
虎口付近に
一本そびえる大樹
幹の裏には祠
この大樹…
いつよりここに立つのやら
千年の昔の惨状も
その後の荒廃も
すべて見てきたのであろうか……
あらためて
城の外側に回れば
…嗚呼たしかに
重なる曲輪の姿が
しかと見て取れる
守りに優れし砦たるは
想像に難くなし
この “ 根添館 ” の主が
果たして名を何と申したか
いまとなりては
誰も知らず
みちのくの誇りを守るべく
圧倒的な数で以って押し寄せし
朝廷軍を迎え撃ち
……そして散っていった
荒戎(あらえびす)の姿が浮かぶよう
国破レテ山河在リ………
城春ニシテ草木深シ………
さすれば今宵はここらにて
伊達武将隊
片倉重綱